ハイヤー・タクシー業界専門情報紙  株式会社 交通界
2014年10月27日

    交通界WebNews
最新号ニュース
発行物について
購読のご案内
採用情報
会社概要・沿革
広告のご案内
 










「週刊交通界21」毎月4回情報発信
「地方創生」交通NWの中でタクシーは
 論点整理案に「初乗り距離短縮運賃」も
   交政審小委 10年先までの行政施策展開の方向性

 国土交通省は9月24日、交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会に「豊かな未来社会に向けた自動車行政の新たな展開に関する小委員会」(委員長=山内弘隆・一橋大学大学院教授)を発足させ、初会合を開いた。10月21日には第2回会合を開き、中間とりまとめに向けた論点整理の原案を提示、次回12月3日の第3回会合で本格的な論議を行う。本稿では第2回会合で提示された論点の中から具体的にタクシーにかかわっていく項目を選び出して、その問題意識と方向性について紹介していくこととしたい。

 初会合時に示された同小委の審議事項は「『国土のグランドデザイン2050』の実現、観光立国の実現、国際競争力の強化等に向けて、自動車行政において速やかに講ずべき施策を整理するとともに、将来を見据え、今後10年程度先までの自動車行政の新たな展開の方向性をとりまとめる」と説明されている。
 今後の進め方として第2回会合では、関係事業者団体、個別事業者からのヒアリングを行い「速やかに講ずべき施策に関する事項」を中心として中間的な整理に向けた議論を行うこととし、第3回会合では中間整理案について議論を行うこととされ、第2回会合まで実際にこのスケジュールに沿って進行した。
 小委設置の背景には人口減少による自動車運送事業等に限定しない全般的な需要の減少やサービスの担い手の減少、国内消費減を補うべく強力に推進されている観光立国施策や様々な技術革新によるサービスの変容などが挙げられているほか、既存法令で想定していない事態をできるだけ先取りしていこうとの意図もうかがわれる。小委で取り扱われる事業分野はバス、タクシーのほかトラック、自動車整備業などである。

「小さな拠点」支える自動車交通NW
 さて、前置きはこれくらいにして、第2回会合で示された中間とりまとめに向けた論点整理案だ(ファックスプレス関東版10月22日号に概要を既報)。原案では内閣の重要施策である「地方創生に関する事項」と「それ以外の速やかに対応すべき事項」に分類されている。旅客自動車運送事業(バス・タクシー)に関する論点はほぼ前者に集中している。
 地方創生に関する事項では「小さな拠点における周辺を支える自動車交通ネットワークのあり方」「コンパクトシティ形成に資する自動車交通ネットワークのあり方」「高次地方都市連合における複数の地方都市を繋ぐ自動車交通ネットワークのあり方」「地域産業としての自動車運送事業等の果たす役割と維持・活性化」に区分されている。

