【 東京 】厚生労働省は25日、2014年の自動車運送事業者（トラック・バス・タクシーなど）に対する監督指導、送検の状況をまとめ公表した。全体での監督指導実施件数は3907事業場、労働関係法令違反は3240事業場で違反率は82.9％、改善基準告示違反件数は2373事業場で違反率は60.7％だった。業種別での労働関係法令違反率はハイタクが最も高く87.3％だったが、改善基準告示違反では違反率41.0％にとどまり、トラックやバスよりも低かった。

〜目立つ「労働時間」違反
　各業種合計の監督実施事業場数は3907件、労働関係法令違反件数は3240件（違反率82.9％）で、主な違反事項は労働時間2187件（56.0％）、割増賃金951件（24.3％）、休日252件（6.4％）となっている。一方、ハイタクでは、監督実施502件、労働関係法令違反件数438件で違反率は87.3％となり、トラック83.6％、バス74.4％を上回った。ハイタクの主な違反事項は労働時間245件（48.8％）、割増賃金150件（29.9％）、休日27件（5.4％）となっている。
　改善基準告示違反については、全体で違反件数2373件（違反率60.7％）、主な違反事項は最大拘束時間1888件（48.3％）、総拘束時間1498件（38.3％）、休息時間1378件（35.3％）などとなっている。一方、ハイタクでは違反件数206件で違反率41.0％となっており、全体平均を下回るとともに、トラック66・７％やバス56・１％も下回った。ハイタクの主な違反事項は最大拘束時間153件（30.5％）、総拘束時間118件（23.5％）、休息時間53件（10.6％）となっている。

〜改善基準告示違反は改善傾向
　12年から14年までの違反率の推移をみるとハイタクの労働関係法令違反率は87.3％、88.7％、87.3％となっており、あまり変化は見られない。改善基準告示違反率は43.7％、42.4％、41.0％と推移しており、こちらはわずかに改善傾向となっている。ハイタク事業者への監督事例では、臨検監督の結果、最低賃金法違反、累進歩合給の実施という実態を確認し、最賃額を上回る時間給の設定、不払い賃金の支給、累進歩合制度の廃止などの指導が行われたとする。
　このほか、悪質な違反等により送検された件数は、全業種計で56件、ハイタクでは６件だった。12年からの３年間での送検件数はハイタクの場合、19件、12件、６件と減少を続けている。ただ、14年のハイタクにおける事例として、50日以上の連続勤務を行わせるなど違法な時間外労働及び休日労働を行わせたとして法人及び役員を送検したケースをあげている。この事例は、「脳梗塞を発症した乗務員に対し、３カ月間約90時間の時間外労働及び56日間連続勤務を含む休日労働を行わせていた」としたほか、「労働基準監督署に届出られた36協定の協定当事者たる労働組合が、過半数組合でなく、当該協定は無効だった」などから悪質な違反と判断されたという。
　国交省との連携状況については、14年の相互通報の件数は労働基準監督署からの通報864件、国交省側からの通報312件で、合同監督・監査の実施はハイタクでは56件だったとしている。
〔12月26日号関東版掲載〕　 <Topへもどる>

【 神戸 】養父市の広瀬栄市長は24日、同市役所内での兵庫県下労働団体幹部との会談で、ライドシェア特区提案の取り下げ要請を拒否、地元３社が対案として示す「計画配置」も「これまでと大きな変化はない」と評価せず、地域公共交通会議で呼びかけても「応答がなかった」など、これまでのタクシー業界の対応が招いた結果との認識を示した。一方で、プラットフォーム事業者について「ウーバーやリフトなどを入れるつもりは一切ない」と強調。「地元の交通関係事業者に委託する」とし、同市内で営業する全但タクシーへの管理委託を示唆したもよう。
　出席者によると、同市長は「市から地域公共交通会議にさまざまな提案・要望を行ってきたが、タクシー業界は全く応じてこなかった。その結果が今回のライドシェアだ」と指摘。他地域へのライドシェアの波及については、「私はあくまで養父市長。地域住民の足の確保が使命であり、そこまで知ったことではない」と切り捨てた。兵タ協が業界を挙げて支援をする構えであることには「おそらく一時的なもの。長期スパンでの継続は不可能」と顧みなかったようだ。
　労働団体側が「ライドシェアは白タク行為であり、安全面で非常に問題がある」として外国の事例など説明するのを遮った市長は、「市会議員から話は聞いており、白ナンバーと緑ナンバーとの違いも承知している」と述べ、市がコミュニティバスや自家用有償運送等の施策で埋め切れない交通空白地帯解消のために法人タクシーを借り切って住民の生活交通を確保した際、地元事業者が不採算を理由に撤退したと反論。労組の指摘する安全面や保険等の問題については「最終的に解決可能な課題であると認識している」とした。
　要請には連合但馬地協、兵庫県交運労協但馬地協、兵庫県交運労協ハイタク部会の３団体から７人が参加した。この日は定例市議会の最終日にあたり、広瀬市長と約30分会談した一行は、藤原哲郎市議を介して勝地恒久議長に面談を求めたが叶わず、要望書を提出するにとどまった。
〔12月26日号関西版掲載〕<Topへもどる>