ハイヤー・タクシー業界専門情報紙  株式会社 交通界
2015年9月28日

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「週刊交通界21」毎月4回情報発信

迫り来る潮流をせき止められるか?
 米国におけるライドシェアビジネスの現況(後篇)

 前回の本欄では、ウーバーの創業とその勃興、追随者としてのリフトの創業などに触れ、規制当局が当初、これを抑え込もうして取締りを強化する姿勢を見せたものの、従来型タクシーのサービス水準の低さ故に、利用者の支持を得られず徐々に方針転換を余儀なくされたこと、一方で、ウーバーなどがあくまで仲介業者であって旅客自動車運送事業者ではないとのスタンスにこだわり、5歳の少女を死亡させる事故で責任逃れを図ろうして世論の反発を受け、保険加入義務付けの規制を呼び込んだ経緯をカリフォルニア州やワシントンDCの事例を交えて近年の動向を紹介した。今号の本欄・後編では現地報道やプレス発表を基にして、保険加入義務付の具体的な内容や、依然として続くニューヨーク市でのウーバー規制を巡る市当局、タクシードライバーとウーバー側の攻防、サンフランシスコでの事故や事件の事例を交えて近況を紹介する。また、ライドシェアリングビジネスがTNC(トランスポーテーション・ネットワーク・カンパニー)として一定の法令の規制の枠内で公式に認知されつつあるという新たな潮流が生まれる一方で、ウーバーの白タクドライバーの側からも労働者としての権利を要求する声があがりはじめ、9月早々には集団訴訟が提起されるに及び、低コスト故に成り立つライドシェアリングのビジネスモデルそのものを揺るがす事態も発生しており、タクシーを取り巻く環境は転換点に差し掛かっている。

賠償責任保険加入義務化の動き〜リュー一家死亡事故が呼び込んだ事態
 2013年12月31日、サンフランシスコ市内でウーバーX(白タクマッチングサービス)のドライバーがアプリを起動して乗客を求めて運転中に、道路を横断しようとしていた家族をはねる事故を起こし、この事故でソフィア・リュー(当時5歳)が死亡、母親や兄弟が重傷を負う結果となった。当初、ウーバー側は運送の結果に対する責任は負わないと主張し、経緯が全米に報道されるに及び、大きな論争を引き起こしたこと、その結果、カリフォルニア州を始め、一部の地域で白タク配車サービスに保険加入義務づけの動きが出てきたことは前回の本欄で紹介した通りだ。一連の州政府や一部自治体の動き、全米での論争の拡がりを受けて、全米保険長官会議(NAIC=ナショナル・アソシエーション・オブ・インシュアランス・コミッショナーズ)がライドシェアリングに関する白書を2015年3月31日に公表したことは本紙『ファックスプレス関東版』9月9日号でも報じている。
 同会議は全米各州や自治体ごとに利用者保護の範囲が異なることを憂慮し、カリフォルニア州などでの規制の先行例を参考に、ライドシェアリングビジネスにおける保険加入義務のひな形を提示し、各州政府等に同様の規制を立法化するよう呼びかけたものだ。
 同白書では白タクサービスの動態を3つに区分。「ピリオド1=ドライバーがTNCのアプリにログインしているが、乗客とのマッチングは完了しておらず、予約が完了していない状態(上記リュー一家の事故発生時の状態)」「ピリオド2=予約が成立し、乗客を迎えに行く空車での走行状態」「ピリオド3=利用者の乗車が完了し、実車状態」に分け、それぞれの状態に応じた保険加入の義務付けを主張しているものだ。白書の具体的付保義務の提唱案は、死亡、人身、物損の保証義務を100万ドル(約1億2000万円)とし、ピリオド1〜3の範囲内でドライバーとTNC側が責任を分担する形でのハイブリッド型保険加入を義務付けようというものだ。
 現地からの報道等によれば、カリフォリニア州保険委員会のデイブ・ジョーンズ氏はNAICの白書検討ワーキンググループ座長を務めた人物だが、同氏は「多くの州で事故の際、TNCドライバー、乗客、周辺の損害補償をどうするかという問題を抱えている。白書では昔ながらの一般の個人ドライバーの自動車保険ではこうした事故の損害補償をカバーしきれていないので、実際の損害と保険の担保範囲のギャップを埋める作業を行うのは、保険を作る側(保険会社)や規制をする側の領域であり、ともに作業して消費者を守る必要があった」と述べているという。
 また、報道では「白書では理想的にはドライバーがいつどんな時でも保証される保険に入ることだとしているが、もっと新しいハイブリッド保険案では営業車両の動態を3区分に分け、それぞれの保証内容を考えたものであり、どの区分においてもしっかりした保証がされるべきだ」としつつ、「しかし、これを実現するにはあまりにもコストがかかり過ぎる。白書によれば、年間5000ドル(約60万円)から7000ドル(約84万円)とドライバーにとっては(TNCにとっても)大きな負担になる。白書は暗にTNCにビジネスモデルを変えてドライバーにフルカバーされる保険を掛けさせることへの同意を提案しているようだ」とも指摘している。

