ハイヤー・タクシー業界専門情報紙  株式会社 交通界
2011年5月30日

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「週刊交通界21」毎月4回情報発信

東西トップ会談〜総仕上げとチャレンジと
東旅協会長・富田昌孝氏、大タ協会長・藤原悟朗氏

 規制緩和から早くも10年、「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法(以下、タクシー適正化新法)」の施行からでも1年8カ月が経過した。この間、全国ハイヤー・タクシー連合会では「3年経ったら見直し・検証」と言い続けた故・新倉尚文氏から、「再規制=実効ある需給調整と同一地域・同一運賃」を掲げた富田昌孝氏が会長に就任して今日に至る。タクシー事業規制の枠組みの見直し作業は今も民主党タクシー政策議員連盟主導で進められた「一般乗用旅客自動車運送事業法案、(以下、タクシー事業法案)」が国会提出を先送りにされて足踏みが続いている。また、規制緩和後の多重運賃問題では戦場と呼ぶに相応しい大阪業界には藤原悟朗氏が「5000円超5割の遠距離割引廃止」を掲げて新会長に就任したばかり。そこで本紙では、全タク連組織の運動を牽引する東西両協会(=東京乗用旅客自動車協会、大阪タクシー協会)の現職会長に対談していただき、今後の運動の方向性、方法論などについて忌憚のない話を聴いてみた(進行=植村俊郎)。

――まずは藤原会長に新任の抱負を。続いて、富田会長には3期目の抱負を。
藤原 昨年夏に当時の坂本(克己)会長がお辞めになる際に、定款違反と、後に指摘されることになってまで私を会長代行に指名し、「オレに任せておけ」とおっしゃっていた経緯があって、「当然、次は私」の覚悟をしており、それでもなお突然に会長選挙になったということがありました。そういう経緯があって「じゃあ、来期の役員改選でも正々堂々の勝負をしよう」ということで、今年3月総会の会長選に立候補した。

マニフェストの第一は運賃正常化
 マニフェストとしては運賃正常化を掲げていますが、ちょうど労働組合が全自交、自交総連、私鉄総連、交通労連の4団体で運賃正常化の運動を始めていましたし、われわれ経営者としても規制緩和になった当時は5000円超5割の遠距離割引(通称=5・5遠割)を導入したことにはそれなりの背景事情があったわけです。当時の三菱グループ(現・未来都)の運賃据え置きや大手事業者による大口顧客への割引と称するものもあり、協同組合に集う中小事業者には具体的な対抗手段がなかった。そこへ薬師寺薫・最高顧問(当時、現理事、関協加盟、関西中央グループオーナー)が「一度、考えてみたらどうか」と5・5遠割を提唱され、導入されるに至った。既存の運賃戦略への対抗手段として効果的だったのですが、最近では行政方針も転換される中、例えば最高乗務距離規制の強化、労働時間監督の強化が進んできますと、乗務員の労働時間単位での効率としてはあまり良くないのではないかと。割引をやめてお客さんが減ったとしても、なくなるわけではありませんし、売上総額として減らないのであれば、労働の効率としては良くなる。大阪の運賃は何しろ乱れすぎたということがあって、まずこれを整理しようというのが第一の公約となりました。
 次に、行政の処分があまりにも偏りすぎているのではないかということがあります。例えばエムケイさんやワンコインタクシーさんのように何かあればすぐに「裁判に訴える」という方々にはやや怯む傾向があるように見える。だったらわれわれもタクシー協会に入っている事業者の方々のための法曹団を作ろうと。いつでも駆け込み寺になれるものにしようと。
 次に、現在の菅直人首相は政権として雇用を重要政策に掲げていますが、実際には雇用促進に大きな成果をあげていない。だったら18歳で高校を卒業した若者が1年間無事故無違反であれば、別途設けた公的な教育機関での教育・研修を経て第二種免許をとれるような制度はできないかと思っています。であれば月間20万円くらいの固定給でも多少の歩合もつけてやれば若い人にとってはそんなに低賃金ではない。ほかにもなすべきことはいろいろありますが、大きな柱としてはそんなところであり、皆さんの御賛同を得たものと思っています。

タクシー事業法の制定まで
富田 3期目の抱負ということですよね。故・新倉(尚文)前会長から引き継いだ際には「2期4年」ということでお引き受けしましたが、3期となったことの一番大きな理由としては東日本大震災ということになるでしょうか。あれがなければなあということもありましたが、それ以前にも業界の懸案でもあった「タクシー事業法の制定」ですね。これを済ませずして退任することは敵前逃亡であるという話も出てきまして、タクシー適正化新法に基づく特定事業計画、事業再構築をしっかりやり遂げ、かつ、タクシー事業法の制定も片付けないと将来に対する安心感が持てないと。もともとは今年の通常国会に法案を提出して2期4年でできると思っていたんですが、いろいろな事情でできなくなってしまった。そこへ大震災と。この2つの要因があって「やはりもう1期やらざるを得ないかな」となった。
 この4年間は大阪業界の皆さんをはじめ、全国の皆さんにも応援していただきましたが、もう一歩のところまできたわけですから、もう1期で所期の目的を遂げて終わりたいと思っていますので、それまで是非、藤原会長にも応援していただきたいですね。

「1期だけ」で就任したが…
藤原 そうですね。でもなかなか任期中には思ったようにいきませんよ(笑)。実際のところ、私も「1期だけ」ということで会長に就任していますが、今度の消費税改定までは仕事をせにゃならんかなという気持ちになっていますよ。正直なところ、僕個人の戦略としては消費税が上がった際には運賃を「ワンコイン」にしてやろうかと思ってるんですよね。
――初乗り距離短縮を併用してということですか?
藤原 そう。初乗り距離1.3キロとかにしてね。マニフェストを掲げる際にそういう話もしてきた。そういう選択肢もあるし、消費税を運賃に転嫁しつつ、初乗り距離以下のお客さんには値段を下げることもできるよと。「どのクルマも初乗りは500円だ」とすることができる。そうなると1期で辞めることは、なかなか難しくなってくる。もし私が2期目もやることになるのなら、そのときは富田さんにもやっていてほしいですね(笑)。
富田 いや、私はもう勘弁してほしい(笑)。
――東日本大震災後の状況についてもお伺いします。両業界の現状などについてどのようにご覧になりますか。
富田 3月11日までは、過去8カ月にわたって日車営収は対前年同期比で5〜6%程度の増収が続いてきました。良い方向に向かいつつあり、適正化新法の効果について地域協議会で検証しようという矢先(3月24日に予定され、延期の末に4月22日開催)に震災が起きてしまった。その後は自粛経済、風評被害の問題などもあり、実体経済全体としては企業の生産活動がガタンと落ちたこと、自粛などの影響で消費もより少なくなった、タクシー利用も減ってしまった。

