ハイヤー・タクシー業界専門情報紙  株式会社 交通界
2011年7月25日

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「週刊交通界21」毎月4回情報発信

本格的に動き出す運転代行業対策
地方業界の抱える問題に取り組む
全タク連地域交通委員長・田中亮一郎氏

 記者自身も含めて東京にいるだけでは地方業界の実情はなかなか分らないものだ。全タク連の会合なども含め、さまざまな場を捉えて地方業界幹部の声を拾ったとしても、「そういうことがあったのか」と表面的な理解に終わりがちである。東京、大阪など大都市部ではタクシー適正化新法に基づく減休車問題への対応が事業者の一大関心事であり、同様の理由で多重運賃の解消に関心をお持ちの向きも多いことと思う。そんな中、日々地を這うような営業を続ける地方の業界の現実的な問題意識とは何かを、全タク連・地域交通委員長の田中亮一郎氏に聞いてみることにした。(7月12日、第一交通産業東京支店で収録。聞き手:植村俊郎)

―6月の全タク連正副会長会議でもタクシー適正化新法の執行、タクシー事業法の制定と並び、自動車運転代行業対策が運動の大きな柱として改めて位置付けられました。自動車運転代行業の実態調査にも着手されます。これまでの経緯についてお聞かせ下さい。

「代行業規制」が不可欠な地方都市
田中 全タク連組織にはもともとタクシー類似行為対策特別委員会があり、当時からこの問題について旧・運輸省時代の自動車交通局とも直接的にいろいろ、意見要望を伝えてきたという経緯があります。夜の繁華街での利用者を奪い合うというタクシーと運転代行の関係は変っていないのですが、タクシーの方はこの間に規制緩和になり、今度は一転して規制強化になるなど、取り巻く環境はその頃とは大きく変わっています。今ではタクシー適正化新法により特定地域に指定されると一定の車両数削減に取り組まざるを得ず、法令によって総売上は減少する傾向にあります。
 一方、運転代行業には総量規制がありませんから、要するに地方(郡部)の業界では代行業規制なくしてタクシー規制強化もないというわけです。「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律」の制定により代行車両のドライバーに2種免許を義務付けるなどの形式上の規制はなされるようになりましたが、それによってむしろアングラ産業ではなくなり、ある意味で堂々たるものとなった。自由に参入できて、しかも価格規制は事実上なくてバラバラのまま増え続けているのが実情です。
 一方でタクシーは自動認可運賃の幅が圧縮され、また、乗務員の労働時間規制は大変に厳しいものがあり、その順守のチェックも厳しい。このままでは競争条件として不公平でしょう。地方業界固有の問題はたくさんありますが、その中で運転代行業問題に端を発する形で地方の問題を解決する機関として現在の地域交通委員会に発展してきたものと思っています。
 そういう組織改編の中でどういうふうに実効性を上げていくか、目に見えるものにしていくのは難しいものですが、わたしの会社=第一交通産業グループが福岡なものですから、まず福岡県警交通部に運転代行業だけでなくタクシーの規制がどう変化してきたかなどもお話し、競争環境の変化を訴えてきました。
 運転代行業は国土交通省と警察庁の共管ですが、中央はともかく、現場においてはタクシー規制の変化、競争条件の変化に対する認識は必ずしも十分ではなかったなという印象です。われわれの調査では自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律に基づく認定を受けた車両数と実地で観察を続けた結果得られた実在の随伴自動車の車両数には乖離があり、実質的に無届営業している車両が多数あったことも分っています。