過疎地域における「貨客混載」
 「小さな拠点」に関する課題としてあげられているのは、@小さな拠点を活用した持続可能な地域づくりを推進する上で何が必要かA過疎地域と生活サービスを提供する場所をアクセスするネットワークやサービスB輸送サービスにとどまらない生活支援サービス等による地域貢献―の3つ。
 具体的には、「公共交通を単一の輸送モードによる事業として維持することが困難であり、貨客混載について検討する必要がある」「小さな拠点とその周辺集落を結ぶ路線から民間バス事業者が撤退し、コミュニティバス、デマンド交通や自家用有償旅客運送による代替が求められている」「人口減少・高齢化が進み、過疎地域において外出が困難なお年寄りや体が不自由な方への生活支援が求められている。運送業においても、運送サービスにとどまらない生活支援サービスを検討していく必要がある」などとしている。
 貨客混載については現行制度上、バス・トラック事業者等が一定の条件の下で貨客混載を行うことが認められているが、過疎地域においてタクシー事業者やトラック事業者が行う貨客混載を認める規定はない。そこで、「既存事業者の営業が行き届かない過疎地域において、円滑な人流・物流の確保を通じた生活環境の整備を図るため、タクシーによる有償貨物運送やトラックによる有償旅客運送を可能にすることについて検討する」と提言し、一方で「既存事業者の営業が行き届かない地域に限定する」「安全運行のため必要な措置についても検討する」としている。
 コミュニティバス、デマンド交通、自家用有償旅客運送については、「これらの導入をしやすくするため、手続きの緩和や実施主体の拡大等を検討する」として、地域公共交通会議(道路運送法により規定。自治体主催によりバス路線の路線設定、運賃設定等の弾力化のための地域の関係者による合意形成の場)への付議などの手続きの簡素化によるコミバス、デマンドタク導入の促進、法人格を有しない者の事業を認める自家用有償運送の実施主体弾力化、一定の条件下で地域外からの訪問者を認めることによる自家用有償運送の旅客の範囲の拡大―を論点にあげた。
 タクシーを活用した生活支援サービスによる地域貢献では、具体例として「おでかけコンシェルジュ」「買い物代行サービス」「介助・介護サービス」「携帯電話等を活用した緊急時の救援サービス」を例示した。その上で、「これらの取り組みを進めながら、持続可能性の向上のために必要な支援策を検討すべきではないか」と提言している。
 「コンパクトシティの形成」では、課題として「人口減少が進み、市街地部でも人口密度が低下していく中、都市機能や居住機能を都市の中心部等に誘導していくためには、都市中心部等での人々の生活や諸活動を、より効率的に、より便利に、より快適にしていくことができる、質の高い自動車交通ネットワークが求められる」とし、さらに「まちづくりと連携し、自動車交通ネットワークの質を高め、都市中心部等の人口の維持・増加や土地利用を促進することにより、公共交通の利用者・収益の維持・増加を図り、さらにネットワークの質の維持・向上に繋げていく、好循環を目指すべきではないか」と提言している。
 この分野での主役はBRTを含むバスなのだが、タクシーやレンタカー型カーシェアリング、超小型モビリティなどの活用にも言及している。路線バス関係の施策では、速達性、定時制に優れた路線バスの導入に当たっては、その速達性・定時制等の向上のために一定の設備を要することから、運賃とは別に料金を収受することにより、費用負担を軽減させることができないか等を検討課題の一つにあげている。

「初乗り距離短縮運賃」の普及を
 利用者利便の向上に資する施策ではタクシーで、スマートフォンアプリを活用した配車システムの普及を進めていくことが取り上げられたほか、バリアフリー化促進の観点からノンステップバスやUDタクシー車両の導入促進も課題にあげた。特に個別輸送を行うタクシーについては「高齢者、障害者のみならず、妊産婦やベビーカー利用者等のきめ細かなニーズへの対応を促進するとともに、短距離の移動であっても気軽に利用できる初乗り距離短縮運賃の普及を進めるべきではないか」と提起している。初乗り距離短縮運賃については業界内での論議が始まったばかりだが、早くも交政審での課題として先取りされた格好だ。
「高次地方都市連合」の関係は主に高速バスネットワークに関するものなので、本稿では割愛する。
 最後の「地域産業としての自動車運送事業等」については、課題として「経営基盤の強化に向けて、経営革新・事業効率化、競争力強化に資する施策を検討できないか」とし、具体的には新技術等(IT等)の積極的な導入やソフト面の新たな取り組み、輸送サービスの域を超えた付加価値の提供(例:見守りサービス)をあげた。
 タクシーについては「利用したいときに速やかに利用できる環境づくりや、増加する外国人客への対応が不可欠だ」とし、「タクシーサービスの改善や交通渋滞の解消のための取り組みが必要だ」と指摘。スマホアプリ配車や自動翻訳、隔地駐車場配車システム(ショットガン方式)の普及促進を例示した。
また、日車営収等の向上や車両費等の維持管理コストの削減も不可欠だとして、共同配車センターの設置やデジタル式GPS−AVМを活用した営業効率化、事故リスク・費用削減が必要だとして、先進・優良事例の紹介や助言を通じた実効性ある取り組みの普及促進を提言している。
 また、「賃上げを含めた労働条件の改善により、ドライバー・整備士等の人材の確保・育成を図る必要があるのではないか」「労務管理システムの改善により、経営の効率化も推進すべきではないか」との課題、「これまで活用が進まなかった女性や若年層の新規就労と定着を促進していくべきではないか」との課題も示した。
タクシーにおける労働条件改善については、改正タクシー適正化新法における特定地域等での需給調整により日車営収、賃金向上を図る建前になっているが、現在のところ特定地域の指定基準さえ定まらず、新法のスキームは停滞を続けているが、その点については特に触れられていない。

