ハイヤー・タクシー業界専門情報紙  株式会社 交通界
2023年8月28日

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「週刊交通界21」毎月4回情報発信

ライドシェア解禁の方向性を今後も堅持
  「業界を守ることありきはいかがなものか」
    日本維新の会政調会長 音喜多駿氏(参院議員)

 昨今、タクシーの供給不足が一般メディアでもクローズアップされることが多く、その文脈の中で「ライドシェア解禁・合法化」が語られる機会も増えている。昨年の参院選では国政政党で唯一「ライドシェアの解禁、合法化」を公約に掲げたのが日本維新の会であり、解散総選挙がいつあってもおかしくはない政治情勢の中、やはり気になる維新の今後の動静。そこで本紙では日本維新の会の政策責任者である音喜多駿・政調会長(参院議員)に話を聞いてみた。

―2022年参院選の公約集において、ライドシェア規制の撤廃とシェアリングエコノミーの強力な推進を掲げておられますが、今後もこの方針に変わりはないのでしょうか。
音喜多
 そうですね。現在、タクシー運転手不足ということが大きく報じられる中で、特にライドシェアの解禁については多くの声が党にも寄せられています。わたしたちは規制緩和・改革を強力に求めていく立場には変わりはないということになります。
―岸田政権発足後に設置された政府の「新しい資本主義実現会議」において民間有識者委員として参画しているZホールディングスの川邊健太郎会長が、ライドシェアの早期解禁を求めており、また橋下徹氏が自著「日本再起動」で同様の主張を展開されていますが、これらの意見についてどのような感想をお持ちになりますか。
音喜多
 以前から改革派と呼ばれる方々は、ライドシェア解禁を求める声が多かったという印象です。直近だとコロナ禍が明けつつある中でタクシー運転手不足が報じられている中で、こうした影響力のある方々から、ライドシェア解禁を求める声が上がっていることは、われわれとしても前向きに受けとめていますし、もちろん賛否両論あるとは思いますが、こうした方々の発言をきっかけに聖域なく議論が行われていくことになるのは非常に良いことではないかと思っています。
―維新が求めるライドシェア解禁が仮に実現した場合には、既存のバス・タクシーの規制体系をどのようにすべきだとお考えになりますか。需給調整規制もなく、運賃規制もない形でのライドシェア解禁との競争条件の公平性などを勘案すると需給調整及び運賃規制の完全撤廃が相当と言えそうですがいかがお考えになるでしょうか。
音喜多
 詳細な制度設計までマニフェストに掲げているわけではありませんが、われわれの基本的な考え方として、「できるだけ規制は少なく」ということですから、ライドシェアが解禁されれば、それに見合った競争環境というのがタクシー業界にも適用され得るものと思います。ライドシェアが解禁になってもまだ、「タクシーに乗りたい」という方もいるはずですし、そうした競争環境の中で切磋琢磨していただくというのが大きな方向性であるとは言えると思います。
―私どもの印象として維新には初めにライドシェア解禁ありきというイメージを持っています。実際にライドシェアが解禁された後も、公共交通機関としてのタクシーは残り得るものとお考えになりますか。タクシー業界がライドシェア解禁に強硬に反対している理由もおそらくライドシェア解禁後にタクシーは存続できないと考えているのではないかと推察されます。
音喜多
 われわれとしてもそこまでの未来を予想しているわけではありません。ライドシェアに限らず、さまざまなテクノロジーが生まれ、新しい制度が生まれてくる中である事業が役割を十分に果たし、別の事業形態に転換されていくということはタクシーや公共交通機関に限らず、あることだと思います。ライドシェア解禁ありきと言われたが、逆に「業界を守ることありき」ということもいかがなものかと個人的には思います。移動に求められているものは何か、ニーズとはというところから議論をスタートして、その結果ライドシェアが解禁されて、その結果発展的に解消していく業種もあるだろうということはわれわれとしては当然許容しています。そのことを認めた上で前に進んでいくべきだろうと思っています。
―一応、タクシー業界の立場を代弁しておきますと、「タクシー業界を守ること、初めにありき」ではなく、公共交通機関として住民の移動の足の最後のセーフティネットとしてのタクシーを守りたいと考えているのであって、おそらく多くのタクシー事業者が懸念しているのは、自家用車ライドシェアが解禁になると既存のタクシーは競争条件の違いなどから駆逐されてしまう。ドライバー個人の都合に合わせた恣意的な営業しか行わないライドシェアしか残らないのではないかということではないか。深夜に病院に駆け込みたいというような時にライドシェアだけでそれが可能かということへの懸念を持っているということだと思います。
 そのことはそこまでにしておいて、世界的にもライドシェアは発祥の地・米国西海岸型の自家用車による完全請負制の自由な営業形態から、さまざまなトラブルなどを経て規制が強まってきました。維新のいうライドシェア解禁はそもそもどのような形での事業形態を想定しているのでしょうか。4月25日の参院国土交通委員会で石井苗子氏は現行法上の自家用有償旅客運送は2種免許を持たないドライバーによる運送事業であり、自家用車ライドシェアとの垣根はあいまいで、それならライドシェア解禁も可能だとの主張を展開しているようにも見えますが、いかがでしょうか。われわれの知る限りでは新経済連盟などが制度の大枠を提示したりもしていました。ある程度の規制に対応したものなのか、トラビス・カラニック氏がウーバーテクノロジーズを創業した当時のライドシェアに近いものなのか、イメージがあればお聞かせいただきたい。