実態調査と所管官庁の担当選任
 そういう実態も踏まえて全タク連事務局を通じて国交省、警察庁とも協議し、この問題の担当者を決めていただいた。その上で地域交通委員会の場でも福岡以外の皆さんにも各地域の実態を発表していただきました。そこで両省庁にも「実態はそこまでになっていたのか」ということが理解していただけた。
 これまでも運転代行業は暴力団の資金源になっているケースもあるだろうということもあって、それも踏まえた実態調査が必要だということになり、今回、プレ調査に乗り出すということですね。代行業界も事業者団体が分裂しているとか、価格競争が激化しているということもあるらしく、事実上の無規制が続くと安全性の問題もあります。共管両省庁にはっきりと担当を決めていただいたこと、実態調査に動き出したことは、目立たないことですが小さくない一歩だと思っています。このプレ調査の中でいろいろと問題が炙り出されてくれば本調査=47都道府県全地域での調査ということになるでしょう。
 原則この問題は都道府県別なんですが、運転代行業には営業区域というものがありませんから、隣県の業者が営業しているということもある。ブロック単位での取り組みが望ましいのではないかと思っています。いずれにしても全国共通の基本ルールをきちんと定める必要があります。

―そもそも運転代行業は警察庁、国交省の共管ですが、タクシー業界としては今後所管官庁の一本化を求めていくことになりますか。

田中 われわれとしてはタクシーを所管する国交省一本にまとめて欲しいとは思っています。

―同じような顧客層を奪い合っているというお話もありました。また、年々タクシーだけが規制強化されているということでもありましたが、最近の減休車によるタクシーの減少を代行業が埋め合わせているという実態は確認できているのでしょうか。

田中 公式の統計によるもので相関が認められているということにはなっていません。非公式ベース、実感としては明らかなのですが。いわゆる利用者アンケートではなく、文字通りの実態調査が必要だというのはそういうところもあってなんです。まずは法令に基づく認定通りの事業運営となっているかどうかが出発点ですね。

―タクシー、運転代行双方の事業運営上の問題点として乗務員の二重勤務の問題も指摘されているようです。

タクシー乗務員が掛け持ち勤務
田中 運転代行業のドライバーにも2種免許が必要ということになって、むしろタクシー乗務員が勤務明けに代行業に従事するケースが出てきました。政令指定都市ではタクシーの乗務員登録制がスタートしていますが、その登録乗務員が運転代行業と二重勤務している実態は把握できないんです。そういう仕組みができていない。タクシー会社が自ら経営するタクシー代行などのように個別のドライバーが過重労働にならないようにできる場合を除けば、原則として掛け持ち勤務を禁じるようなルールも必要でしょう。
 そうなれば地域でのドライバーの成り手の総数はある程度、限られていますから運転代行だけが増え続けるということもないはずなんです。タクシー+運転代行の総数が一定になるという総量規制の話だけでなく、安全性の問題も大事です。昼勤でタクシーに乗り、夜は運転代行業。これを毎日繰り返すことも現状ではできてしまう。過労で事故を起こしてしまってから「実は二重生活でした」と分ることもあります。せっかく2種免許を義務付けたのだから、どこで働いているかは把握できるような仕組みが必要だと思います。

―確かにドライバー総数に規制を掛けることで安全性を担保しつつ、総量をある程度コントロールすることはできそうですが、一方でタクシーは適正化新法により減休車を求められています。競争条件の公平化をスタートラインにつけたとしても、その先はどうなるのでしょうか。

業界エゴと言われぬように
田中 すでに運転代行業そのものは定着し、市民権も得ています。現実的な問題として代行業そのものを禁止したり、随伴自動車総数の規制をすることは難しいと思いますね。いまはまず総数の抑制、ついで営業エリアの問題、価格についてもアルバイト運転者などがやっているからこその低価格ということもあるんです。本来、タクシーと同じ安全性を要求し競争条件を同じにすればクルマ1台を運ぶのに人間2人を使うわけですから、倍の人件費がかかる。それをタクシー並みやそれ以下でやっているわけですから、どこの経費を削っているのかということです。ある程度、競争条件公平化が図られれば淘汰が進むものと考えています。私どもは無理な要求をして業界エゴと言われるよりも、現実的な要望をして確実に取り組んでいただき効果を上げることが大事だと思いますね。