震災直後の20%減収から回復基調に
 震災直後には特別区・武三交通圏では前年対比で20%程度の減収になってしまいましたが、3〜4月を見渡すと徐々に良くなっている。完全な回復には時間を要すると思いますが、一時の20%減収から6〜7%減収程度にまで戻ってきた。適正化新法の執行状況をもう一歩推し進めていけば、前年対比でプラスマイナスゼロくらいまではいけるのではないかとみています。日本経済全体がもう少し明るくなってくれば、日車営収で前年対比プラスに必ずなると思っています。徐々に、良い方向に行きつつありますから、その流れがより速くなるようにと思っています。
藤原 やがて復興の時期に入るという意味でも東京はそうなるのでしょうね。大阪市域交通圏では震災前、2月末くらいには若干の上昇機運にありました。とはいっても平均日車営収で2万8000円程度なんですがね。やはり減休車効果がいくらか出てきたかな?というときにこの震災がありました。直接的、物理的な被害は何もないんですが、風評被害と自粛ムードの影響は大きい。東京に本社を置く企業の方々が大阪に出張してきても、なかなか飲んだり騒いだりできない空気ですね。上昇機運のあった頃と違って今でも5〜6%程度ダウンしています。都内のように目に見えて20%も落ちるというような状況はないのですが、ジワジワと悪くなっている感じですね。

第2次減車のための買取機構を
 今後の期待としては復興期に入って企業の生産活動が活発になり需要が伸びてくれば、大阪にもプラスの余波が来るでしょう。中長期的には、震災を機に危機管理の一環として企業の本社機能を大阪に移す動きもあり、総合的にみて徐々には良くなっていくはず。
 ただ、大阪では実働率は80%程度にとどまっています。20%減休車に取り組んでもなお、この数字です。東京では減休車によって稼働が高まったということですが、大阪では同じような取り組みを行ってもなおこの数字なんです。私はこの点から見ても第2次減車が必要だろうと思っています。全国的に同じような傾向にあるのなら、減反政策と同じく国として買取機構なんかを作っていただくしかないと思います。今のままでは減車、休車をした事業者、しない事業者が混在し、やった人=正直者は馬鹿を見たままなんです。これは全国的に運動を進めるべきではないかと思います。
――正直者が馬鹿をみるというお話でしたが、東京、大阪いずれの業界でも20%の減休車に一斉に取り組んでいます。都内でも減休車した側、しない側双方に不満が渦巻いています。しない側からは中小零細事業者であること、雇用問題や実働率への配慮などが主張されています。大阪ではいかがでしょうか。
藤原 まず20%という数字についてですが、これは富田さんを前に口幅ったいのですが「東京が20%おやりになるのであれば、われわれも」ということでした。「うちは中小零細だから」という理由での抵抗は大阪業界、私の加盟する関協(関西ハイタク事業協同組合、西日本最大のタクシー無線協組)の中にもあります。しかし40両以下の事業者については自主判断でということでそれ以上の要請は何もしていません。そこは国がご指導いただければそれで良いと。雇用問題とか実働率を云々する事業者もいますが、私に言わせれば詭弁。大抵の場合、乗務員にきちんと所定の有給休暇を取らせていれば雇用問題を生じさせることなく20%減休車を行うことは可能です。大都市部では当然の1車2人制を前提に考えれば、そのような主張に当てはまるケースはほとんどありません。
 大阪業界全体の状況を見れば、先ほども言いましたが第2次減車は必要です。それをやるためにも是非、減車買取機構は実現したいんです。実際のところ中小零細事業者の中には疲弊してもう事業を続けられないとか、後継者がいないなどのケースは少なくない。実現すれば所要の減車を達成できる可能性は大いに高まりますよ。東京でも同じだと思いますが、いったん減車しないと言い出した人は協会長が何を言ってもやりませんよ。そういう方々も買上となればまた違ってくるのではないでしょうか。
富田 適正化新法が施行されて約1年半。自主的にわれわれが減休車を始めたのがちょうど1年くらい前になります。これを進めていくに当たって減車買取機構を作ることができないかという話が東京業界でもたびたび、論議されました。この話については当初から、政府側の拒絶反応が強く難しかった。当時は、そこにこだわっていると適正化新法の執行が滞るということでペンディングになっていた。諦めたわけではないんですが、ひとまず脇へ置いておくと。

4.13通達でムードが変わった
 確かに減休車はやらない人はやらないということはあり、その点ではどの業界も苦心しています。東京(特別区・武三交通圏)では当初、17.3%まで業界が自主的に取り組み、行政ヒアリングで17.5%まで上積みしてもらい、今はさらに17.7%まで来た。4月13日の国土交通省通達によって調査、監査ということが明確になり、都内だけかもしれませんが業界内のムードが変わってきたように思っています。「20%減休車をやらないと大変なことになりそうだ」と。ヒアリングまでは地方運輸局任せだったのが、本省が乗り出してきて強力にバックアップする気配だと。この通達の効果にも期待したい。減休車は任意であり、「やってもやらなくても良い」という建前ですが、業界の要望によって立法がなされ国会でも衆参両院ともに全会一致で成立した法律がタクシー適正化新法ですから、それを拒否することができるのかどうか。少なくとも日本人だったらこれを守る義務があるのではないかと私は理解しています。
藤原 ただ、問題があるのは、衆院附帯決議にもありますが地域協議会に参加しないものや減車などに協力しない事業者への対処について明記されていますが、行政は、これまで単に減休車非協力というだけでは処分の対象にできないと言ってきた。例えば、期間限定減車のパブリックコメント募集にあたって近畿運輸局に呼ばれた際にも、当方としては「東北、関東などの直接的被災地で運用してくれれば良い。それ以外に広げるとこれまでに減車、休車した分についても「期間が過ぎたら返してくれ」という話になりかねないよと。また、地域としての適用条件として当該地域の一般タクシーの総数が「適正車両数の上限を下回ること」とされています。甘い方の数字なんですね。私は近運局に厳しい方の数字にすべきだと言いました。このような条件の設定では「これ以上減休車する必要はない」と誤解される。このように行政の方針は非常にあいまいな点があり、一体どっちへ行きたいのか定まらないようにも見えます。
富田 いや、大阪は動きが早いですね(笑)。そういう面もあるのでしょうが、期間限定減車制度そのものの位置づけとしては、これによってどう状況が変化するかを見てみようという意味合いもあると理解しています。

