【横浜】関東運輸局の内田忠宏・自動車交通部長は25日、定例会見で道路運送法78条3号に基づく自家用有償旅客運送の取り組みを東タク協が「日本型ライドシェア」（ＮＲＳ）と称してガイドラインを策定するなどしていることは承知していると述べるとともに、その取り組みを評価する一方、取り組みを通じた知見を他県のタクシー業界とも共有してほしいとの考えを示した。また、勤務シフトの見直し等を含め、移動の足の確保の重要性が増している時局認識を示し、タクシー事業者にはいまできることはすべてやってほしいと要請した。
　管内における運賃改定の状況については、山梨Ａ地区が今月17日に要否判定を通過し、原価計算書の提出を要請した段階、小田原地区は原価計算書に基づき審査中、特別区・武三地区の都市型ハイヤーが原価計算書の提出を依頼した段階と報告。全国101の運賃ブロック中で唯一運賃改定申請が行われていない東京都・島しょ部について内田氏は、「事業者からの直接の相談等はない」と説明した。
　特別区・武三地区におけるタクシー運賃改定後の乗務員の労働条件調査結果については、東タク協経由のデータ取りまとめが遅れているとし、当初予定していた1月中の公表は難しくなったとし、2月中のなるべく早い時期の公表を目指す方針。
　22日の全タク連常任理事会で本省の森哲也・旅客課長が言及した運賃ブロックを全国で101から70弱に整理統合することについて内田氏は、関運局として管内の原案はできているが本省で発表することになっており、コメントできないとした。

〜コロナ休車終了で減車、管内約360両
　また、森氏の講演で同様に言及されたコロナ特例の臨時休車制度の終了に伴い全国で約2000両のタクシーが減車されることについては、関東管内分としては現時点で約360両になると見通した。ただし、年度末までに復活増車に転じる事業者が出てくる可能性もあり、なお流動的な部分があるとした。
　道運法78条3号に基づく自家用有償旅客運送については、「具体的な制度設計は本省で進めており、正式な通達案はまだ関運局にも降りてきていない」とした上で、東タク協が先行してＮＲＳガイドライン案を策定したことは評価。いち早くドライバー募集など準備を進める事業者もあれば戸惑いを隠せない事業者もいると指摘、準備期間が短いという声も聞いていると述べた。その上で内田氏は、「移動の足を確保することが非常に重要だ」と強調し、ＮＲＳだけでなく、シフト変更や乗務員の積極採用など、「いま事業者ができることにはすべて取り組んでほしい」と呼びかけた。
また、管内でも地域、事業者により取り組みのスピード感には違いが出ていると指摘した上で、「東京と他県でコミュニケーションをとって、知見を共有してほしい」としたほか、「東タク協のＧＬはハードルを上げてきているので、他県ではこれをカスタマイズすることになるにせよ、東京の知見をよく吸収してもらいたい」と強調した。ＮＲＳについては、エリアや時間帯を限定し、タクシー不足に対応することになっているが、どこでどのくらい供給不足が生じているのかなどのデータは本省が持っており、関運局では承知していないとしたほか、ＮＲＳの対象地域、時間帯などを地方運輸局長公示などの形で示すことになるのか否かも含めて本省での制度設計次第で、まだ分からないとするにとどめた。
　乗り場の運用改善については、東京駅八重洲口について3両待機から形式上5両待機になったものの、植栽の整理などを行わないと常時5両待機にできていないこともあると指摘したものの、従来に比べれば乗客の列は各段に短くなったと説明した。
　羽田空港旅客第3ターミナル乗り場については神奈川方面の乗り場、ハイヤー乗り場の一時休止による都内向けタクシー乗り場の回転効率アップに向け、関係者間で協議しているなどとした（＊神奈川乗り場は2月1日から休止が決定）。
〔1月13日号関東版掲載〕　 <Topへもどる>