―急がば廻れということでしょうか。

田中 地方業界の問題はみなそういう傾向があります。運転代行業だけでなく、例えば自家用自動車福祉有償運送などもそう。NPO有償運送では2種免許を持っていないケースも多々あり、本当に怖いのはこちらの方かもしれません。
 福祉輸送の分野にNPOが進出著しいのはタクシー会社がやらなかったからという側面は否定できません。運転代行業は飲酒運転根絶のための「必要悪」という言い方もされていますが、NPO有償運送はまさに「必要だから出てきた」というものでしょう。どんなことがあっても地域の最後の輸送はタクシーが引き受けるということであれば、少なくとも赤字にならないような補助の仕組みを作るよう最大限の努力をした上でわれわれの業界がいかなるニーズにも応えていくべきだと思います。ところが実際には「それは採算が合いません」と言うだけで、いまのような状況になってしまったのではないか。少子高齢化が進む中で、輸送の形態も色々変化があるでしょうが、その際、第三セクターなどにやらせておくだけでなく、タクシー事業者が引き受けるべきでしょう。

業界全体でニーズを受け止め
 例えばの話、1社で引き受ければ年間100万円の赤字になるものでも、10社で共同して引き受ければ1社当たり10万円の赤字で済む。極端な話、100社で引き受ければ1万円の赤字で済む。これからは事業法で想定していないものがいつどんな形で出てくるかわかりませんから、業界もその覚悟で引き受けられるものは引き受けなくては。実際、「お引き受けいただけないのなら、NPOにお願いします」というのが最近の地方自治体の姿勢でしょう。業界全体でこういうニーズを受け止め、なるべく赤字を無くす、小さくする方法を考えることが大事です。そこを含めて相手方と交渉しなければ。事業者団体として仕事をとってくるくらいのことが必要なんだと思います。

―国交省の「運営協議会における合意形成のあり方検討会」の報告書でも触れられていますが、タクシー業界側の合意形成における時間稼ぎとも受け取られかねない戦術も指摘されてきましたが、市区町村単位の地域で核になるような福祉タクシー事業者がいない場合には、いったん地域協議会が設置されてしまうと、さしたる抵抗もなく、なし崩しにNPOの進出を許すことになりそうです。

田中 それこそ、そういう小さい地域の垣根を超えてでもタクシー協会が音頭をとってどうすべきか考えないといけない。過疎地などでは、いったんNPOが進出すれば、そういう地域であればあるほどタクシー会社はなくなってしまいますよ。自治体には「クルマはそちらで保有して欲しい。運行管理は業界できちんとやります」など、いろいろなパターンを提案して地域のタクシー会社が生き残ってけるような方法を考えないと。それができないとなると自治体の側も「なんでもNPOに任せてしまえ」となる。ゆくゆくは移動制約者だけでなく健常者の移動についてもNPOが担うようになり、過疎地、郡部からタクシーが駆逐されていくこともあり得ます。

―運転代行業と並んで観光地など地方業界ではレンタカーの爆発的増加がタクシー事業へ大きな影響を及ぼしています。

レンタカーにはメニューの充実で対処
田中 制度の仕組みもこれからよく勉強してみなければなりませんが、単純に規制を強化することは難しいのではないかと感じています。いってみればリース業と同じようなものであり、利用者が自分で運転することを前提としている限り、「冷蔵庫を貸すな」とは言えないのと同じ理屈ですね。例えば沖縄などではレンタカーは爆発的に増えていますが、それを止める手立てはまだありません。「止めたい」と言うのは簡単ですが。

―むしろ観光タクシーなどのメニューの充実など、タクシー業界側の問題と考えるべきなんでしょうか。

田中 そうですね。レンタカーだと出先でお酒も飲めないし、駐車場探しも大変だし、歩くのも大変だよと。そういうアピールをして利用者が戻ってくる方策を考えるしかないと思います。それに高齢者になってくると旅行先でレンタカーを運転したいか?ということもある。訪日外国人客にしても道がわからないだろうし、左側通行に慣れていないなどの問題もあるでしょうから。