主な州・都市などでの付保義務導入の動き
 また、同白書が下敷きにした先行例を紹介すると、カリフォリニア州公益事業委員会(CPUC)がTNCに課した規制は、@TNCは保険加入の第1債務者でなければならず、かつTNCの保険業者はピリオド2及び3の際の損害補填義務を負うATNCの保険は死亡、人身事故、物損事故に対し100万ドル保証義務を負うBTNCは無保険または保証額過少の保険加入ドライバーが、乗客が乗車してから降車するまでに起こした事故に対し、100万ドルの補償義務を負うCTNCは第1債務者として、1人当たり最低5万ドル(約600万円)、1事故当たり最低10万ドル(約1200万円)、1物損事故当たり最低3万ドル(約360万円)の保証義務を負うD保険はドライバーまたはTNC、あるいはその双方が加入するものとする―などとなっている(2014年9月制定)。
 このほか、テキサス州ヒューストン市ではピリオド2、3において人身事故及び物損事故に対し100万ドルの商用自動車賠償責任保険へ加入させることとし、ピリオド1については、テキサス州自動車安全責任法に定める最低保証額を下回ってはならないと決められている。また、TNCのアプリやウェブサイトには加入している保険の内容を掲載することを義務付けた。ワシントン州シアトル市では、TNCがドライバー自身が保険加入しているか否かに関わらず、1人当たり最低10万ドル(約1200万円)、1事故当たり最低30万ドル(約3600万円)の保険に加入しなければならないこととし、保険は営業中に適用されるものとするなどとしている。
 このほか、白書の付属資料では、州単位での規制の例として、カリフォルニア以外にもコロラド州、コロンビア特別区、イリノイ州、バージニア州の例を紹介、市・郡単位では、テキサス州オースチン市、カリフォルニア州バトンルージュ市、アラバマ州バーミンガム市、イリノイ州シカゴ市、オハイオ州シンシナティ市、テキサス州ダラス市などでの規制導入例を掲載している。