国内向けのカスタマイズは重要
音喜多 われわれも現状で、具体的な制度設計を細かく作り込んでいるということはありません。とはいえ、当然海外の事例というのはイメージしており、ウーバーや東南アジアで広まっている配車アプリのグラブですとか、そういったものが考えられます。ただ、それをそのまま日本に「移植」できるかと言えば、それぞれ現地での進化の形が違いますし、日本では特に安全性を気にする方が非常に多いということもあり、ここ10年程度の事例の積み重なりを日本国内用にカスタマイズするということは重要だと思います。
 現時点で米国式で全面導入するとか、まるまる移植するんだとかそういった考えがあるわけではないですが、米国やシンガポールなどの事例も見つつということですね。例えば、グラブであれば性別でドライバーを選べたりとか、エマージェンシーボタンが付いていたりとか、車内防犯カメラの設置義務付けなどがあり、規制をすべてなくして市場においてマッチングすればそれで良いんだというような乱暴なことは考えていません。例えばですが、ライドシェアを解禁するのであれば車内録画装置の設置を義務付けるなどし、それをクリアしたドライバーだけが登録できると。できていなければ違反ですよとか、そういう制度設計は十分あり得るんだろうと思います。

2種免許の存在そのものの議論も必要?
 ドライバーの資格要件で言えば、タクシーと違って2種免許がいらないという点が大きな違いで、そこは本丸と言ってもいいかもしれません。全タク連の川鍋一朗会長が期間限定で2種免許は不要にしてはどうかというような議論を始めたという話をツイッター(現在はX)で拝見しています。もっとも、それは2種免許不要であればそれはライドシェアなんじゃないかというような話も伺っています。それは確かにその通りだろうと思いますよ。2種免許がなければお客さんを有償で乗せることができないのかという議論を正面から始めるべきでしょう。2種免許は廃止すべきなのか、何らかの形の変更をすべきなのかと。
―その点についてもお尋ねしようと考えていたのですが、ちょうどお話が出ましたので改めてお聞きします。ドライバーの規制という意味では、現在2種免許の取得が道路交通法、道路運送法により二重に義務を課されていますが、一方で昨今のタクシー不足、すなわち運転者のなり手不足から、道路運送法上のタクシーでありながら期間を限定して2種免許を持たないドライバーのタクシー乗務を認めてはどうかとの声が上がっていますが、どのようにお考えになりますか。
音喜多
 弥縫策としてそういうことをやるということもあり得ると見ています。ただ、それをやってみて何も問題が起きなければ、やはり2種免許というものを抜本的に見直して、一般のドライバーが条件を満たせばお客さんを乗せて有償で運ぶことができるというライドシェアの解禁に直結してくる話ではないかなと思います。
―つまり、タクシー業界と国交省との間に何らかのコンセンサスがあり、条件付き、期間限定で2種免許の取得を免除するという方向で進めようというのなら、「どうぞおやりください」ということで、実験的な試みがうまくいったのなら、「そもそも2種免許は不要ではないか」ということになり、その結果、「ライドシェア解禁に結び付く」のは自然の流れということでしょうか。
音喜多
 まあ、そういうことになりますね。現実的にライドシェア解禁を明日からできるかと言えば、それは難しいことです。しかし、いまタクシーの運転手不足と言われており、窮余の策として期間限定で2種免許取得を免除しつつ、タクシー会社が運行管理をしっかりし、安全性を担保するということも一つの課題解決策ではあるでしょう。一方で、それができるのであれば2種免許制度をそもそもなくして、安全性を担保していけるはずです。その安全性の担保はタクシー事業者・業界がやるのか、技術の力でアプリの活用でできるのか。ライドシェア解禁の議論は避けて通れないものと考えています。
―先ほどから、タクシー不足という話が出ていますが、「タクシーが供給不足に陥っている」と言いながら、東京、大阪、名古屋など大都市部ではタクシー適正化・活性化特措法により、供給過剰だとして「準特定地域」に指定され実質的に新規参入も増車もストップされていることについてどのようにお考えになりますか。
音喜多
 特定の都市に対してわれわれとしても一つひとつのかっちりした方針があるわけではないんですが、制度のあり方としてわたしどもは基本的に「経済統制」的なものについては極力なくしていくべきだというのが党の方針、考え方としてあります。大阪などを準特定地域にした際、私はまだ維新に入党前でしたが、党内でも激しい議論があったと聞いています。需給調整というのは基本的にマーケットに委ねるべきもので、そうしないと歪んでいく。新規参入などが事実上できないことで、調整弁が働かなくなっており、急に増やそうとしても増やせないという状態です。制度上の問題をどこをどう直すかという議論をしているうちに、あらたな需要、ニーズも去ってしまい、増やせるとなった時点で逆に減らすべき局面になっているかもしれない。そういうことも考えると需給調整機能は市場に任せることが望ましいだろうと思います。
 政策としては100点満点のものをつくることは難しいと思いますし、供給過剰や供給不足に機動的に対応できるようにすることは難しいでしょう。わたしどもとしてもベターな解決策を出すべきだと思いますし、その中でライドシェア解禁というのは一つの選択肢として当然出てくるものと思います。
―期間限定で2種免許を免ずるという制度が実現、実行される場合、タクシー事業適正化・活性化特措法上の準特定地域指定との制度的矛盾を取り除く意味でも、同地域の指定は外れるべきものとお考えになりますか。 