補助金がダメなら超低利で貸してくれ
藤原 それにもうひとつ、こだわりたいのは、さっきも申し上げた「減車買取機構」です。東京業界でも水面下ではいろいろご議論されたようですが、国からの助成100%で運営することが事実上、難しいというのであれば、10年間の期限付き超低利融資、むろん無利子が理想ですが…という形にしてでも実現していきたい。そうして10年後から返済が始まるような形でね。どうしても国がやらないというのなら、国に代わってわれわれが。国が事業免許して育ててきたタクシー業界ですから、これまでの歴史の積み上げを無視してはいけない。当然、規制緩和後の新規参入事業者の既得権も尊重するわけですから一番公平ではないかと思う。
 それにタクシーはようやく公共交通機関として認知されたわけですから、当然、国からの何らかの支援があってもおかしくないはず。タクシーは安全・安心・快適を利用者の皆さんに提供させていただいているものだから、そういうことは声高らかに主張しないと。ですから補助金としていただけないのなら、低利で貸してくれという話なんです。そうして買取機構で買い上げて、クルマをプールしておいて、欲しいという人には入札で売れば良い。こうして国、業界として減車する人、事業から退出する人を支援しつつ、買取原資を返済していくと。こういうことを是非、一緒にやりたいですね。
富田 そういう話は確かに検討してきました。いかなる形であれ買取機構を作るには根っ子になる資金がいるだろうということで、それを作る用意までした経過があります。東旅協幹部の一部では承知されているのですが、われわれで調達した根っ子の資金に政府のお金を乗っけてやっていこうと。そういう準備をしているところへ政権交代がありまして、根本的な法改正(道路運送法の抜本改正、後にタクシー事業法制定に変わる)の話が出てきたりもして、その話は尻すぼみに終わった。
 与野党入れ替わりの中で、日本が財政困難に陥っている状況では政府からお金を出させるというのが難しかったんですよ。従来は、国土交通省といろんな政策上の話をしながら政治的にも働きかけるというルートだったんですが、今はまず政治との話があって、次に国交省と話をするような感じですね。ところがルールがそのように変わっている中で、大震災で政治が極めて不安定になってきたため、何事も難しくなっている。
 伺っていると買取機構の件については、私どもが考えていることと原則同じことですから、いろいろと検討を重ねていく必要がこれからもあるだろうと思います。
藤原 われわれよりももっと郡部、地方へいけばこの問題は切実だと思いますよ。

適切な退出の仕組みを用意
――確かに東京、大阪では中小零細事業者と言っても50両、60両持っているのは当たり前で、中小と言っても100両の会社もある。需給調整をある程度やりきった後の展望としては適切な退出の仕組みを用意しなければという気がします。
藤原 そうでなけば長期展望を持てません。当社は兵庫でも事業展開していますが、郡部では本当に20両、30両の会社もたくさんあります。買取機構があることで、減休車に協力して資金繰りを楽にするのか、あるいはこの際退出を決めるのかというような決断もできるようになるんじゃないでしょうか。ほとんどがそういう規模の会社ばかりの地域では一律的な減休車は何度も繰り返せることじゃない。
 僕は現在の状況からすると少なくとも大阪では第2次減車が絶対に必要だと思っていますよ。これをやらなかったら将来、生きていけないはずです。都市としての性格、構造が違うということがあって、東京と大阪では全然違う。大阪は他の地方都市により近い。近畿ブロックでも和歌山などでは1社ごとの事業規模が非常に小さく、普通にしておったのでは減休車は進みません。ですから減車買取機構は是非やりたい。一緒にやりましょう!
富田 そうですね。全タク連でもこの問題を取り上げいきましょう。以前からあった話の延長上のことであり、単にストップしていただけなんですから、またやってみましょう。
 これまでの経緯としてはタクシー適正化新法の執行に当たり適正化部分についてはなかなかうまく機能しない、そこを手当するのに買取機構が構想されたんですが、それが政権交代に伴って一挙に、「タクシー事業法」だということになってきた。そうすると、事業者の否応もなく需給調整がなされるということで、買取機構も何もないという世界だった。今度はタクシー事業法の中に買取機構をどう組み込んでいくかということも併せて構想していかないといけないと思います。
――むしろ、現在の政治情勢ではタクシー事業法制定の可能性が見えにくくなっており、それがダメになるとか、いつになるかわからないという意味では、そのときのためのセーフティネットとして買取機構案はかなりリアルな話のような気もしますね。
富田 いずれにしろ、タクシー適正化新法だけではベースの道路運送法は規制緩和のままですし、適正化がある程度進めばまたもとの無制限自由競争の世界に戻ってしまいます。それではいけないということは強調しておかないと。そこはきちんと確認しておきたい。でなければ、買い上げても買い上げてもキリがないし、資金が底をつく。
――私の理解では、タクシー事業法も買取機構も、いわゆる一律減車を繰り返して地域の需給バランスを回復させるだけではなく、退出を促すことによって需給調整の目的を達成するという構造は同じ。事業法は免許制・更新制により不適格者を強制的に、買取機構はお金の力を借りて自主的に出ていってもらうと。構造は同じで手法は違う。ある意味で似ており、また全然違うと。
藤原 強制退出は切り捨て御免だと思う。
富田 両者をうまくタクシー事業法に取り込めば、必ずしも切り捨て御免ではないはずです。法令違反が理由で強制退出になる人あり、自主的に退出するに当たって国・業界の資金面での支援を受けて決断する人の両方あって良い。
藤原 これまで明らかにされてきた民主党のタクシー事業法案の概要では切り捨て御免がすべてだったように思う。是非、「退出」という選択肢を選べるような法案にしてほしいし、全タク連組織としてそういう取り組みであるべきだ。今後、第2次減車が必要だという局面では是非、こういう仕組みが必要だと思う。
富田 私は第2次減車という言葉を公式の場で使ったことはないのですが、このタクシー事業法案に云うところの更新制は現在進行形の第1次減車の仕上げに当たるものと理解しています。そこで抵抗する方々も居て、この部分での不公平感をなくすために更新制を導入しようということですよ。運賃についても略奪的運賃を自主的に改めない事業者については免許を更新しないことで強制的に退出させるという厳しい法律なんです。
 その上で適正化新法の趣旨も理解し、自主的に減休車に取り組んだ方々やこれからさらに取り組もうという方々について、それを買い取りましょうという機構ができるのなら、それをこのタクシー事業法案の中に取り込んでいきましょうということで良いのではないですか。
藤原 ある意味で減休車について言えば、これまで20%やった人もやらなかった人も、タクシー事業法案では同じスタートラインにつくのであれば、それは不公平じゃないかという問題意識を持っていたんです。
――富田さんから聞く限りでは、タクシー事業法において、減休車をやった人、やらなかった人が同じスタートラインにつくことはないということでした。具体的な手法については藪の中ですが。
富田 今は法案の具体化作業がストップしているから。中身はまだこれからですよ(笑)。
藤原 われわれ大阪業界には行政不信の念が非常に強いところがあって、富田会長がそうおっしゃっても、なかなか「そうだな」と納得しにくい。大阪業界内では「藤原、東京へ行ったらしっかり聴いてこい」とも言われていますから(笑)。
富田 タクシー事業法案の検討過程では行政はまったく関与していないんですよ。彼等なりに情報は収集して内容は承知していると思いますが、基本的には内閣提出法案ではありませんから「それは存じ上げない」という立場をとっています。現在の政治体制下では議員立法には原則関与できないというのが行政の立場です。
 確かに平成20年のいわゆる「7.11通達」から参入、増車規制が強化され、自動認可運賃の幅が圧縮される流れが始まりましたが、規制緩和を全面的に誤りだったとするものではありませんでしたから、タクシー事業法案の精神に比べればやや中途半端なものでした。規制緩和しても供給過剰が続き、運賃値上げされる地域も少なくないということで、ようやく歯止めがかかって流れが変わった。ただ、歯止めをかけても、余っているクルマを減らしていくことができるかどうかが大事だったんです。今やっていることは世界でも例のないことで、その足らざるところを補ってきちんとした法律を作りたいというのがタクシー事業法なんです。
――藤原さんのお話では、これまでの取り組み格差によるスタートラインの公平、不公平に対する懸念を表明されてきたわけですが、そもそも免許制・更新制、運賃の公定価格制導入など、法律案の骨格についてはどのようにお考えですか。 