ニューヨーク市の動向〜市当局、タク業界とウーバーの綱引き
 米・ニューヨーク市で市当局がビル・デブラシオ市長主導の下でウーバーXなどの白タクドライバーの総量規制を導入する条例案が採決前日になって撤回され、水面下での両者の交渉により白タク総数の自主的な抑制と11月末まで実施される交通環境への影響調査にウーバー側がデータ提供を行うことなどで合意したことはすでに本紙『ファックスプレス関東版』8月8日号でも報じた通りだ。
しかし、両者の闘いは必ずしも決着したということではなかったようだ。市当局によるウーバーとの妥協に怒りのさめやらないタクシー業界側は新たな「協会」を設立し、ウーバーと闘う決意を固めたようだ。
 8月14日付の地元紙報道等によると、「ニューヨーク市のタクシードライバーはウーバーと闘うための新協会を立ち上げた」との見出しが掲げられており、同記事などによると、「彼らは自らの失業を避けるため、自身の新しい協会を作った。彼らの掲げるスローガンは『すべてのサービスに公平な価格と規制を!』というものだ」「先月(7月)、ウーバーはニューヨークにおける重要な闘いに勝利した。白タクドライバーの総数規制に対する勝利だ。ウーバーの広告戦略と、数々の集会などにより、市長のビル・デブラシオは少なくとも交通渋滞緩和の手段の一つとしてニューヨークの街中でウーバードライバーの総数を規制する闘いで後退を余儀なくされた」「しかし、闘いはまったく終わってはいなかったのだ。水曜日(*8月12日とみられる)、タクシーメダリオンオーナーのあるグループはシティホールで集会を開き、彼らを脅かす存在であり、自由に成長を続け、かつ、従来の規制に従う必要のないウーバーや他のライドシェアリングサービスに対して声をあげた。新協会は『ウーバーなどが価格攻勢をかけることができるなら、なぜわれわれメダリオンオーナーにはそれが許されないのか』『ウーバーがアプリを持つことができるのに、われわれにはできないのか』と述べている」などとしており、さらに、ニューヨーク市でのイエローキャブが約1万3000両であるのに対し、ウーバーは立ち上げから4年間ですでに2万5000両(人)に脹れあがっていること、メダリオンの価値がこれまでの1両100万ドル(約1億2000万円)から75万ドル(約9000万円)程度に下落しており、タクシードライバーが撤退しようにもメダリオンを売ることができない状態に陥っていることも合わせて紹介している。市が実施する交通環境への白タクの影響調査結果次第でデブラシオ市長は条例案の議会への再提出の考えを捨てておらず、今後も闘いは過熱する可能性を秘めている。

NELP報告書〜請負事業者ではなく労働者
 ウーバー等のTNCにとって良いことばかりが続いているわけではない。死亡事故を契機とした保険加入義務づけの動きもその一つだが、それだけにとどまらない。
 9月9日、米国では労働者支援団体の全米雇用法プロジェクト(NELP=ナショナル・エンプロイメント・ロー・プロジェクト)が「オンデマンドエコノミー労働者の権利」に関する報告書を公表した。オンデマンドエコノミーとは、ライドシェリングで働く白タクドライバーも含むがそれにとどまらず、企業側から(あるいは労働者側)の都合によって一定の労働に従事する形態を基本とし、そうした安価な労働力によって支えられる産業全般を指す。一般にオンデマンドエコノミー(報道によってはギグ・エコノミーとも呼ばれる)はサービスを提供するウーバーなど事業者側が個々のサービス提供に従事する者を「請負事業者」と位置づけており、最低賃金保証や残業代支払の対象にもなっていないとされ、当然、厚生年金などの社会保障費を企業側が負担することもないと主張しているという。
 NELPの報告書では、ウーバーやリフトなどの具体名もあげて、これらサービス従事者を請負事業者としてではなく、労働者と位置づけ、従業員としての地位を認めるよう訴え、こうした労働者に従来の労働法をどのように適用させるべきかの論議を活発にしていきたいとしている。当然、TNCなど会社側のいかなる主張にもかかわらず、社会保障や失業保険などの給付の権利を拡大することを議会に求めていくことが主張の先には見えている。ライドシェアリングの関係では、NELPはウーバーやリフトなどのオンデマンドエコノミー労働者の団体交渉権を拡大しようとしている州政府などの最近の努力を支持しているとされ、メリーランド州モンゴメリー郡では、住民、ドライバー、会社間の紛争解決のための委員会設置条例が成立しており、シアトル市でもタクシーとウーバードライバーのための交渉の場を構築する計画を検討する動きも伝えられている。
 NELPの報告書によればこれらオンデマンドエコノミーで働く労働者数が会社ごとに実名をあげて示されており、それによるとウーバードライバーは全世界で約16万人に達し、リフトの場合には全米で5万人。サイドカーは米国内の主要都市で約5000人程度と契約しているという。

