【 東京 】７日の衆院・国土交通委員会（西銘恒三郎委員長、自民）で、規制改革推進会議１次答申と未来投資会議の成長戦略素案（未来投資戦略2017素案）のタクシーに関係する部分の記述が取り上げられ質疑が行われた。国交省の藤井直樹・自動車局長は１次答申に盛られた「自家用自動車による運送」をめぐる記述について、いわゆるライドシェアを認めるものではないと明言し、未来投資戦略の「シェエアリングエコノミー」に関する記述については内閣官房の広瀬直・経済再生総合事務局次長が、「ライドシェアに焦点を当てた記述は盛り込まれていない」と答弁した。石井啓一国交相もライドシェア解禁については「極めて慎重な検討が必要」と述べ、従来の否定的見解を繰り返した。民進党・本村賢太郎氏への答弁。
　本村氏は規制改革推進会議の１次答申で、自家用自動車の運送について「ガソリン代等の他に一定の金額を収受することが可能な範囲を通達で明確化する」とあるが、国交省はどのように受け止めているのか、ライドシェア解禁につながらないよう十分な配慮が必要ではないかと質した。
　藤井局長は答申の当該部分について、「自家用車のドライバーが自らと同じ目的地に向かう他人をついでに乗せることを念頭においているものであり、国交省としては答申及び政府の規制改革実施計画の内容を踏まえて、有償運送ではないことを前提に収受できる金額の範囲を明確にしていくものだ。よって、今回の答申の内容を実施することで自家用車を使用する有償運送、いわゆるライドシェアを認めることにはならない」と答えた。答弁に対して本村氏は「ノッテコ」型の相乗りマッチングへの懸念を示した上で、新たな通達がライドシェア解禁につながらないよう求めた。
　次に本村氏は未来投資戦略2017素案に記述された「シェアリングエコノミー」に、新経済連盟が提案しているライドシェアが含まれているか否か内閣官房の見解を質した。広瀬次長は、素案の記述について「シェアリングエコノミー一般についての記述があるが、ご質問のライドシェアに焦点を当てた記載は盛り込まれていない」と答えた。本村氏は「ライドシェアに関する記述は含まれていないものと理解する」と強調した上で、改めてライドシェアに対する石井国交相の見解を求めた。
　石井国交相は「自動車による旅客の運送においては安心・安全の確保が最重要と認識している。いわゆるライドシェアは運行管理や車両整備について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが責任を負う形態を前提としている。国交省としては、このような形態の旅客運送を有償で行うことについては、安全の確保、利用者の保護の観点から問題があり、極めて慎重な検討が必要と考えている」と答弁し、従来の見解を確認した。
〔６月10日号関東版掲載〕　 <Topへもどる>

【 神戸 】兵庫県養父市は週明けの13日、従来の地域公共交通会議とは別に、交通運輸事業者を含めた新交通システム推進の協議会を設置する。同市はかねて、市内各地に点在するボランティアドライバーを交通運輸事業者が管理する形での新交通システムによって交通空白地を解消する構想を示しており、運営主体となるＮＰＯ法人を協議会主導で設立するなどの方策で構想を具体化する。
　新協議会は、市内のタクシー３事業者（全但タクシー、丸八観光タクシー、あいあい）と全但バス、市の担当部署である人権・協働課、国家戦略特区・地方創生課で構成する見通し。事業者と４〜５月に調整を重ねてきた。協議会では、路線バスの運行ルートとの兼ね合いなどについて調整を行っていくようだ。同市は国家戦略特区の指定地域だが、新システムは現行法で認められた自家用有償運送の制度内での実施であり、国家戦略特区としての要素は認められないようだ。
　兵タ協但馬支部（村上宣人支部長）は、同市を含む所轄２市２町でこれ以上、自家用などの多様な運送形態が登場することに危機感を強めており、各自治体に「乗合タクシー事例集」を持参するなどのアプローチを行っている。住民主導型乗り合いタクシー「チクタク」や市営コミュニティバス「イナカー」を運行する豊岡市では、前者については「運転者不足」、後者については「維持の困難さ」という課題を抱えており、運行補助は行えないとしながらも「乗合タクシー」の導入を前向きにとらえている部分もあるという。
〔６月10日号関西版掲載〕　<Topへもどる>