最終とりまとめは来年6月頃に
 第2回会合で示されたのは、あくまで中間とりまとめに向けた論点整理案であり、踏み込んだ議論は特に行われておらず、それは次回会合で実施することになっている。小委としての最終とりまとめは来年の6月頃になるとみられるが、個別事業者にとって大いに関心のあるところとしては、速やかに実施に移されるべき施策として中間とりまとめに盛り込まれる部分ということになるだろう。
小委の印象としてはやや抽象的な論議が中心なのかという感じもしていたが、ここにきて具体的な施策が急速に俎上に載せられている観もあり、各事業者にあっても大いに関心を持っていただいた方が良いように感じた次第だ。(了)
<Topへもどる>

No.558 10月27日号 主な内容
■巻頭人物
:刀禰俊哉氏(内閣府規制改革推進室次長)
気になる数字
:2万4000両〜4万9000両/規制改革会議の「注文」と国交省当初案の乖離幅
トピックス:「地方創生」交通NWの中でタクシーは〜交政審小委・論点整理案
:大阪の女性乗務員比率1.0%〜「全国最低」返上して「女性目線」で活性化を
:初乗り距離短縮で質疑、10月も活発な議論〜大タ協理事会、活性化顕著に
:「呼べば必ず来る」タッくん〜東タク協・樽澤副会長に聞く
:「乗って良かった」を全ての方に〜東京無線協組・接客コンクール
:安全確保と110番とサービス向上〜大タクセン・第4回運行管理者講習会
:厳しいときこそ根本に立ち返れ!〜花菱タクシー・秋季交通安全講習会
:<スポット> 近運局第14回優良自動車運送事業者表彰
東西往来
:まず「お産の基礎」を/「ワンコインズ」お披露目
この人/この言葉
:齊藤壽夫氏、篠原俊正氏、坂本篤紀氏、長谷川相徹氏
シャッターチャンス
:反対意見が目立つ業界尻目に/文字通りの“危険”を
:現場からの指摘にこの人も/ハードよりソフト対応が困難?
アラカルト
:多田清社長殿創業史〜「相互十年」を読む
:内外交差点「関西観光教育コンソーシアム」 廣岡裕一氏A
速さ+確かさ
交通界ファックスプレス(『交通界21』特別サービス号/ 週3回配信)

 