―このほか最近のタクシー業界の課題に厚生年金基金の運営の行き詰まりの問題があります。

田中 これは全タク連全体、あるいは全国の問題ではなく、業界内ではあくまで厚年基金のある6地域の問題です。その6地域の中でも取り組み方も違えば、財政状況も違っています。この問題に関しては厚生労働省がどういう形で決着をつけてくれるのか関心を持って見守っています。
 そもそも厚年基金の問題はタクシー業界に限ったことではなく、全国の中小企業の問題です。タクシー業界だけを救うことはできないと思いますが、全体を沈没させることもできない。厚年基金の問題は決算書に載っていないから問題が表面化していないだけで、この先どうなるか、結果次第では国全体で大きな問題になる。準備金不足について引当金を積まなければならないようなことにでもなればたちどころに経営が廻らなくなります。当社(=第一交通産業)のような上場企業や私鉄系で連結決算の対象になっている場合、あるいは自主的に引当金を積んでいる場合など一部を除けば、厚年基金加盟会社や国の厚生年金保険の一部を代行していた企業は非常に厳しい環境に置かれている。
 ですから、この問題はもはやタクシー業界だけの問題として解決するという段階ではないんです。何かをしたいと思ってもおそらくできません。

―タクシー業界の将来にかかわわるという意味では、民主党タクシー政策議員連盟のワーキングチームで取りまとめられた「タクシー事業法概要案」がありますが、その肉付けがなかなか見えてきません。今後の業界としての取り組み方についてはいかがでしょうか。

地域単位での需給調整が可能な仕組みを
田中 最終的には地域単位での需給調整などがしっかりできるものになって欲しいと思います。すでに地域協議会などの下地はできているわけですし、そうなるための大本の許認可などのルール作りについて国交省=自動車局でしっかりさせた上で、地方運輸局が地域の実情にあった規制の運用ができるようになることを期待しています。
 わたしは地方分権には賛成ですが、一般的な意味でいう財源、人員も含めて都道府県にすべて渡してというイメージを持たれるとそれともちょっと違う。タクシー産業のような分野では特に行政権限の担い手は国の出先機関であっても全然構わない。ただ、地域ごとの特性、実情を従来以上にきめ細かく汲んでいただけるようにして欲しいということなんです。
 タクシー事業法案の詳細についてはわたしも承知していません。早く知りたいですね。いつもそう言っていますよ。

―有り難うございました。
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No405. 7月25日号 ニュースヘッドライン
■巻頭人物 :篠原 俊正氏/愛鶴副社長
■気になる数字 12→9/最賃と生活保護の逆転現象、この3年間で3県が乖離を解消
■トピックス :<タクシー事業プレ100周年企画> 田中亮一郎・全タク連地域交通委員長インタビュー
         :「独占禁止法の挑戦」受けるタクシー業界/現実を直視し、新たな理論武装を
         :大阪タクシー業界の明日は/労使セミナー〜日本交通・澤志郎社長の発言から
         :<タクシー事業プレ100周年企画> 失業者の受け皿としてのタクシー業界
          <タクシー事業プレ100周年企画> 高齢社会を支える〜タクシーだからできる貢献策
          :地域連携で信頼を得る/洛東タクシーの取り組み
          :「乗・降車時のあいさつ」励行が低下/東京タクセン「22年度利用者調査」から
■東西往来 :2020年のタクシー事業は?
         :NMB48vsうちわ6万枚
■シャッターチャンス :対面調査の可視化を求めたい?
                 :今や「合同労組」の主戦場に?
               :「区域拡大で3.5倍」の落し穴
               :対外PRの前に内部の徹底は?
■この人この言葉   :木村 忠義氏、舩曳 義郎氏、田中 稔氏、五十嵐 道和氏
■アラカルト
         <続大阪タクシー産業盛衰記> 岡本頼幸氏を偲んで   増田和幸氏に聞く
         <新関西ハイタク裏面史> 800万円の支出で窮地に  志摩哲二
速さ+確かさ
交通界ファックスプレス(『交通界21』特別サービス号/ 週3回配信)