適正化・活性化特措法は役目を終えた?
音喜多 それはそうあるべきだと思います。そもそも特定地域、準特定地域という制度そのものが望ましいものではないと思います。現在はすでにその役割を終えたと考えています。タクシーの供給不足という問題が起きているわけだから、当然その役割は終わったとみるべきです。2種免許を免じるという議論をするのであれば、現行の特措法における準特定地域指定も続けるとなれば、例外的な調整にさらに調整を重ねるということにもなり、そこには非常に大きな矛盾を抱えているということになるでしょう。何か調整が必要だというのなら、できる限りシンプルなものであるべきで、互いに矛盾する政策効果を生む制度を2つ並べて同時並行で実施していくというのはまったくナンセンスな話だと思います。
―規制緩和と輸送の安全性の問題についてもお尋ねしたい。2016年の軽井沢スキーバス事故(死者15人、負傷者26人)や22年の知床遊覧船沈没事故(死者20人、行方不明者6人)などの重大事故は、事故のご遺族も含めてそもそも貸切バスや旅客船事業の規制緩和がなければ発生しなかったのではないかとの見方もあります。また、規制緩和が推し進められる過程で、「経済的規制は緩和、悪質事業者退出促進のため、社会的規制は強化」などと標榜されましたが、公務員の数を増やすことなどできず、実効性が担保されませんでした。規制緩和の際に必要な輸送の安全の確保策についてはいかがお考えになりますか。
音喜多
 これはまさに各国でも議論になってきたところであり、さきほどテクノロジーの話もさせていただきましたが、利便性と安全性のバランスをとる中でどこまでの規制が必要かということだと思います。車載ドライブレコーダーなども必要な機器等の搭載を義務付ければ参入のハードルはやや高くなりますが、安全性は一定程度高まるものと思います。こうした制度設計は当然議論が必要ですが、われわれとしても安全性を無視してなんでもかんでもフリーにすれば良いというふうには思っておりません。バランスの中でどこまでウーバー的なものに規制を課していくのかは、慎重な議論が必要だと思っています。
―いま奇しくもウーバー的なというご発言でしたが、維新の皆さん、特に政策責任者の方々の念頭にはウーバーがあるのでしょうか。
音喜多
 実際に自分の体験として使ってみたことがあるとなると、米国のウーバー、東南アジアのグラブということになりますから。その体験の中で便利だなと感じることも多く、混んでいるときは価格が上昇するなどダイナミックプライシングなどの経験もありました。
 われわれは、ダイナミックプライシングについても、市場原理により価格が調整されるのも一つの形ではあると思っています。確かに「ぼったくりじゃないか」という批判もありますが、東京のタクシーではどんな時間帯、どんなに混んでいても初乗り500円となっていますが、それは本当に適切なことかという疑問もあります。それは新幹線でも同じことだと思いますがね。
―日本維新の会では馬場伸幸代表が、「立憲民主党は何の役にも立たない、共産党はなくなった方が良い、第一自民党と第二自民党で切磋琢磨すれば良い」と発言されていますが、これは馬場代表の個人的意見になるのか、党全体の雰囲気、意見を代表しているものなのでしょうか。
音喜多
 まさに党代表ですから、代表が個人的な意見を公の場で申し上げることはまずないでしょう。確かに表現には個性が出ていますから代表なりの思いというものが出た結果、ああいう言い方になったものと思います。
―また、自民、公明の連立与党の関係にきしみが生じているように見える中、次期衆院選後に限らず今後連立政権入りするとの戦略を描かれているのでしょうか。その際、国土交通大臣ポストを要求することはあり得るのでしょうか。