Faxpress 関東版
 「まずサーチャージ」の選択も?
    運改は五輪景気視野に中長期目標に
        東京業界、燃料高騰対策で意見交錯

【 東京 】東京業界では、引き続き燃料費高騰を受けて運賃改定や料金設定方式による燃料サーチャージなど、何らかの方法でコスト増を吸収する方策を講じるべきだと考えている事業者が増え続けているようだ。本紙の取材した範囲では、運賃改定か料金設定か、事業者の声は一律ではないが、2020年の東京五輪開催時までに何らかの五輪効果やアベノミクス効果による景気浮揚でインフレ傾向が出ることを前提に、「まず燃料サーチャージ料金を獲得し、次に五輪開催時期をにらんだ運賃改定を目指すべきではないか」との声も出ている。
 9月の東タク協理事会では出席者の中から需要低迷、燃料高騰による赤字拡大を背景に運賃改定を求める意見が出された。燃料高騰については前回運賃改定当時=2007年の査定燃料価格が1リットル当たり約68円だったのに対し、現在では約87円から90円をうかがう情勢となっていることから、業界内でも臨機の措置として燃料サーチャージを料金設定によって行う方法の検討が取り沙汰されている。実際に、10月の全タク連正副会長会議では燃料サーチャージによる料金設定について地方業界の意見を求めた経緯もある。
 都内事業者の声としては、消費者委員会付議という難点を抱えながらも、「円安による輸入コスト増加は多くの産業に共通している課題。正攻法で運賃改定を求めてはどうか」との声も根強い。一方、前回運賃改定時の物価安定政策会議(現在は消費者委員会)への2回の付議と改定増収率を大幅に圧縮された経緯、総括原価方式そのものへの疑義を踏まえて、「燃料サーチャージ料金設定の方が無難ではないか」とする声も少なくない。ただ、燃料サーチャージ料金とした場合、航空運賃でも3カ月程度ごとに燃料費変動に合わせて見直されており、タクシーの場合、メーター改造費用負担の問題が解決されていないという課題もある。同じ自動車運送事業でもトラックの場合は、荷主や元請事業者に対し、後払い一括請求が主体のため、タクシーのメーター問題のような課題よりも、荷主・元請側との交渉の方が課題になっている。
 一方、燃料サーチャージ料金設定を当面の目標としながら早急に取り組み、次に中長期的に運賃改定を目指すべきとの声もある。消費者委員会を介して論争を続ける手間を回避しつつ、料金設定を行った上で、景気回復や五輪効果を見込んでインフレ化傾向が出てくる中で本格的な運賃改定の機が熟すのを待つべきとする意見だ。
 このほか、燃料サーチャージ料金設定に当たっての具体的方法として、シンプルに輸送1回当たり30円程度を設定する方法のほか、乗車距離に応じて10〜50円程度に段階的設定を行う方法を提言する事業者の声も聞かれる。
〔10月25日号関東版掲載〕  <Topへもどる>

2014年10月25日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】「まずサーチャージ」の選択も?/運改は五輪景気視野に中長期目標に/東京業界、燃料高騰対策で意見交錯
【 東京 】トラックで「サーチャージ」/国交省が11月を強化月間に
【 東京 】自民党に「規制改革推進委」
【 東京 】銀座・交詢社通りで新たな火種/客待ち車両の交通阻害で改善要請
【 東京 】初乗り短縮運賃に「反対声明」/自交東京「需要拡大ない」と
【 東京 】12社から53人が受講/東タク協、第4回UD研修
【 東京 】上乗せ契約の更新など承認/日個連交通共済・理事会
【 東京 】14年度上半期始動は46件/優良乗り場の不正入構件数
【 東京 】危険薬物対策は「企業防衛」/東京交通共済・保岡委員長
【 東京 】東京交通共済、優良管理者表彰式/「危険薬物」の講演も
【 横浜 】タクシー関係は61人/関運局・優良運転者表彰
 
2014年10月24日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】外から見える活性化の取り組みを/適正化へ「努力不足」の誤解を払拭/全タク連 田中・地域交通委員長
【 東京 】2種免の取得要件緩和が必要/交政審小委で日立自交・佐藤社長
【 東京 】「東京無線のサービス」統一へ/「SSトレーナー」66人認定
【 東京 】「危険薬物」毒性は大麻の100倍/日の丸交通Gが講習会
【 東京 】最優秀は新東タク・宇田川氏/チェッカー第1回接客コンクール
【 東京 】産業の現状を分析した運動を/創業50年に向け、国際労組
【 東京 】初乗り距離短縮に反対/全自交加盟の東洋交通労組が大会
 