更新制への強い抵抗感
藤原 更新制ということそのものに僕は抵抗がありますね。関西の業界はと言っても良いでしょう。更新制というのは有無を言わせぬものがあり、免許の更新を拒否する場合についてすべての事業者が完全に公平に扱われるのなら良いのですが、それは難しかろうと思っています。特に行政処分のこれまでの運用などを見ていると内容の透明性に疑問があり、行政不信が私どもはなかなか拭えない。議員立法で作られた法律で行政が内容の策定に関与していないにしても、でき上がった法律を運用するのは彼等ですから。
富田 私の理解するところでは、更新制とは皆が同じだけ減車に取り組むようにするものだということですね。運賃についても同一地域・同一運賃で皆が同じ運賃で走るということ。皆がどちらも同じように取り組むためのもので、「俺は嫌だ」と言ってやらない人が出てきたとき、「更新しませんよ、退出してください」というものなんです。
藤原 個人的にはこの法案の組み立てに労働組合の影を非常に感じており、そういう法律の下では、経営者による経営ではなく、組合管理の会社のようにならないかと危惧しています。民主党政権だからということもあるでしょうが、だからそれで仕方がないということでもないでしょう。特に、全タク連総会やなんかで坂本(克己)・タクシー事業適正化活性化推進特別委員会本部長が声高らかにラッパを吹かれると、皆は「本当にそうなのか?それで良いのか?」と感じるわけです。ある種のアレルギー反応です。
 あえて言わせていただけば、それほど打ち込んできたタクシー事業法案の制定なら何故、大阪タクシー協会の会長職を捨ててトラック協会長に転身されたのか?私にはわからない。確かに今でもタクシー事業者であることに違いはないが、だったらこの問題をきちんと片付けてから転身なされば良かった。それはそれとした上で、やらなければならないことにはわれわれも当然協力していきますよ。何でも反対ではなく良い方向付けをした上で賛成したい。
富田 内容についてはこれまでにも全タク連正副会長会議に報告し、皆さんからも「本当にこの内容が実現できるのなら是非、やってほしい」と言われてきました。出席した皆さんから坂本本部長、三浦(宏喜)委員長へそのように要請し、正副会長会議の総意にもなってきているわけです。
藤原 そうらしいですね。ですから大阪では、前会長の関(淳一)さんに「あんた会議で寝てたのか?」とこう言っているわけです。まともな会議なら大した議論もなしに全員賛成なんてあるわけがない。たとえ全タク連の正副会長会議であっても「一度、持ち帰って検討する」というのが普通じゃありませんかね?(笑)。

藤原副会長出席で議論活性化?
富田 そういう意味ではもう一度、議論する良いチャンスなのかもしれませんよ。本当に原案の通り進むかどうかはわからないわけですし(笑)。いや、実際のところ次からは藤原会長が全タク連正副会長会議に出席されるわけだから、それで議論が活性化すれば良いことだと思います(笑)。
藤原 皆さん本当にそれで良いのですか?と声高々に言わせていただこうかな(笑)。
富田 是非、そうして下さい。言論統制はしていませんから。
――言論統制はありませんが、法案の詳細は未だ明らかではないし、情報管理はなかなかしっかりしていますね(笑)。
藤原 大タ協でも理事会の議事終了後に業界各紙に非公開の時間を作ったことで、交通界からは随分、怒られました(笑)。
――今でもその件については賛成していません。話が逸れそうですね。
 結局、どのような法律ができるにしろ、それを運用するのは行政官なわけで、業界と行政の間に距離感があるとうまくいかないような気がします。
藤原 近運局の手法を見ていると特にそう感じるんです。現在までの減休車の取り組みだけを見て東京業界の中には近畿は厳しいという誤解があるようですが違います。運賃問題などを含め総合的に見て大阪府の橋下徹知事と同じ。厳しいようなラッパを吹きますが、後のフォローがない。恒久認可のワンコイン運賃だって当初はきちんと収れんさせると言ってきたにもかかわらず、何もできていない。期限付きの下限割れについても結局、自動認可の枠内には収れんせず、値上げにはなったけどまだ下限割れ。運賃の種類を行政が増やしているんですよ。
 自動車交通部長には「協会員全員の前でアンタが説明してやってくれ」と言うんですが、それもやらない。北新地のエムケイ乗り場の問題についても廃止させろと言ってるんではない。行政の見解を聞かせてくれと言ってきただけですが、一体何年かかったか?ということですよ。
 運賃問題を含め、これだけの問題を抱えている大阪業界ですから行政にとっても適正化新法の事業再構築=減休車問題がここまで進むとは思わなかったでしょう。原(喜信)局長も「正直、ここまでできるとは思わなかった。絶対できないと思ってました」と頭を下げておられました。いや正直な方ですね(笑)。そういう意味では自動車交通部長は何もせんうちに、18%強まで減休車が進んだわけで「アンタ、楽したね」と、こういうことです(笑)。

今、動いているクルマを減らしてこそ
 皆が注目しているという意味では関東の方が行政も苦労があったんじゃないですか。大阪では東京より苦しいからこそ、ここまで進んだ。薬師寺さんにも「停まってるクルマを減らしても仕方がない」と言われていますし、それは私も同感。今動いているクルマを減らしてこその減休車です。
――監査・処分の運用についても行政の側も業界を信頼はしていないという面はあるでしょう。パブリックコメントの募集でも業界が意見を言って、それによって何かが変わるということもないというのも業界側にとってはフラストレーションの溜まる話です。
富田 行政と業界の意見の刷り合わせという意味では、来月から藤原さんも全タク連の正副会長会議に出てこられるわけですからどんどん意見を言って欲しいし、パブリックコメントの件に関しては紙一枚で返事を出して終わりということではなく、きちんと折衝する場を持ってやりましょう。
藤原 正副会長会議についてなんですが、私の思うところ各県会長もどこまで実務に通じているかということなんです。できるなら前日に各協会の専務理事を集めて会議ができればもう少し深い論議ができるんじゃないかということを提案したい。専務を連れて行くとカネがかかるという県協会もあるようですが、そこは全タク連で負担してやれないのかとも思いますが。
富田 まあ、そういう問題も確かにありますから皆さんとよく相談してみたいですね。ご趣旨はよく理解しています。
――藤原会長のマニフェストといえば、まず5000円超5割の遠距離割引=5・5遠割の廃止です。大阪業界といえば運賃問題が思い浮かびますし、これが第一。一方、運賃問題といえば5・5遠割だけでなくワンコインに代表される下限割れ運賃もありますし、一部には中・小型運賃格差は運賃問題だとする主張も強固にあります。公約としての着地点は同一地域・同一運賃なのでしょうが、そこへたどり着く道筋はよく見えません。