 

Faxpress 関東版
「2.10通達」の限界、現実に
   「例外なき規制強化」求める声
     事業再構築巡る公取委申告で動揺

【 東京 】大阪・ワンコインタクシー協会による「減休車強制」を巡る公正取引委員会への申告、同様の動きをとるべく水面下で準備を進める事業者が東京都内でも取り沙汰されていることで、今年2月に国土交通省が発出した自動車交通局長通達(2月10日付「タクシー事業の適正化・活性化に係る取り組みに際しての留意点について」)が当初から指摘されていた「独禁法違反の有無は事案ごとに公取委が個別に判断」という現実に直面させられることとなり、関係事業者団体、会員事業者を動揺させている。一方で全タク連幹部を中心に今後のタクシー適正化新法の執行力をある程度見限りつつ、「いよいよ道路運送法の抜本改正やタクシー事業法の成立を図ることで、例外なき規制強化を図る必要がある」との声も上がり始めた。低額運賃事業者や減休車反対事業者の連携と公取委申告というゲリラ戦術の効果が上がれば上がるほど、既存事業者を中心にタクシー規制強化を求める声が強まるという皮肉な結果も引き起こす可能性があり、今後、政治を舞台にした駆け引きも活発化しそうだ。
〜政界舞台の駆け引きも
 大阪を舞台としたワンコイン協会の公取委申告事案については、まさに個別事案として今後の公取委側の判断が待たれるところだが、申告翌日の近畿運輸局幹部の定例会見では「供給過剰の解消は喫緊の課題というのが引き続き関係者の共通認識」と、一見強気のコメントを残しているものの、同時に「2・10通達の範囲内であれば」とも付言している。東京都内でも40両を下回る規模の事業者に減休車反対や40両までの増車要求に賛同するよう求めた署名活動を展開している新規参入の中小事業者が存在し、減休車問題を巡って公取委申告を検討しているとされる。この事業者については減休車の在り方を巡って衆参両院の国土交通委員会所属議員らへのロビー活動を始めているとされ、今後は東旅協、大タ協など全タク連傘下都道府県協会所属事業者との政界を舞台とした駆け引きの活発化も予想される。
 1月に新潟市内の法人タクシー事業者26社の運賃値上げに対するカルテル疑惑問題で公取委が立入検査を実施したことが、タクシー適正化新法の適正化スキーム自体に独禁法当局が異議を唱えているのではないかとにわかに注目を集めたが、国交省は公取委と協議の上で「2.10通達」を発出し、「政府見解」としてタクシー事業適正化の正当性をアピールしていた。ただ、当初から同通達は「独禁法適用除外を定めたものではない」とされ、グレーゾーンとなるおそれのある場合などについては「公取委が個別事案ごとに判断する」として、ある意味で「役所同士の相互不干渉を再確認しただけ」と危惧する声も業界内にはあった。このため、公取委がワンコイン協会の申告を正面から受け止める事態に発展すれば、2.10通達自体が気休めに過ぎなかったことになる上、今後、値上げや減休車に反対する事業者のゲリラ戦術が続発するおそれもあるとみられる。仮に独禁法違反が認定される事態になれば運輸行政の指導に従って地域標準の減休車を行った事業者は低運賃事業者や減車非協力事業者の収益改善のために汗をかいただけに終わることにもなる。そうした可能性は小さいとの見方を示す幹部事業者は少なくないが、道運法抜本改正やタクシー事業法の制定などについては「従来以上に急ぐべきだろう」との見方で一致しているようだ。
〔7月23日関東版掲載〕  <バックナンバー一覧へもどる>

 
2011年7月23日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】「2.10通達」の限界、現実に/「例外なき規制強化」求める声/事業再構築巡る公取委申告で動揺
【 東京 】代行業の実態調査「小さくない一歩」/全タク連、田中・地域交通委員長
【 東京 】「衰退危機」踏まえ資質向上と適正化/「個タク構造改善計画」報告書
【 東京 】街頭指導、8・9月は銀座・新橋で
【 東京 】新立川交通、社長に中島氏
【 横浜 】15地区中11地区が増収/関運局管内6月原計輸送実績
【 東京 】監視カメラを設置へ/高速道入口の不正営業行為
 