連立政権入りは明確に否定
音喜多 連立は現時点ではまったく考えていないという答えになります。維新への期待感というのは、第二自民党という表現もありましたが、本来自民党に代わる何かが欲しいということで、いまある第一自民党だけではダメなので切磋琢磨するライバルが必要だよねという期待感だと感じています。ライトウイングばかりじゃないかというご指摘もありますし、確かに本来なら中道左派のしっかりしたライバルが自民党に対峙すべきなのでしょうが、これは立憲民主党がだらしないのだから仕方ありません。
 いずれにしても、連立を組むということになればわれわれに対する期待値も萎んでいくことになりますから単独政権を意地でも目指すということが必要だと思います。
―この際、特に言っておきたいことなどがありましたらお伺いいたします。
音喜多
 言いたいことを言いたい放題言いましたから、少しはタクシー業界に好かれそうなことも言いたいのですが難しいですね(笑)。
―有り難うございました。(7月26日、参院議員会館・音喜多議員事務所内で収録)
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No.968 8月28日号  主な内容
■巻頭人物
馬場 伸幸氏/日本維新の会代表
■気になる数字
299万3839人
   過去10年間トータルの東京都の地域別最低賃金の上昇額。          
   10月1日にも適用開始される見込みの23年の最賃額は1113円。
■トピックス
:ライドシェア解禁の方向性を今後も堅持
               〜日本維新の会政調会長 音喜多駿氏(参院議員)
:ライドシェア解禁の動きに新たな広報活動 Xで問題提起
               〜全自交労連 16日から7回シリーズで投稿
:ライドシェア解禁「今、反対しておかないと」
               〜東宝・日本城グループ代表 坂本篤紀氏
:今も続くコロナ禍のダメージ
               〜京都タクシー業務センター(通常総会)
:関西中央グループ 薬師寺代表の85歳を祝う
:「改革」と「改定」―2委員会が立ち上がる 
               〜日個連東京都交通共済協組理事長 渡邉康夫氏
■Data
:タクシー乗務員数の推移 〜全タク連 7月末の乗務員数充足率
:新型コロナの影響による営収の対2019年同月比の変化(22年7月〜23年7月)
:15地区中14地区で総営収前年比増  〜関東管内の7月の原計輸送実績
:コロナ休車4514両に  〜関東管内の休車特例と復活状況&フードデリバリー許可
内外交差点
「1人の応募者」を大切に  関根 コウ氏(求人広告ライター協会代表理事)
覆面タクシー
低下する自転車マナーの対策は罰則強化?A  〜元労組幹部S氏の呟き
東西往来
:猛暑の中、組合員ら200人超が参加 / タクシー行灯のカプセルトイ
この人この言葉
:海田 正則氏 / 大澤 武廣氏 / 信原 智彦氏 / 浜田 忠雄氏
シャッターチャンス
:前首相がRS解禁の議論必要と / 参入枠の埋め切りは困難なれど
:台風中でも活躍の個別輸送機関 / 事業者らはえびす顔とならず?
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交通界速報 関東版
運賃体系の見直しなど具体案は?
          mobi運行の中間報告で
                    豊島区地域公共交通会議