運賃正常化の起点は中・小型格差
藤原 今年6月には先にも触れた労働4団体の皆さんに集まっていただき、大タ協の経営、労務委員会幹部や各副会長にも加わってもらい、運賃問題について理解していただかなければならない。これは5・5遠割がということではなく、まず中・小型運賃格差が運賃問題なのだということを理解してもらうための場です。
 5年くらい前になりますか、次期運賃改定時には車種区分をなくして普通車=中型車一本にしようと制度改正を打診された際に、当時は三木源一郎会長の時代でしたが、そのときの副会長で行政方針に賛成したのは私一人だったのではないですか。
 当時、小型車主力の会社の方も副会長の一人でしたから「そんなことになるのなら、副会長を辞職します」と泣きを入れられたことがあった。そこで三木さんが男気を出して大阪は行政方針に乗らないということにした。私どもとしてはそういう経緯も踏まえつつ、まずは中・小型格差が運賃問題なのだということを理解してもらうことがスタートラインなんです。その認識ができた上で、下限割れ運賃も同じ問題だと言えるし、5・5遠割はどうするの?という話に進んでいける。まずは労働組合に前面に立っていただきたいと思っています。
――今も、例えば相互タクシーなどでは大半が小型車であり、個別企業の利害に大きくかかわること、その会社が大タ協執行部の要職の一角を占めていた歴史があること。また、労組との関係でも全自交大阪地連の委員長単組が相互タクシーということもあって、この問題がクローズアップされた当時には産別組織幹部から「中・小型運賃格差は運賃問題ではない」との見解も示されてきました。現実の問題として労組側の理解を得るのは難しいのでは?
藤原 ところが、今の全自交大阪地連の森田(貫二)委員長は普通車一本化に賛成してくれていますよ。労使が互いに運賃問題の根本を理解しておかないと5・5遠割解消に進むことはできません。中・小型論争にきっちりケリをつけて、しかる後に労使で大会を開き5・5遠割、下限割れ運賃の問題も解決すると。すべての関係者が合意したら良い。その時期はいつかということはありますが、合意に基づいて皆が運賃を上限に揃える申請をすればよい。合意しているのに、そこで申請を出さないという人が出てくるのなら、そこでこの話はおしまいなんですよ。皆が合意した上で、いざとなると申請できないというのなら、それはそういう方々がマニフェストを壊したんだと思いますね。そういうスタンスにならざるを得ないと思っています。
 労使合同での政策合意ですから、これなら独占禁止法にも引っ掛からないものと思っています。事業者団体としての運賃申請に関する機関決定ではないわけですから。これは皆さんが本気で取り組んでくれたら年内に目途がつくような機運も出てきます。個人タクシーについては法人労使の合意ができるのなら同調する意向と聴いています。
――東京では運賃問題は実質的に存在しませんね。
藤原 今日も東京駅八重洲口からタクシーに乗ってきました。地方からのお客はタクシーを選びませんし、選べません。地元の人だって積極的に選ぶケースはそう多くないのでは?ですから安くする理由がありません。 
 また、乗り場には「優良タクシー乗り場増設」の看板がありましたが、大阪でもそれを真似しようという動きが行政にもあります。私は「選んでどうするんだ」と言いたい。少数のタクシーは乗ってはいけない優良でないタクシーなのか? 近距離客歓迎のウェルカムワンメーターキャンペーンも近運局はやらせたがりますが、大阪のタクシーは年中、近距離歓迎ですよ。
富田 優良乗り場の入構基準にもなっている法人タクシーランク評価では、相対的な評価がされています。「AA」「A」ランク以外はダメなのかというとなかなか難しい言い方になりますね。それはそれとしてもランク制度そのものには問題があるというのが私の持論です。ランクとか選ばせるというのは基本的に規制緩和の発想なんですよ。
 タクシー、流し営業地域のタクシーというのはどのクルマに乗っても同じサービス水準で同じ運賃であるべきなんです。それが安心できるタクシーなのであり、世界中どこへ行っても大都市のタクシーは皆、需給調整規制を行い、同一地域・同一運賃なんです。その上で問題があれば免許を取り消す。タクシーを選べと言っても私が大阪へ行っても選べませんよ。そういう根本が間違っているんです。
藤原 まったく同感です。
富田 タクシーは選ぶものではないということは世界共通の認識です。
――横道に逸れましたが、要するに藤原会長のマニフェストは会員事業者全員が共有するマニフェストであり、今、説明のあった手順で実行していくと。その上で実現できないのだとしたら、それは会員の皆さんがマニフェストを潰したのだという整理ですね。
藤原 そうなります。5・5遠割はその役割を終えつつあったことは皆が認識している。だけど、いまやめたらまた関協の一人勝ちになるという人もおり、だったら関協理事長でもあった私がやろうと言い出したわけですが、あくまでこれは皆さんのマニフェストですよということを強調しておきたい。
――先ほどの説明のプロセスを経るにしても、具体化の段階では例えば相互タクシーが運賃を普通車にするのが先か、関協が5・5遠割を廃止するのが先か、などいろいろと悶着が起きそうです。
藤原 そこは例えば協同組合単位でチケットを発行していることもありますから、協組単位で行動すればある程度、まとめやすいでしょう。そこもまとめられないとなれば、もうガラガラポンするしかない。合意に加わった事業者はもう抜け駆けできないようにしないと。それが団結というもんでしょ。そこで、動かない事業者があれば労働組合も黙っちゃいないでしょう。今回が運賃正常化の最後のチャンスだと僕は思っています。これでできなければ未来永劫無理でしょう。そう思っていますよ。
富田 マニフェストで運賃問題を解決するとおっしゃっていることについては大歓迎なんです。できるだけ良い方向付けをしてほしいし、それがたとえ完全な形ではなくとも私はすごい価値のあることだと思います。これをやろうと声を挙げたことに非常に価値がある。
 私が公約として「再規制」を掲げたのと同様に、「これをやるんだ」と言うことは大変な意味がありますし、取り組んだ結果、当初言われていた1年半でできなければ、もう少しやってもらったら良いじゃないですか。運賃問題の解決は大阪業界の総意ですから、できるまでやり続ければ良いんですよ(笑)。