2011年7月22日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 横浜 】追加削減136両、削減率18%超/特区・武三、調査対象134社→110社に/4.13効果、20%削減まで約700両
【 横浜 】最終決定はこれから/個タクの譲渡譲受試験巡って
【 新潟 】下限運賃選択に合理性/独禁法問題で新潟県知事
【 名古屋 】「同一地域・同一運賃」に反対/全中労「健全な競争が必要」
【 東京 】重点項目に日常業務自主点検など/東旅協・中小企業委
【 東京 】「エコタクシー」貼付は後部ドア/東旅協、環境・車両資材委
【 東京 】UDタク等の表示マーク/国交省&全タク連が公募
【 横浜 】神タ協、定例役員会開く
【 大阪 】「大タ協の強制減車は独禁法違反」/ワンコイン協会が公取委に訴え
 
2011年7月16日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】資質向上で「防波堤」急ぐとき/譲渡譲受試験の回数減は回避困難/「個人タクシー存亡の危機」で全個協
【 東京 】「適正化新法の限界」明らか/全タク連・各務理事長
【 静岡 】日車営収をどう高めるかが本質/適正化新法巡り舩曳・旅客課長
【 東京 】自信と誇りのための「スキルアップ」/全個協、マスターズ制度進化
【 東京 】東都G、宮本市郎氏が退任の動き
【 横浜 】「ともに汗かく」労使関係に/全タク連、大野・労務委員長
【 東京 】都予算等への要望項目/東旅協、税務・保険委が集約
【 東京 】国交省人事(15日付)
【 横浜 】関運局6月処分、法人3社車停
 
2011年7月15日号 関東 ニュースヘッドライン
【 東京 】被災タクシー事業の復旧対策/来年度予算案で追加要望へ/全タク連、最賃審には慎重審議求める
【 東京 】供給過剰解消ですべて解決/全国労務連絡会で富田会長
【 東京 】「交通安全タク」秋には200人に/東旅協・交通事故防止委員会
【 東京 】集中基地局、来年4月に移転完了へ/東旅協・無線委員会
【 東京 】小学生らの「事故防止の絵」募集/東京交通共済、ポスターに活用
【 東京 】導入意欲に回復基調/デジタル無線局、関東は前月比460両増
【 東京 】東西両協会が交流会
【 東京 】8月は「事故ゼロにする運動」/東旅協&交通共済協組
【 東京 】関澤会長ら再任、理事8人体制に/東京福祉限定輸送協会が総会
 
2011年7月13日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】特区・武三4万2500円/7.7%増収、震災前の水準に/東旅協、原計各社6月輸送実績
【 東京 】許可取消の「処分逃れ」防止/国交省、減車特例措置改正を通達
【 東京 】新丸ビル前に「エコ乗り場」/9月上旬スタート
【 東京 】運転者記録証明の活用徹底/東旅協・乗務員指導委
【 東京 】総務・川鍋、労務・大野氏/全タク連、専門委員長人事決定へ
【 東京 】東京、大阪は年2回に/個タク譲渡譲受試験
【 横浜 】関運局、特監地域を再指定
【 東京 】公益法人担当小委を設置/東旅協・総務委員会
【 宇都宮 】消費税率引き上げに反対を/自交東京・飯沼委員長

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減車巡る公取委申告で動揺
    既存業界「例外なき規制強化」求める声