【東京】豊島区は22日、区役所内で23年度としては初会合に当たる豊島区地域公共交通会議(会長=太田勝敏・東京大学名誉教授)を開き、定額乗り放題サービス「mobi」運行の中間報告を行った。同区大塚エリアでのmobi運行は道路運送法4条許可移行の目途が付けられないまま、道運法21条許可を1年余延長することとされており、バス・タクシー事業者、労働組合関係者で構成する勉強会を重ねて地交会議本会議での報告を迎えたもの。mobiの運賃料金体系の見直しなども選択肢として示されているものの、具体案は提示されるに至っておらず、値上げするのか値下げするのかなども注目される。
 大塚エリアを中心とする現行のmobiは4月19日以降実施主体をコミュニティモビリティ社(CM社)から豊島区に変更した上で21条許可の期限を24年8月末に延長しているほか、24年6月には地交会議本会議開催が見込まれており、その時点では4条許可移行の是非について一定の結論が必要になる。 区では4条許可に向けた是非判断のための材料として、@公共交通としての継続性(将来にわたり事業の継続が見込めること、公費負担なく継続が見込めること)A新しい移動ニーズへの対応(区の定める交通不便地域への新たな移動手段の提供、交通弱者=高齢者・子ども連れ・障害者の移動促進)B既存の公共交通との共存―の3つの指標を掲げている。
 当日の会議では区側からこれらの指標を根拠に事業継続の要件を満たしつつあるとのニュアンスでの報告が行われたものの、バス・タクシー関係委員からは異論も提起された。とりわけ、公共交通としての継続性については、「収支率」「ニーズ及び満足度」の2項目を検証したとされ、反発の声も上がった。

〜当面のハードルは収支率90%?
 区では22年10〜12月の収支率は26%(目標値は35%)、23年1〜3月は同45%(同48%)、23年4〜6月は同56%(同64%)など実績値を示し、その後の7〜9月目標収支率74%、10〜12月85%、24年1〜3月96%、24年4〜6月107%、24年末108%、25年末110%と長期的には黒字化可能との見通しも示すとともに、4条許可への当面のハードルを収支率90%として示した。
 こうした見通しが示されたことに対して日興自動車の山本昇氏が、収支一覧表上別枠で示されたその他経費(CM社人件費、販売促進費、地代等)が収支率に含まれておらず、実際の収支率は区が示した数字の半分程度にとどまるなどと指摘するとともに、一般旅客自動車運送事業会計規則に基づく事業収支の算定、開示が必要だと主張した。
 このほか、新しいニーズへの対応や既存公共交通との共存ができているかなどの要件についても利用者アンケートの結果などが根拠とされているものの、回答率が2%程度と相当程度低いことからその精度への疑義、指標としての客観性確保にアンケート結果が相応しいかとの意見が表明されている。
 mobiについては定額利用のほか、都度運賃についても見直し検討の方向性が示されているものの、アンケート結果では「値上げするなら利用しない」との回答も相当数にのぼっており、値上げしたいのか値下げしたいのか、やや迷走の感も拭えない。
〔8月26日号関東版掲載〕  <Topへもどる>