日本中が大阪を注視
 日本中の運賃問題のある地域は大阪の問題を注視しています。大阪が解決したとなれば、他にも解決する地域が出てくると思う。そういう意味でも良いサンプルを作ってほしい。中・小型問題を除けば運賃問題では大阪業界は規制緩和の被害者だし、東京業界も供給過剰で規制緩和の被害者でもあります。大阪も供給過剰の被害者でもありますが、その大阪でここまで減休車に取り組まれたのですからこれは評価しなければならない。一つひとつ問題に取り組まれれば、ここまでできたんですからきっとできる。大阪がうまくいけば日本中うまくいく。そう思ってます。是非がんばってほしいし、全タク連でも強力にバックアップしたい。大いに期待したいですね。
――東西両協会は全タク連組織の中でもクルマの両輪のような存在です。これからの全タク連の運動を進める上で、両協会が果たすべき役割について伺っておきたい。
藤原 今まで大タ協として中央に向かって、全タク連組織そのものに向かって情報の発信が少なかったのではないかと思っています。そういう意味で今まで以上に大きい声で発信したい。東京業界の皆さんにも今回の震災のダメージで地方の疲弊のニュアンスが少し実感できたのではないでしょうか。そこで思いはより共有できやすい環境になった。
 また、全タク連組織として取り組むべき課題としては最低賃金問題をあげたい。大阪でも最近、タクシー事業から撤退した私鉄系事業者3社は最賃を保証していては採算ベースの経営ができないということが理由とされています。こういうことの詳細をいままで発信が十分ではなかった。ありとあらゆることを素直に発信していきますから、皆さんと情報を共有して一緒に取り組みたい。
富田 全タク連には数年前に地域交通委員会、その前には地方特別委員会としての時代も含めて地方問題の担当委員会を作り、地方の実情を集めて行政や政界に訴えるという役割を担わせてきました。その機能が十分か否かということはありますが、東京にいる私としては東京に居ながらにして地方の実情が分るはずもない。私が十分な理解に至るまで藤原さんのように自己主張していただかないといけない。大阪だけでなく地方ブロック選出の副会長は私に実情を理解させて下さいということです。そういう意味で地方の県協会会長らにも責任があるんです。そういう中でできることはできるし、できないことはやはりできない。
 全タク連は全国の皆さんのためにあるものだから活用してほしい。また、そのために東京業界と大阪業界がしっかり手を組んでいくことそのものが力になりますし、日本全国の団結の象徴になり団結を促すことにもなる核にもなります。ですから両協会の責任は特に重い。
 適正化新法ができる際にも経験したことですが、政官界からたびたび言われたことは「富田さん、あなたの言うことは全国業界の思いなのか?」ということです。全国各県の協会は団結しているのかと念押しされています。口だけではない全国の団結を示すためにも東京と大阪は特にしっかりして、引っ張っていかないといけないと思っています。業界は過去を引きずっていますが、そろそろ3代目が主流の時代にもなりつつありますから過去は断ち切って、未来に向かっての一層の団結を図らなければなりませんね。
――最後に全国の業界の皆さんにメッセージがありましたら。
藤原 われわれは同じ業界、同じ釜の飯を食っているわけですから、地方の業界の方々も「こんなこと言ってはいけないのかな」と遠慮したり恥ずかしがったりする必要はなく、総会の場などでは、正々堂々と発言してほしいと思いますね。総会がシャンシャンシャンで終わるなんて本来、あり得ない。皆、思いは少しずつ違っていて当たり前。各県代表は何かしらひとことくらい言いたいことがあるはずでしょう。
富田 そうですね。47都道府県協会の方々が集まるわけですからそれをしっかり訴えていく責任が参加者にはあるでしょう。それが役員の仕事です。発言したら迷惑ということはないし、言いたいことは言ってもらった方が、方向性を間違わなくてよい。
 その上で、意見を表明し、意見を出したからには衆議の結果、意見が一致すれば団結していただく。ここが大事。皆が勝手なことを言うのは大いに結構なんですが、最後は総意を尊重して団結。これだけはしっかりお願いしておきたいですね。
――有り難うございました。(5月12日、「TKP大手町カンファレンスセンター」で収録)
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No397. 5月30日号 ニュースヘッドライン

■全タク連総会直前!特別編集号
         :<東西トップ対談>総仕上げとチャレンジと〜富田昌孝氏、藤原悟朗氏
         :泣き言はやめよう、ポジティブなイメージ戦略で〜溝畑宏・観光庁長官に聞く
         :5・5遠割より中・小型格差?〜大タ協・運賃問題論議
          :運賃訴訟、値上げ指導に「全面戦争」決意〜エムケイGに続いてワンコインも参戦
          :適正化・活性化に邁進、神奈川業界幹部が語る〜大野清一氏、伊藤宏氏、及川寛氏
          :福祉輸送は地方にとって“当たり前輸送”〜漢二美・全タク連輸送ケア委員長
         :業界団体に何を求めるか〜ヤサカタクシーG・粂田佳幸代表登場!
         :需要拡大と公的助成の実現を〜黒土始・第一交通産業会長
速さ+確かさ
交通界ファックスプレス(『交通界21』特別サービス号/ 週3回配信)

 

Faxpress 関東版
適正化新法の完遂と事業法制定
   3選の富田会長が改めて決意
       東旅協総会、新副会長に樽澤氏

【 東京 】東京乗用旅客自動車協会(富田昌孝会長)は27日、千代田区のホテルニューオータニで平成23年度通常総会を開き、平成22年度事業報告案、同決算案、同23年度事業計画案、同収支予算案などをいずれも原案通り承認した。任期満了に伴う役員改選では富田会長の3選が決まったほか、現職副会長が全員留任するとともに、定数から1人欠けていた枠に樽澤功・交通事故防止委員長(政和自動車、中央無線タクシー協同組合加盟)を新副会長に起用した。また、平成25年度からの一般社団法人への移行を決めた。
 総会は川鍋一朗副会長の開会の辞でスタートし、「タクシー業界を取り巻く環境は近年にない大変な厳しさ。この苦境を改善していくことを日々考えるが、これをやれば良いということはなく、われわれは足元でできることを一つひとつやるしかない。まずは富田会長の下でタクシー適正化新法を完遂するのみだ」などと述べた。富田会長の冒頭のあいさつ(本紙臨時号で既報)に続き、議題の審議を開始した。
 平成22年度事業報告、同決算報告承認に続き、各専門委員会の活動予定に沿った23年度事業計画案、三宅島地区会員に対する会費免除の継続を織り込んだ23年度収支予算案もそれぞれ原案通り承認した。
 任期満了に伴う役員改選では定款及び会長選出規定に基づく会長選挙立候補届出が現職の富田会長のみだったことを報告し、同会長の3選を異議なく了承した。3選を果たした富田会長は改めて所信を述べる中で、「この4年間、皆さんに大変な協力をいただくことで何とかやってこられた。私の所信は4年前とまったく変わっていない。同じままだ。何しろ、タクシー適正化新法をやり切り、タクシー事業法を制定することの2点に尽きる」と強調。「適正化新法は国会の全会一致によるもので国民全体の悲願。すばらしい法律ができた以上、ここから逃れることはできない。業界は国民の期待に応える必要がある。全国での取り組みも同じことだが、運動の根っ子は東京にあり、皆さんの力が必要だ」と訴えた。
 この後、同会長が3期目の副会長を指名。全員留任させるとともに樽澤氏を新副会長に起用すると発表した。常任理事、理事についても新メンバーを承認(本紙臨時号で既報)、本部推薦理事と専門委員長の布陣については6月15日開催の定例理事会で決めることとなった。監事は近藤龍観(東京寝台自動車)、宮下孝之(坂本自動車)、井出太刀三郎(元・東旅協専務理事)の3氏が留任。
 最後に公益法人制度改革の概要について説明し、組織運営上のメリットなどから一般社団法人を目指す方針を確認。平成25年度からの一般社団化に向けて取り組むことを決めた。駅構内営業運営委員会報告を行った後、来賓が出席し関東運輸局、警視庁、東京労働局幹部がそれぞれに祝辞を述べた。質疑の時間に発言者はなかった。閉会の辞は岡田佑副会長が述べた。
 今回の総会には、大阪タクシー協会副会長の古知愛一郎氏がイースタンモータースグループ代表=東旅協会員事業者の一人として姿を見せた。