【 東京 】大阪・ワンコインタクシー協会による「減休車強制」を巡る公正取引委員会への申告、同様の動きをとるべく水面下で準備を進める事業者が東京都内でも取り沙汰されていることで、今年2月に国土交通省が発出した自動車交通局長通達(2月10日付「タクシー事業の適正化・活性化に係る取り組みに際しての留意点について」)が当初から指摘されていた「独禁法違反の有無は事案ごとに公取委が個別に判断」という現実に直面させられることとなり、関係事業者団体、会員事業者を動揺させている。一方で全タク連幹部を中心に今後のタクシー適正化新法の執行力をある程度見限りつつ、「いよいよ道路運送法の抜本改正やタクシー事業法の成立を図ることで、例外なき規制強化を図る必要がある」との声も上がり始めた。低額運賃事業者や減休車反対事業者の連携と公取委申告というゲリラ戦術の効果が上がれば上がるほど、既存事業者を中心にタクシー規制強化を求める声が強まるという皮肉な結果も引き起こす可能性があり、今後、政治を舞台にした駆け引きも活発化しそうだ。
 大阪を舞台としたワンコイン協会の公取委申告事案については、まさに個別事案として今後の公取委側の判断が待たれるところだが、申告翌日の近畿運輸局幹部の定例会見では「供給過剰の解消は喫緊の課題というのが引き続き関係者の共通認識」と、一見強気のコメントを残しているものの、同時に「2.10通達の範囲内であれば」とも付言している。東京都内でも40両を下回る規模の事業者に減休車反対や40両までの増車要求に賛同するよう求めた署名活動を展開している新規参入の中小事業者が存在し、減休車問題を巡って公取委申告を検討しているとされる。この事業者については減休車の在り方を巡って衆参両院の国土交通委員会所属議員らへのロビー活動を始めているとされ、今後は東旅協、大タ協など全タク連傘下都道府県協会所属事業者との政界を舞台とした駆け引きの活発化も予想される。
 1月に新潟市内の法人タクシー事業者26社の運賃値上げに対するカルテル疑惑問題で公取委が立入検査を実施したことが、タクシー適正化新法の適正化スキーム自体に独禁法当局が異議を唱えているのではないかとにわかに注目を集めたが、国交省は公取委と協議の上で「2.10通達」を発出し、「政府見解」としてタクシー事業適正化の正当性をアピールしていた。ただ、当初から同通達は「独禁法適用除外を定めたものではない」とされ、グレーゾーンとなるおそれのある場合などについては「公取委が個別事案ごとに判断する」として、ある意味で「役所同士の相互不干渉を再確認しただけ」と危惧する声も業界内にはあった。このため、公取委がワンコイン協会の申告を正面から受け止める事態に発展すれば、2.10通達自体が気休めに過ぎなかったことになる上、今後、値上げや減休車に反対する事業者のゲリラ戦術が続発するおそれもあるとみられる。仮に独禁法違反が認定される事態になれば運輸行政の指導に従って地域標準の減休車を行った事業者は低運賃事業者や減車非協力事業者の収益改善のために汗をかいただけに終わることにもなる。
〔7月23日関西版掲載〕<バックナンバー一覧へもどる>

2011年7月23日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 東京 】減車巡る公取委申告で動揺/既存業界「例外なき規制強化」求める声
【 大阪 】5・5廃止の乗務員アンケート/大タ協、8月9日期限でスタート
【 大阪 】5・5遠割「一斉廃止」を否定/山田健・関協理事長が明言
【 大阪 】組織あげ違法駐停車排除/大タ協、府警に決意伝達へ
【 大阪 】秋の交通安全キャンペーン/大タ協、ストラップ配布
【 京都 】10%減休車の実効性試算/京乗協、25日の地域協に提出へ
【 京都 】乗り場撤去問題で報告/業務センター・緊急委員会
【 大阪 】関協、ニュー岸交堺が退会
【 大阪 】急速充電器設置で式典/大阪陸運協会・大阪支部
【 大阪 】大阪合同、新社長に田中氏
【 大阪 】大阪府、EVタクの意見聴取へ
【 大阪 】府民向け救急案内のPR協力/大タ協、ステッカー貼付など
【 大阪 】自転車マナーアップキャンペーン
【 大津 】免許返納割引、申請23社に
【 神戸 】東洋タクシー、譲渡譲受認可
【 大阪 】大東自動車整備、住所変更
【 神戸 】中燃、代表者変更
【 和歌山 】和歌浦交通、1両減車
【 大阪 】近運局、1社車停処分
 