2023年8月26日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】政府 GX実行会議開催/実現に向けた方策など審議
【 東京 】47都道府県の最賃改定額公表/18日 厚労省
【 東京 】XでRSについて問題提起/全自交労連
【 東京 】配車回数2カ月連続過去最多/S・RIDE
【 東京 】特区・武三は18.0%の増収/東タク協 6月全社輸送実績
【 東京 】急ぐべきは職場環境の改善/菅前首相発言批判 自交労働者情報
【 横浜 】都市型ハイヤー運改申請状況/23日 関運局
【 札幌 】釧路B地区 新運賃公示
【 名古屋 】静岡地区 新運賃公示
【 東京 】全国の事業者、職員が情報共有/日個連事業協組 事務担当者研修会
【 東京 】歩率引下げ訴訟を全面支援/日交G連絡協 23春闘報告受け
【 高松 】小豆島地区 新運賃公示/四国運輸局
【 新潟 】長野A・B地区 新運賃公示
【 東京 】燃料価格高騰対策の提案を指示/岸田首相 官邸で会見
【 東京 】国交省の補助対象サービスを公表/システムオリジン
 
2023年8月25日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】ライドシェア解禁の方針は不変/「タク事業の発展的解消も」/音喜多・政調会長インタビュー
【 東京 】組織改革「構成員百人」がポイント/日個連交通共済・渡邉理事長
【 東京 】白タク防止の啓発キャンペーン/各団体 羽田空港で
【 東京 】若年世代の増加目立つ/東タクセン7月の運転者証交付
【 東京 】JPNタクシー左折事故防止/大日本交通、9月講習会
【 東京 】「パパ育業促進企業」認定/帝都自交神田営業所
【 東京 】「労務担当者必携」を刊行/東タク協労務委
【 東京 】すでに500ドル台かつ先高/LPG 9〜11月の先物価格
【 東京 】東京の7月営収は97.3%/全タク連 19年対比サンプル調査
【 東京 】インボイスでタク利用は?/GOビジネスが経費実態調査
【 横浜 】車停は法人10件、個人2件/関運局 7月ハイタク行政処分
 
2023年8月23日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】迎車料金を300円に引下げへ/S.RIDE経由のみ500円に引上げ/チェッカーキャブG 代表者会議
【 東京 】JR有楽町駅前でタクシーアピール/東タク協、「タクシーの日」イベント
【 東京 】8駅・14乗り場でキャンペーン/東タク協三多摩支部「タクの日
【 横浜 】無線配車でも運用は可能/関運局 アナログ迎車板に見解
【 東京 】新たに5社を認定/国交省 女性ドライバー応援企業
【 前橋 】国交省が解決策など提案/D田園都市国家構想実現会議
【 東京 】国交省パブコメ募集開始/地活法改正に伴い
【 東京 】準特地域の減車期限半年間延長/来年1月31日まで
【 東京 】自転車交通秩序の有識者会議/警察庁 自転車に青切符視野に
【 東京 】特別街頭指導、急きょ中止/東タクセン・東京運輸支局
【 東京 】乗車券を各賞60セット/創立60周年の東個協
【 東京 】パッケージ案取り組みへ意気込み/日個連都営協 冨本理事長
【 東京 】「旅客運送に2種免許は必要」/国交省交渉「自交労働者情報」
【 大阪 】梅田交通Gがmobi運行へ/東大阪市、CM社と連携協定
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交通界速報 関西版

「組織維持・存続目指し、頑張っていく」 
               全大個協組執行部が記者懇談会

【大阪】全大阪個人タクシー協同組合(濱本民夫理事長)の執行部は24日、大阪市天王寺区内で記者懇談会を開き、著しく個人事業者が減少する中、共通する思いとして次世代に向けた「組合の存続」を課題に掲げ、それぞれが自らの立場を踏まえつつ、今後の展望と具体的な取り組み等について語った。