〔5月28日関東版掲載〕  <バックナンバー一覧へもどる>

 
2011年5月28日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】適正化新法の完遂と事業法制定/3選の富田会長が改めて決意/東旅協総会、新副会長に樽澤氏
【 東京 】特区・武三、週明けから対面調査/関運局、調査票は92社に送付済み
【 東京 】東旅協、副会長と担当委員会
【 東京 】「ポストに恥じないよう頑張る」/樽澤・新副会長が抱負
【 東京 】31日に全タク連通常総会
【 東京 】三多摩支部の新設「広報委」/当面は支部HP開設など
【 東京 】懇親会場にトヨタ、日産が実車展示
【 東京 】171人を優良運転者表彰/帝都自交、昨年度より12人増
【 東京 】来月7、8月に被災地を訪問/チェッカー営業委、各県協会に支援金
【 東京 】チーム方式を接客、営収増に活用/安マネで実効の足立タクシー
【 東京 】事故増加で注意喚起/東個交通共済協組・通常総会
 
2011年5月28日臨時速報 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】4.13通達、強制力の発動「やむを得ぬ」/目先の損得でなく、業界の将来を/東旅協通常総会、富田会長3期目に全力
【 横浜 】関運局、期間限定減車で公示
【 横浜 】東京・南多摩、神奈川・県央/管内2交通圏を地域指定
※東旅協常任理事・理事名簿
 
2011年5月27日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】被災地への提供車両130両に/全国35社・グループが協力/全タク連、6月に第一陣移送
【 東京 】足切り額大幅引き下げで合意/日交労使、営収低下による最賃割れ回避
【 東京 】富田会長3選へ/東旅協、きょう通常総会
【 東京 】GW明け営収は好転の感/東旅協、今田・城北支部長
【 東京 】6月は銀座・新橋+新宿/街頭指導計画、7月は渋谷も
【 東京 】街頭指導会議のあり方見直しへ
【 横浜 】バック事故防止など/アサヒタクが特別研修
【 福岡 】第一交通産業、増収増益の連結決算
【 横浜 】需給の均衡点見た上で/減休車巡り神タ協・伊藤副会長
【 東京 】日交・新木場営業所が稼働/来月中には事務所棟も復旧
【 東京 】東京ハイタク事業協組が総会
【 横浜 】貸切バスの重点監査/関運局、6〜7月に実施へ
 
2011年5月25日号 関東 ニュースヘッドライン
【 東京 】「減車買取機構」の議論再開へ/供給過剰解消に向け再検討で合意/本紙対談で東旅協・富田、大タ協・藤原両会長
【 横浜 】15地区中14地区が前年割れ/関運局管内4月・輸送実績
【 東京 】クリップ留めなど不適切15%/東旅協等のシートベルト着用調査
【 横浜 】タク事業法の国会審議に期待/神タ協・大野会長
【 東京 】被災地への提供車両100両超/東旅協、6月初めから移送開始
【 東京 】交通共済協組/80社を優良表彰
【 東京 】最後の総会は6月6日/東旅協・武蔵野支部
【 東京 】都個協、総会提出議案を承認
【 東京 】7月に合同で街頭指導/東京無線協組&チェッカー
 
2011年5月21日 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】ハイヤーも減車対象に追加/地域指定は適正車両数の上限未満が条件/国交省通達、指定地域に「期間限定減車制度」
【 東京 】LPG乱高下に困惑/6月CPは大幅下落の予想も
【 東京 】都議会自民党に申し入れ/東旅協、災害時の対応等で
【 東京 】来期は事故削減で黒字化を/東京交通共済・総会
【 東京 】不祥事の再発防止へ/交通共済協組が「特別委員会」
【 東京 】大和自交・連結決算
【 横浜 】最大手の減休車を歓迎/神タ協横浜支部・定時総会
【 横浜 】事業計画に「観光タク推進」/神奈川県生活支援NW協組
【 東京 】事故防止対策支援推進事業/国交省が補助対象公表
【 東京 】タクシーは実施率87%/定期点検整備、不十分
 
2011年5月20日関東版 ニュースヘッドライン
【 横浜 】関運局定例会見、「調査票」第二弾36社に送付/13社の対面調査実施前に減休車の動き/特区・武三、7社が20%削減へ上積み修正
【 横浜 】栗本・監指部長、個タクの日報不備に苦言
【 東京 】東京業界、需給回復未だ/原計各社の4月輸送実績
【 東京 】福祉運送の意思確認急げ/日立自交・佐藤社長
【 東京 】武蔵野支部との統合へ体制整備/東旅協・三多摩支部が通常総会
【 横浜 】不公平感解消の後押しに/4.13通達で神タ協・大野会長
 
2011年5月18日 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】特区・武三の平均日車営収、8.4%減/震災後の需要喪失も17%の大幅減/東旅協・3月全社輸送実績
【 東京 】PR強化で市場拡大努力を/溝畑・観光庁長官インタビュー
【 東京 】観光庁参事官に石崎・前旅客課長
【 東京 】不祥事の再発防止で対応策/東京交通共済協組が臨時総会
【 東京 】東北3県の運賃区分で特例措置/中型中古で小型運賃可能に
【 岡山 】両備GがイースタンAP買収
【 東京 】「要望書」件数の減少続く/全国のデジタル無線導入状況
【 東京 】LPG、価格高騰でも割安/都スタ協・柳会長がアピール
【 東京 】池袋交通労組が春闘妥結