2011年7月22日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】近運局会見、「減車一段落」で弛緩を危惧/長井・自交部長「適正化・活性化にさらなる努力を」
【 大阪 】需給調整で「定年制」検討を/日交・澤社長、5・5遠割廃止は困難
【 大阪 】労使協調で労働環境改善/交通労連「労使セミナー」
【 京都 】京乗協、会員アンケート実施へ/運賃、需要など
【 大阪 】23日から本格稼働へ/新北ビル乗り場のモニター
【 大津 】免許返納割引、申請22社に
【 大阪 】「大タ協の強制減車は独禁法違反」/ワンコイン協会が公取委に訴え
【 大阪 】申告文書「遺憾に思う」/大タ協が近運局に状況報告
【 神戸 】会費免除と1千万円追加支援保留に/兵タ協理事会、松本会長案に「待った」
【 大阪 】ワンコインタクシー長吉、社名変更
【 神戸 】神明タクシー、代表者変更
 
2011年7月16日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】「全社廃止」前提、記名方式で/大タ協、5・5遠割乗務員アンケート
【 大阪 】地方最賃審への意見書検討
【 大阪 】青年部会(仮称)の設置検討へ/大タ協理事会、総務委員会報告
【 大阪 】苦情報告等で注意喚起
【 神戸 】委員長が地域代表と論議へ/「需要拡大」で兵タ協・経営委
【 神戸 】兵サセン、指導委員会開く
【 大阪 】580円査定の堺が改めて近運局に/社名の「ワンコイン」は変えず
【 大阪 】行政通達待ちで足踏み/障害者割引の本人確認
【 和歌山 】和歌山市域、適正化へ足踏み
【 京都 】1日5時間・月21日乗務で奏功/第二ヤサカ交通「新嘱託制度」
【 大津 】免許返納高齢者割引/滋賀県下、さらに2社
【 大阪 】近畿運輸局行政処分
 
2011年7月15日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】乗務員調査は「嗅覚」に期待/大タ協・黒田経営委員長「遠割を解除するために」
【 大阪 】遠割が嫌で乗車拒否?/5・5無い日本城に長距離客
【 大阪 】500円3社に値上げ指導/堺、イーグル580円、深井は560円
【 大阪 】個人1者の500円認可/2者には値上げ指導
【 大阪 】「若手経営者の会」設置等を検討へ/大タ協総務委、理事会配席も再考
【 東京 】全タク連、専門委員長委嘱
【 東京 】東西両協会が交流会
【 大阪 】「新視令V」優先配車へ/関協、実証実験見直し
【 大阪 】交友会、後藤理事長再任へ
【 京都 】ビル解体工事で閉鎖/河原町ミナミ行乗り場
【 大阪 】労働時間、乗務距離管理を徹底/イレブン交通「違反ゼロ」体制へ
 
2011年7月13日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】5.5遠割廃止の是非問う/大タ協、乗務員アンケート実施へ
【 大阪 】「区域拡大」や保有台数に注意/譲渡譲受による加重罰
【 東京 】許可取消の「処分逃れ」防止/国交省、減車特例改正を通達
【 東京 】総務・川鍋氏、労務・大野氏/全タク連、専門委員長人事決定へ
【 大阪 】実施はまだ2件のみ/大運支局の対面調査
【 京都 】京都地域協、7月25日開催
【 大阪 】近運局、26特監地域を再指定
【 大阪 】違法駐停車摘発「500両以上」/大タ協、啓発ステッカー貼付へ
【 東京 】東京、大阪は年2回に/個タク譲渡譲受試験
【 大津 】免許返納高齢者割引/滋賀、申請さらに広がる
【 京都 】福祉限定軽車両導入へ/国庫補助得て関西学研都市交通
【 訃報 】原茂氏(原喜信・近運局長の父)83歳
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