【 東京 】日本自動車会議所（会長＝内山田竹志・トヨタ自動車会長）はこのほど、2019年度税制改正に関する要望書をまとめ、経産省、国交省、環境省、総務省の４省に提出した。17年度税制改正大綱に盛り込まれた「19年度税制改正までに自動車の保有に係る税負担の軽減に関し総合的な検討を行い、必要な措置を講じる」を着実に実行し、自動車税の税率引き下げ、自動車重量税の将来的廃止をにらんだ「当分の間税率」の廃止などを求めた。このほか、バリアフリー車両への特例措置の拡充・延長、営業用自動車の軽減措置の維持、タクシー事業に対する事業所税の非課税措置の創設、タクシーにおける消費税の特例措置（軽減税率の適用やメーター改造費用への支援）なども盛り込まれている。
　要望書の冒頭には、クルマが生活の足として国民生活に欠かせないものであることを強調しつつ、「依然、クルマには９種類・８兆円もの税が複雑に課せられ、取得・保有の段階のユーザーの税負担は、欧米諸国の約２〜32倍と極めて過重」と指摘するとともに、「自動車ユーザーだけが、課税根拠を喪失している、自動車重量税やガソリン税・軽油引取税の『当分の間税率』の負担を強いられるなど不合理な状況が続いている」と強調。また、自動車産業が100年に一度の大転換期を迎えていること、電気自動車、燃料電池車など環境対応、自動運転技術開発などでグローバルな競争が激化していることから、「世界をリードしてきた日本の自動車産業がその競争力を維持できるかどうか、正念場を迎えている」とし、「これからもグローバル競争や日本経済をリードし、地域経済や国内生産、雇用を維持していくためには、自動車関係諸税の負担軽減・簡素化による国内市場活性化は喫緊の課題だ」としている。

〜「当分の間税率」の廃止を
　自動車関係諸税に関する税制改正要望の重点要望項目には、17年度税制改正大綱を踏まえた保有課税の負担軽減・簡素化をあげ、�@国際的にも過重な自動車税の税率を引き下げ、国際水準である軽自動車税を基準とする税体系に見直し�A自動車重量税の将来的な廃止を目指し、『当分の間税率』を廃止する�B消費税率引き上げ後の自動車購入時の税については、現行の税負担より十分な軽減を図るべき�Cエコカー減税・グリーン化特例の延長�D負担軽減の代替財源をユーザーに求めないこと�Eガソリン税、軽油引取税に上乗せされたままの『当分の間税率』の廃止�Fガソリン税・石油ガス税等のタックス・オン・タックスの解消―を盛り込んだ。
　また、関連要望として「福祉車両の仕入れに係る消費税の取り扱い見直し」では、購入者が非課税となっている一方で、仕入れについては仕入れ控除ができず事業者負担が生じることから消費税法施行令で規定されている非課税範囲の適正化やユーザーへの支援措置などを求めている。「バリアフリー車両の特例措置の拡充・延長」では、ＵＤタクシー車両を含め自動車取得税・自動車重量税の特例措置を延長するとともに、貸切バスを対象に加えるよう求めた。自動車取得税廃止後についても、バリアフリー車両の取得に対しては引き続き負担軽減措置を講じるなど現行税負担より十分な軽減を図ることも求めた。
　自動車取得税・自動車税・軽自動車税・自動車重量税についての「営業用自動車の軽減措置の維持」では、トラック・バス・タクシー事業者等は、経営基盤の脆弱な中小事業者が多く、人手不足や過当競争により非常に厳しい経営環境にあるとし、「そうした中で営業用自動車の自動車税の軽減措置を見直すことを検討する議論が、突如浮上することがこれまで何度かあった」とし、営業用自動車の軽減措置の維持と、自動車ユーザーの負担軽減の代替財源を営業用自動車に求めることに反対の意思を明確にした。
　このほか、「先進環境対応車（低燃費車等）と先進安全自動車（ＡＳＶ技術の導入車）に対する優遇税制の強化」「経年車に対する課税重課措置の廃止」「タクシー事業者に対する事業所税の非課税措置の創設」「タクシーにおける消費税の特例措置（軽減税率の適用、メーター改造等の費用に対する税制上の支援措置）」などを関連要望事項として盛り込んだ。
〔10月27日号関東版掲載〕　 <Topへもどる>