2014年10月22日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】論点整理案に「初乗り距離短縮」/過疎地域における「貨客混載」も/「地方創生」で交政審小委
【 東京 】大和自交がハイヤー部門分社化
【 東京 】参加者は総勢32人に/東タク協・ロンドン視察
【 東京 】タクシー41人など205人/自動車関係功労者大臣表彰
【 東京 】最優秀賞は飛鳥交通第六・小川氏/東京無線第12回接客コンテスト
【 東京 】ステッカー未貼付は「未認定者」に/マスター不正対策で都個協
【 東京 】運用会社、再び2000社超に/全国のデジタル無線導入状況
【 横浜 】神タ協・川崎支部がモニター懇談会
【 横浜 】再任の石渡委員長「強い絆」で/神交運・年次大会
 
2014年10月20日臨時号 関東版 ニュースヘッドライン
【 横浜 】都内54自治体の半数以上が出席へ/「特区・武三」「多摩」の2部構成/30日開催、タクシー活用方策等の意見交換会
【 横浜 】又野局長、危険薬物で注意喚起
【 東京 】危険薬物防止講習会/都内事業者で活発化
【 東京 】優良勤続職員19人を表彰/東タク協・三多摩支部
【 横浜 】振り込め詐欺防止で善行表彰/神タ協、一般紙も取り上げ
【 東京 】より有効に「ISO39001」/NASVAが記念講演会
【 東京 】地域・期間限定で規制緩和に配慮/改正適正化新法めぐり高市総務相答弁
【 横浜 】ラジオタクシーが妊産婦送迎研修
【 横浜 】全自交神奈川、新委員長に佐藤氏
 
2014年10月18日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】「対象台数」の是非で国交省と相違/立法者の指摘にも「趣旨は十分承知」/参院・国交委、特定地域指定基準巡って内閣府
【 東京 】特定地域指定「関係者との調整十分に」/田端・自動車局長答弁
【 東京 】「必ずしも効果が見られない」/タクシー規制緩和で太田国交相
【 東京 】早期、広範な特定地域指定を/自民党タク議連総会で全タク連
【 横浜 】15地区中7地区が実質減収/関運局管内・9月原計輸送実績
【 広島 】特定地域の適正指定へ取り組み強化/全自交労連が広島で定期大会
 
2014年10月17日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】新卒採用「まず100社」目標/ノウハウ伝達、12月9日に事業者説明会/東タク協PT、来春130人採用の見通しも
【 東京 】専任の女性ドライバーがサポート/国際自動車「リラクシー」発表会
【 東京 】多摩の需要低下が深刻に/東タク協・9月の原計輸送実績
【 東京 】全国の福祉タク1万3978両/13年度末現在、目標達成に遠く
【 東京 】「杉並安全・安心タクシー」運行/第三コンドルタクシーが出発式
【 東京 】特定地域の指定待たず減休車を/再任の自交総連・城委員長
【 東京 】接遇講座、初の上級英語編に41人/東京タクシーセンター
【 福岡 】高齢者の運転免許返納割引/第一交通産業が北九州地区で
【 東京 】交運労協、新議長に住野氏
 
<Topへもどる>
速さ+確かさ
交通界ファックスプレス(『交通界21』特別サービス号/ 週3回配信)

 