ウーバードライバーによる抗議行動と集団訴訟の提起
 ウーバーなどTNCの台頭によりタクシードライバーが生活の基盤を脅かされつつあることはこれまでに紹介してきた通りだ。一方で上述、NELPの報告書が公表される以前にも、白タクドライバーの劣悪な労働環境には、報道を通じてしばしば光が当てられてきた経緯がある。
 サンフランシスコ市の地元紙報道によると、2013年3月15日、ウーバーテクノロジーズ本社前で抗議行動が行われた。約30人のデモの参加者たちは「敬意を払わない者には仕事をしない」と叫び、報道陣には「ウーバーのドライバーに対する扱い方に抗議している」と話している。彼らは「ウーバーはアプリを使ったブラック企業だ。彼らはわれわれと話し合う勇気などない」としており、最近になって10%も下がった賃金(ウーバー側の手数料が10%アップしたことによる)や先月には500人ものドライバーが首切りに遭い、新しく契約された者は非職業ドライバーで商用自動車保険に未加入だったり、暇を持て余した主婦や大学を卒業したての未熟なドライバーが含まれていると現状への不満を口にしたという。
 さて、こうした散発的で小規模な抗議行動にとどまらず、今年に入ってウーバードライバーによる組織的な訴訟も提起されている。サンフランシスコ市では今年3月11日、連邦地裁がウーバードライバーが会社側を相手取り提起した従業員としての地位を認めるよう求めた訴訟で原告側の主張を支持、また、今年9月2日にはこれら複数の訴訟を集団訴訟として一括して扱うとの決定を下したというものだ。原告側は弁護士を通して全米のウーバードライバーに集団訴訟に加わるよう呼びかけを強めている。
 ウーバー側は一部のドライバーとの契約を解除したり、部分的に細かな契約条件を見直すなどして対抗し、集団訴訟原告団が膨れ上がらないような対策を講じるとともに、原告団切り崩しの工作も進めているようだ。

大統領選挙を通じて政治問題化?
 ライドシェアリングに代表されるオンデマンドエコノミーの従事者をどう位置づけるかやウーバーなどのTNCそのものをどう評価するかについて、2016年の米大統領選挙の争点の一つにも浮上しかねない様相を呈していることは本紙『ファックスプレス関東版』8月8日号でも触れた。共和党の本命候補ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(ジョージ・W・ブッシュ前大統領の実弟)は集会会場にウーバーのクルマで乗り付けるパフォーマンスを演じる一方、民主党本命候補のヒラリー・クリントン・前国務長官(ビル・クリントン元大統領夫人)はオンデマンドエコノミー従事者を労働者と位置づけることに前向きの姿勢を示し始めている。
 もっとも、最近の世論調査では共和党候補では不動産王のドナルド・トランプ氏が他候補を大きく引き離してリードしているし、民主党陣営でもクリントン候補が私用メール問題の釈明で支持率を落とし、無所属ながら民主党大統領候補としての指名を目指すバーニー・サンダース上院議員がトップを快走している。トランプ氏はその生き様そのものが資本主義・新自由主義の権化とも言うべき大富豪であり、サンダース氏は自称・社会主義者というくらい中間層や労働者層の支持が厚く、その主張は正反対。選挙戦の成り行きや両党の大統領候補確定で、この問題がどう転ぶかも違ってくるという観点からも目が離せない。