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Faxpress 関西版
 5・5遠割、地連は「単組の判断」
    自交総連・未来都労組が第2回団交

【 大阪 】自交総連・未来都労組(吉田栄二委員長)は20日の第2回団交で、前回会社側が検討中だとした5・5遠割導入に関する自交総連大阪地連の方向性を伝えた。17日の地連拡大闘争委員会で確認したもので、「5・5遠割の撤廃は困る」という意見が加盟単組に複数あり、運賃・料金の変更申請権は会社側にあることから、地連としては「静観」、「各単組の判断に任せる」という内容。
 大阪市域で大半の事業者が5・5遠割を導入している状況で、「撤廃は困る」という単組がある以上、現在導入していない単組(未来都)が導入を止めることはできないのは当然だろう。団交で労組側の報告を受けた時点では、会社側の反応は特になかったという。

〔5月28日関西版掲載〕<バックナンバー一覧へもどる>

2011年5月28日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】5・5遠割、地連は「単組の判断」/自交総連・未来都労組が第2回団交
【 大阪 】労使揃って方向性の整理を/運賃問題で庭和田書記長
【 神戸 】全自交兵庫が東北に車両5両
【 神戸 】三ノ宮周辺のマナーで最後通牒/兵タ協が5月通常総会
【 神戸 】減車と重大事故が財政圧迫/兵庫交通共済・総会
【 大阪 】大東・四条畷地区で行政との懇談会/6社が参加、乗り場問題など
【 京都 】 全車中型の利点を生かし/山城ヤサカ、修学旅行など好調
【 大阪 】全車に「オレンジリボン」/日の丸ハイヤー、児童虐待防止に協力
【 大阪 】空港六社会が年次総会
【 奈良 】奈良近鉄が事業再構築の減休車
【 京都 】エコロ21が移転へ
【 京都 】9月に開催「夢こすもす園」/京都タクシーが定額運賃申請
 
2011年5月27日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】加重罰訴訟で証人尋問/ワンコイン八尾など、担当官の「指導」巡って対立
【 神戸 】「支部」設置の方向で前進/兵タ協定款等改正特別委
【 大阪 】運賃却下取消訴訟でも弁論
【 大阪 】2カ月連続で減収も小幅に/大阪の4月輸送実績
【 大阪 】誘導表示は百貨店側と協議/新北ビル乗り場でJR
【 大阪 】7月1日から640円に/G・TなどベストG3社
【 大阪 】親交会が通常総会
【 大阪 】隔勤への移行に異議、日勤堅持/ファミリア交通・丹後社長
【 京都 】EV導入事業者で対象外も/京都市域の期間限定減車
【 京都 】減休車に伴い規約変更/京都タク業務センター
【 大阪 】環境美化推進事業者の「認定証」/門真市、清掃活動のダイトGに
【 大阪 】自交大阪・加盟単組春闘状況
 
2011年5月25日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 東京 】「減車買取機構」を再検討へ/本紙対談で東旅協・富田、大タ協・藤原両社長が合意
【 京都 】全タク連副会長職に意欲/京乗協・牧村会長
【 大阪 】身障者割引で「車内掲示」へ/大タ協、顔写真確認など
【 大阪 】2巡目の申請、すでに2回延伸/590円の敷津タクシー
【 大阪 】「違法乗り入れに車停の通達を」/ワンコイン協会・馬場副会長
【 大阪 】梅新のチャブリ行為等で指導
【 大阪 】関連会社がデイサービスセンター/オービーシー、福祉タク構想も
【 神戸 】木下支部長を再選/近無協・兵庫県支部
【 大阪 】誘導目印なく閑散/新北ビル乗り場初日
【 奈良 】第一号申請は減休車なし/奈良・生駒交通圏の特定事業計画
【 大阪 】老朽化への対応を検討/南部メーター検査場運営委
【 京都 】可愛いお願いで着用率アップ/洛東タク「メッセージプレート」
【 大津 】琵琶湖タク労組に感謝状
【 大阪 】スマイルタク役員変更
 
2011年5月21日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 京都 】二次減車と同一運賃の実現を/ヤサカG・粂田代表インタビュー
【 東京 】減車対象にハイヤー追加/期間限定減車で国交省通達
【 大阪 】大阪市域など対象7地域を公示/期間限定減車で近運局
【 大阪 】まずは中・小型格差が俎上に/大タ協、非公開審議で運賃問題
【 大阪 】全タク連人事で推薦決める/大タ協、常任理事に古知氏
【 大阪 】JRが入構ステッカー配布/新北ビル乗り場、23日オープン
【 神戸 】推薦漏れに配慮求める要望書/兵タ協、全タク連副会長巡って
【 大阪 】新梅田交通、譲渡譲受申請
【 大阪 】第一交通、代取に工合田氏
【 大阪 】ディマンドの譲渡譲受認可
【 京都 】都タクシーなど、割引運賃認可
【 京都 】京都、特定事業計画に係る減車
【 奈良 】西和タクシー、役員変更届
 
2011年5月20日関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】近運局、下限割れ審査「夏の間に処理」/期間限定減車、大阪市域は削減率20.5%が条件?
【 大阪 】大タ協「法曹団」の趣旨は…/長井・自交部長「法令順守の徹底を」
【 大阪 】なみはや訴訟、口頭弁論始まる/次回8月末で、はや長期化の様相?
【 大阪 】自動車会議所理事長に菊岡氏/福薗氏退任、藤原氏は副会長に
【 京都 】島屋と連携のクーポン好評/京乗協のEV・HV専用乗り場
【 大阪 】「運賃査定、いかに不合理か」/ワンコイン協会が裁判対策勉強会
【 大阪 】関協・理事会/決済端末変更など
【 大阪 】タクセンが「感謝」「苦情」事例集
【 大阪 】悪質乗務員への対処に疑義/全自交大阪・森田委員長
【 神戸 】近距離の乗車拒否など/兵サセン指導委員会報告
 
2011年5月18日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 東京 】「タクシーの価値」で需要拡大/溝畑・観光庁長官インタビュー
【 神戸 】兵タ協「がんばろう!日本」先取り/神戸・阪神間の取り組み促す声も
【 大阪 】新北ビル乗り場で入構テスト/23日のオープン前に報道陣にも公開
【 大阪 】関協・営業副委員長に藤原大氏
【 大阪 】原計各社の詳細な情報開示を/トップ・スター訴訟で原告側
【 神戸 】ヒアリングは3巡目が限度?/兵タ協・松本会長が注意喚起
【 奈良 】奈良・王寺地区の乗合タク/実証実験再開へ協議
【 大阪 】区域外営業で摘発の河北事業者/弁明にも「譲歩の余地ない」
【 大阪 】「大阪国パスポート」で活性化/観光夢めぐりも協力加盟
【 大阪 】自民党・竹本議員が政経勉強会
【 神戸 】「Rハイブリッド・プリウス」/エコ&セーフティ展で注目
※近運局人事

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