〜「損保代理業務」の実現に注力
 城本峰星・副理事長(共済部長)は、「今、濱本理事長の肝煎りで損害保険の代理業務を行うべく奮闘させてもらっている。総代会では、残念ながら代理店業務に係る定款の一部変更を提案したものの、反対意見が上回り否決される結果となり、改めて内容等も見直した上で、総務委員会(総務部長=川尻龍美・専務理事)に諮り、了承も得られたので、まずは8月31日の理事会で再度丁寧な説明を行いつつ、(9月半ばを目途に)定款変更に向けた臨時総代会の開催をお願いしようと思っている」と述べた。城本氏は「全大個協組の在籍組合員数は、この8月1日現在で1649人。しかしこの数は、年々右肩下がり。賦課金が減少すれば、組合組織としての健全な運営はおろか、維持・継続すら困難になってくる。そこで考えられたのがこの事業。各支部も(譲渡譲受などで努力を重ね)頑張っていただいているのも充分理解しているが、今の状況はそうした努力をも凌駕して余りある深刻なもの。各支部の垣根を超え、皆さん方の協力と理解を得ながらこれを実現したい」と訴えた。
 山口敏・副理事長(事業部長)は、「5年間、事業部長をさせてもらっているが、この間、GO、DiDiの導入とともに無線室を配車室に変え、さらに多様化する運賃決済への対応。加えて今もアプリ配車の手配料の問題なども続いている。先ほど賦課金云々の話もあったが、確かに全大個協組も人数が減ってきて、将来的な見通しが未だに立たないという中で『金を稼ぐ』という大きな責務を担っているのは(われわれ)事業部。現在、キャッシュレスの比率が高くなり、昨年、一昨年に比べ手数料収入も格段に大きくなるなど、この5年で築き上げてきた事業部のベースが生きている間は、何とかあと数年頑張れるとは思うが、ただ次の収入源となる損害保険に関する代理店業務。これは将来にわたり、しっかりとした財政基盤になると思うので、ぜひ実現していきたい」と述べた。加えて山口氏は、「濱本理事長は来年6月を迎えると、個人タクシー創世記から活躍してきた坂本定吉氏(故人)に次いで長期政権の理事長となる。残り1年間、濱本理事長を先頭にこの全大阪を(先々まで)残していけるように努力していきたい」と語った。

〜インボイス非対応に専用アンドン
 川尻龍美・専務理事は、「私も濱本体制の中で丸5年役員をさせてもらっているが、本当に(国とのつながりなど)外に向けての可能性も大いに拡げることができたと感じている。われわれとしては、その道をさらに進めていきたいと思う。後はキャッシュレス手数料や損保代理業務などへの取り組み。利益を得られることについては、組織を守る意味でもどんどんやっていくべきだし、何もしなければ座して死を待つのは自明の理。加えてインボイス制度。これを何とか組合として軌道に乗せる。その手立てのひとつとして、登録宣言式も行い(関連別掲)、顧客を全て法人側に奪われることがないよう、個人もインボイスに取り組んでいることを広くアピールしていきたい」と述べた。なお現状、全大個協組に加盟する組合員の95%がインボイスに参加の意思を示しているが、免税事業者を継続する一部組合員については、「でんでん虫のアンドンを外してもらい、免税事業者用のアンドンにしてもらう」と説明した。

〜3000両あれば組織を維持できる
 濱本理事長は、「今回で私は最終年。これまで通り、この組織を残していくためにどうすれば良いのか。城本部長や山口部長が取り組んでいる事業(延命策)に加え、いかにして組織を維持するための組合員数を確保していくか。そのことだけを考えつつ、引き続き組織の牽引役としての職務を果たしていきたい。これまで国交省とも幾度となく話し合いを繰り返し、紆余曲折もあったが、『パッケージ案』を勝ち取り、特例の新規免許枠も頂戴した。しかしこれも結局、全ての枠を埋めたのは大阪と神戸だけで、本当にもどかしさを感じた。この先、個人業界は終焉に向かっていくのか、それとももう一度明るい未来に向かっていくのか。いずれにしても大阪の場合、3000両あれば何とか組織を維持していくことができる。そこを目指して若い執行部のメンバーとともに、国交省の要請にも目に見える『成果』で応えながら、反転攻勢で頑張っていきたい」と力を込めた。
〔8月26日号関西版掲載〕 <Topへもどる>