Faxpress 関西版

■ 増車競争再開は地域性・市場性による
     全タク連・田中副会長、準特地域の指定解除で見解

【 東京 】全国ハイヤー・タクシー連合会の田中亮一郎・地域交通委員長(副会長兼務、第一交通産業社長)は20日、千代田区の第一交通産業東京支店で本紙のインタビューに応じ、改正タクシー適正化新法における特定地域指定基準策定の遅れに関連して、「事業活性化の取り組みを外から見えるように取り組まなければならない。それができていないことで、規制改革会議から『努力が足りない』というようなことを言われる」と述べた。毎年10月1日を目途とする準特定地域の指定見直しについては、「一部地域の指定解除が取り沙汰されているが、道路運送法の原則自由化に立ち返ることで直ちに増車競争が再開されるか否かは地域性・市場性による」との見方を示した。
 規制改革会議の意見書で特定地域指定基準の策定が大幅に遅れていることについて田中氏は、旧適正化新法時代の事業適正化努力を振り返りつつ、「全国平均では10%超の輸送力削減をしてきた。総収入はなおも減少傾向にあるが、日車営収は若干上昇し、乗務員の賃金にも跳ね返っている」と評価した上で、「事業適正化に比べ、活性化については目立たない部分があった。外から見える格好で一段と努力しなければ、規制改革会議のようなところから『努力が足りない』などといろいろ言われ、決めつけられる」とした。
 規制改革会議が道運法上の自由化原則にこだわりを見せていることに対しては、「規制緩和後も参入、増車がなく、それでも景気の成り行きで供給過剰となり、旧適正化新法に基づき輸送力削減に努力してきた地域が多数ある。自民党タク議連総会でも『日車営収上位6県の総売上は全国の総売上の5割以上を占めている』と申し上げたが、まさに上位6県以外のような地域がこれに当たる。規制緩和さえしておけば良いという考えでは将来、交通過疎地域が増えるばかりだ」と懸念を表明した。
 毎年10月1日を目途とする準特定地域の見直しが今年は遅れていることについては、特定地域指定基準策定の遅れとの関連を指摘。また、準特定地域の一部が指定解除になるとの見方があることに関連して「過去長らく参入も増車もなかったような地域なら、解除になったとしても直ちに増車競争になるとは限らない。地域性・市場性によるだろう」との見方を示した。
 大阪府・市によるタクシー自由化特区提案については、「自由化の対象とする優良事業者の基準が全く分からない。運賃が安ければ自動的に優良とでもするつもりなのか」と不快感を示した。
〔10月25日号関西版掲載〕<Topへもどる>

2014年10月25日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 東京 】増車競争再開は地域性・市場性による/全タク連・田中副会長、準特地域の指定解除で見解
【 京都 】11月7日着工、乗り場など順次移設/京都駅八条口の整備工事
【 京都 】高裁判断は福岡が先に?/エムケイGの公定幅運賃「仮処分」
【 大阪 】外国人観光客のニーズと齟齬?/「インタク」の方向性に疑問の声
【 神戸 】西宮・生瀬地区のデマンド実験/阪急タクシー、今回は半年間
【 大阪 】近運局、優良事業者表彰式
【 神戸 】兵庫共通共済・総務委員会開く
【 大阪 】概算見積り提示へ/大無協・次世代設備委員会
【 大阪 】三日月、南部中央が役員変更届
【 大阪 】ワンコイン八尾、役員変更届
【 神戸 】南あわじ観光タクなど役員変更届
【 神戸 】兵庫交通5両→神戸空港タク、取下げ
※短信
 
2014年10月24日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】路上横臥者の轢過事故防で協定へ/大タ協、11月初旬に府警と調整
【 神戸 】接客コンテストとUD研修を2本柱に/乗務員資質の底上げで兵タ協
【 神戸 】兵タ協・地域交通特別委が初会合
【 大阪 】自賠責保険料の営自格差/日本城・坂本社長「納得してない」
【 大阪 】「裁量権の逸脱に反省あるのか」/壽タクシー・浦木山社長
【 大阪 】京都タク、南丹タクを優良表彰/近運局、デマンドで社会貢献
【 大阪 】新委員長にバス部会・村嶋氏/日交大阪地区労組・定期大会
【 神戸 】兵タ協、労務講座は来年2月に
【 大阪 】「車内を癒しの空間に」/南タクシー・大岡社長がアイデア
【 大阪 】環境厳しいが無事故で健康に/花菱タクシーが秋季安全講習会
【 大阪 】大阪ハイタク連合会が定期大会
【 神戸 】阪神タク労組、福永執行部発足
 