結論:欧米とのタクシーの質の違いを利用者はどう評価するか
 前編でも触れたが、ウーバーなどのサービスが根本的な欠陥を抱えつつも、市民、利用者に受け入れられてきた背景を考えると、先進国と言えども欧米各国のタクシーサービスの評価の低さもその一因と見ざるを得ない。
ニューヨーク市でタクシーの需給調整規制が実施されていること自体は合理性があるとしても、当該地域の本当の需要量とそれに見合う供給輸送力の算定は適切なものだったのか。1両100万ドルを超えるナンバー権が付くほどの需給調整はやはりやり過ぎだったと言わざるを得ないのではないか。政治力を駆使し、ロビー活動に頼って業界の権益を守ってきたのは良いが、よりマシなサービスを提供しつつ、より強い政治力、資金力、ロビー活動のノウハウを持つ強敵の前にもろくも崩れ去ろうとしているのが現状だ。東タク協視察団報告にもこの辺りの機微には触れられていない。
 ただ、日本のタクシーサービスは諸外国に比べ質が高いから安心して良いというものでもないだろう。各国でも問題になっているように、仮にTNCが法的な枠内で位置づけられた時、競争条件の不公平さも大きな問題になっている。東京五輪の招致に際して「東京(日本)のタクシーは世界一」と言われはしたものの、改めて政府やJОCにも問い返さなければならないのは、「あれは招致を勝ち取るための方便で本気で言っていたわけじゃない」ということなのか―と。また、国民も言葉通りの評価をしてくれていると自信をもって言い切って良いのかと自問自答してみることも必要だ。航空業界でLCC(ローコストキャリア)がこれほどもてはやされる時代、どれほどの危険性が指摘されていても、事故や事件に巻き込まれるまでは「安ければ良い」となりはしまいか。
 新経済連盟や楽天は道路運送法改正による白タクサービス解禁を政府・与党に要望しており、三木谷浩史氏の盟友でもある竹中平蔵・慶應義塾大学教授らは国家戦略特区を活用して過疎地での自家用車ライドシェア解禁を求め始めた。真正面からの全国一律の白タク解禁要望と、過疎地という裏口からの白タク解禁要望、2つの運動は連動している。タクシー業界の白タク反対運動も、「カネがないならもう一工夫」が必要だ。何しろ、小泉純一郎首相以降の自民党政権は米国流経済運営が何よりも好きなので、米国でのTNCの潮流はよく観察しておいて対策を考える必要もあるだろう。役所は現行法の番人なのであって、法改正するか否かについてアテにしてよいものではない―ということは言うまでもない。(了)
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No.601 9月28日号 主な内容
■巻頭人物:藤井 直樹氏(国交省自動車局長)
■気になる数字:78.4/リーマンショック発生の2008年を「100」とした、秋田交通圏2014年の運送収入
■トピックス
 :迫り来る潮流をせき止められるか? 〜米国におけるライドシェアビジネスの現況(後篇)
 :特定地域協に主張を持ち込む〜大タ協「適正化」「活性化」の両特別委
 :地域公共交通のことは地域で考える〜神戸大・正司教授、兵タ協で講演
 :「時代の流れ」に即した対応を〜関協・古知理事長、2年目の決意
 :タクシーの「労働の価値」を守ろう〜国際労組・茨木委員長、再任インタビュー
 :ようこそ和歌山へ〜紀の国わかやま国大本番!
 :全社一丸で「安全・安心」確保〜アイティータクシー第9回「安全大会」
■東西往来
 :2度の法改正と公取委前の抗議行動/事業費に回すほどの経費は出ぬが…
■この人・この言葉
 :佐藤 雅一氏、奈良 和美氏、小野 幸親氏、西 泰三氏
■シャッターチャンス
 :そんなに急いで行き着く先は?/タクシーの情報発信を考えよう
 :ループ観光バスに乗り場提供で/東南アジアのタク乗務員も活用
■アラカルト
  <この街にこのタクシー> エコロ21(京都市中京区)
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Faxpress 関東版
 何とか東京で実現できないか
   初乗り短縮運賃「利用者の期待強い」
      全タク連経営委で富田会長、佐藤委員長が積極姿勢