2023年8月26日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】「インボイス登録宣言式」/全大個協組が普及促進のため
【 東京 】地域別最賃改定額公表/18日 厚労省
【 大阪 】「働かせ方の構造改革が必要」/乗務員不足対策で信原氏
【 東京 】連日報道のRS論議/テレ東で名大・加藤教授が慎重論
【 大阪 】RS解禁迫る風潮に危機感/アベマ出演の坂本氏に賛同の声
【 京都 】UD研修の実施にむけて/京タ協 事前アンケート実施
【 大阪 】新観光ルート別運賃が認可/観光部員増員も 山口・副理事長
【 神戸 】東京・日交、西神交通が運行/神戸市2カ所で地コミュ実験
【 京都 】「SDGs宣言書」を公表/4つのテーマ解決に キャビック
【 名古屋 】大規模災害時にEV活用で協力/名鉄タクHD、名古屋市と協定
【 東京・福岡 】ゲストに珊瑚G・山根代表/DiDiがセミナー展示会開催
【 京都 】互助協組、レクリエーション開催
【 大阪 】9月のキタ・ミナミ街頭指導日程
【 大阪 】コスモキャブ大阪に39両に
【 大阪 】ユタカ中央→OTB 6両譲渡
【 大阪 】吹田J→OTB 4両譲渡
【 大阪 】15両の譲渡譲受申請/東大阪オーケー→ワンコインD
【 大阪 】新金岡→ワンコインD 15両
【 大阪 】45両の譲渡が認可/破産の東洋タク→エニーウェア
【 大阪 】近運局 1事業者車停処分
 
2023年8月25日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】大阪市域の日車営収 4万3084円/運改効果など 大タ協 7月輸送実績
【 京都 】京都市域は3万7858円/京タ協 7月輸送実績
【 東京 】大阪の7月営収は14.5P改善/全タク連 19年対比の営収推移
【 大阪 】メトロが深夜の乗合運行提案?/大タ協経営委で意見交換
【 大阪 】協会長表彰270人を審査/大タ協交通安全委
【 京都・奈良 】都心部と郡部で回答数に差/「打ち手の総点検」に向けた調査
【 奈良 】分割休息など5項目を要望/奈タ協 自民県連と懇談会
【 神戸 】三ノ宮駅南側、仮乗場6両確保/兵タ協、サービスセンター委
【 大阪 】個タク2氏に認可書授与/全大個協会「事業開始説明会」も
【 大阪 】9月14日に各地で街宣行動/自交大阪 拡大執行委など開く
【 京都 】秋闘の事前打ち合わせ/自交京都・執行委員会
【 東京・大阪 】RS推進派相手に論陣/日本城タク・坂本社長
【 大阪 】茨木高槻と松原が金賞受賞/大阪府のチャレコン表彰式
【 東京ほか 】エムケイのSNS戦略を講演/リプロがHV形式で開催
【 大阪 】自動車整備士等大運支局長表彰
 
2023年8月23号 関西版 ニュースヘッドライン
【 京都 】インボイス非対応者には当面配車不能/DiDiが「対応アンケートを実施」
【 京都 】21条許可申請6事業者提出/残り3事業者も提出予定
【 和歌山 】最高顧問に野福己氏/和タ協、理事会で承認
【 大阪 】大協、臨時総会で理事補選/向井有希子氏を選任
【 神戸 】2カ月連続で全地区増収/兵タ協 4、5月の全県輸送実績
【 京都 】観光需要とともに白タク復活?/近畿管内の観光地が主戦場に
【 大阪 】無事故減額1417人など承認/全大個協組 総務委員会
【 大阪 】7月度は事故件数が10件/「支払い多額」全大個協組審査委
【 大阪 】クレピコの決済機能追加へ/全大個協組 事業委員会
【 大阪 】1、2カ月後に24時間営業開始/日本城オートガスセンター
【 京都 】全国交通安全運動実施要綱決定/京都府交通対策協議会が送付
【 京都 】観光マナー啓発動画放映開始/エムケイホールディングス
【 大阪・東京 】交通労連 定期大会日程
【 京都 】地域公共交通計画協議会/京都市で今日開催
【 大阪 】交通安全対策講習会開催/大タクセン 高齢運転者対象
【 大阪 】英語講座(初級編)/大タクセン開講
【 大阪 】大丸タクシー 車両の構造変更
【 大阪 】関空タク運営協 理事会開催
【 大阪 】NARDO、5・5遠割廃止
【 静岡 】国交省の補助対象サービスを公表/システムオリジン
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