2014年10月22日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】大阪の女性乗務員比率1.0%「全国最低」/大タ協理事会、活性化へ「女性の目線」活用提唱
【 大阪 】若年者のための新会社を共同出資で/業界全体で育成と定着図れとの声
【 大阪 】高すぎる自賠責保険料に異議/「営自格差」で大タ協・坂本理事
【 京都 】サービスカードの運用改善/対外PRにも力、市個人・嶋田理事長
【 大阪 】大阪の乗務員、7月以降232人減/輸送秩序確立で魅力ある職場に
【 神戸 】さらに長期の無事故・無違反など/兵タ協・総務委、新たな表彰規定検討
【 大阪 】新たな共済制度検討へ/ヤマト交通労組委員長に長谷川氏
【 大阪 】近畿管内27人受賞/自動車関係功労者大臣表彰
【 大阪 】軽音楽部「ワンコインズ」が施設慰問/ワンコイン八尾のボランティア活動
【 大阪 】近運局、バス20社を無事故表彰
 
2014年10月20日臨時号 関西版 ニュースヘッドライン
【 東京 】立法者の指摘にも「趣旨は十分承知」/参院国交委で質疑、特定地域指定基準巡って内閣府
【 東京 】準特地域の介助など「地域実情踏まえ」/田端・自動車局長答弁
【 東京 】地域・期間限定で規制緩和に配慮/改正適正化新法めぐり高市総務相答弁
【 大阪 】関協理事会 利益処分の検討報告
【 大阪 】キャラクターのネーミング公募/近く結果発表、60周年の池田タク
 
2014年10月18日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 東京 】「自由化特区」阻止へ継続支援を要請/自民党タク議連総会で大タ協・三野会長
【 大阪 】大阪駅乗り場「諦めるな」の声/大タ協理事会で若手理事
【 京都 】京タ協理事会は当事者含め発言なし/深夜割増廃止処分巡る「法的措置」
【 広島 】特定地域の適正指定へ取り組み強化/全自交労連が広島で定期大会
【 広島 】「自由化特区」に警戒解かず/全自交関西地連・定期大会
【 大阪 】横断歩道、夜間の横臥者に注意を/運行管理者講習会で黒田課長
【 大阪 】タクセン英語会話「実践編」に31人
【 神戸 】末澤産業のオートガス事業を吸収/伊丹産業が子会社化
【 大阪 】マスターズ参加率89.8%/全個協近畿支部、全国平均レベルに
【 大阪 】北新地で自主街頭指導
【 大阪 】労働運動を次世代に継承/大タク労組・川委員長
【 大阪 】東大阪中央タク、役員変更届
【 大阪 】古市交通、役員変更届
【 神戸 】垂水→オリエンタル、全部譲渡
【 大阪 】近運局、1社車停処分
※大運支局監査情報
 
2014年10月17日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】燃料サーチャージを発検討/大タ協・経営委 運改、5・5廃止などの意見も
【 大阪 】大タ協は「タクシー特区」不採用を訴え/自動車会議所が自民党府連と政策懇談会
【 大阪 】専用乗り場以前に案内表示の整備を/JR大阪駅など、インタク創設委
【 京都 】タクシーの乗降には支障なし/四条通警備計画案、業務センター了承
【 神戸 】9月の運転者証交付275件/兵サセン、前年比105件減
【 大阪 】譲渡譲受効果で減少に歯止め/全大個協会・和田会長
【 京都 】ユニバーサル社会への貢献を/京都個タク・事業者研修会
【 神戸 】年内に200人がIP無線に/神戸個人、12月から切り替え作業
【 大阪 】大タ協、11月10日にUD研修会
【 神戸 】兵タ協、11月に安全講習会
【 神戸 】伊川谷地区タクシー協が総会
<Topへもどる>
 
 

Copyright(C) 2009 kohtsukai Co.,Ltd All Right Reserved  株式会社 交通界  無断転載禁止