【 東京 】全タク連は25日、千代田区の自動車会館で富田昌孝会長出席の下、経営委員会(佐藤雅一委員長)を開き、国土交通省の鶴田浩久・旅客課長による講演を聴いたほか、神谷俊広理事長が白タク解禁問題の情勢を報告した。また、川野繁・タクシー事業適正化・活性化推進特別委員長が、東京における準特定地域協議会の検討状況について講話を行い、準特定地域での事業適正化・活性化の積極的な取り組みを促した。国交省の「新しいタクシーのあり方検討会」中間とりまとめにも盛り込まれた初乗り距離短縮運賃について富田、佐藤の両氏は「初乗り距離2キロを維持しているのは東京、大阪など一部大都市だけ」などとし、とりわけ東京での同運賃実施に積極的に取り組む姿勢を示した。
 冒頭あいさつで富田会長は、通常国会終了後に安部晋三首相が打ち出したアベノミクス新方針への期待感を表明し「希望の持てる経済の恩恵を」と述べる一方、同首相が政権奪還直前、自民党総裁就任直後にテレビ番組で「規制緩和の影の部分は見直していく必要がある」と述べ、具体例としてタクシー事業をあげたことにも言及。旧タクシー適正化新法の時代を通じて供給輸送力削減に業界として努力し、日車営収が上昇、乗務員の賃金も年間ベースで約30万円とわずかながらも向上した成果を強調しつつ、改正適正化新法の運用状況に不満も滲ませた。

〜2キロ維持は89地区中13地区のみ
 新しいタクシーのあり方検討会・中間とりまとめに盛り込まれた施策では、活性化中心で適正化の取り扱いが過少だったことに改めて不満の意も表明。併せて活性化の目玉とされる初乗り距離短縮運賃には積極姿勢を示し、全国89の運賃ブロックのうち初乗り距離2キロを維持しているのは東京特別区・武三地区、大阪地区など13ブロックだけで、その他の地域では何らかの形で初乗り距離短縮が実施されているとした上で、「事業者の皆さんの賛同はなかなか得られていない。乗り捨て部分を吐き出せば損をすると言われる。しかし、『何とか、東京で初乗り距離短縮ができないか』と私は思っている。利用者からは『初乗り距離短縮を』との期待が強くある。『損する』とばかり言っていると知らぬ間に業界は見捨てられることになる」と強調した。
 白タク解禁問題で富田氏は、日経新聞報道にあったシェアリングエコノミー全般の課題とされる「安全・安心」に触れ、「ウーバーやリフトはこの課題にどう対応するだろうか。必要ならすぐにこれをカバーする手を打つだろう。ウーバーのドライバーは世界で16万人もいるというが、われわれ日本のタクシー業界は利用者に迷惑をかけていないはずだ。わが国では白タクが合法化されることはないものと思っているが、全国の皆さんの力を結集しなければ期待通りにならない」と述べ、支援を要請した。
 続いて佐藤氏も、「東京、大阪ではまだ初乗り距離は2キロのままとなっている。東京でも初乗り距離短縮はやらなければならないと思う。事業者の皆さんからは『損してもやるのか』との声も多く、東タク協ではさまざまなシミュレーションも行って、どういった形なら皆さんの不安を払拭できるのかという検討を始めている」と述べた。白タク解禁については、タクシー事業の根幹を揺るがす問題との認識を示した上で「富田会長、川鍋一朗副会長らが関係各方面に積極的に働きかけを続けているが、向こう側も次々と手を打ってくる。先日は、国家戦略特区を活用した過疎地等での自家用車ライドシェア解禁要望が出てきた。過疎地等の『等』が曲者で、自家用自動車有償運送でも過疎地等は交通空白地帯という呼び方に変わってしまった。過疎地等を交通空白地と捉えればその定義は相当程度広くすることができるのではないかと危惧している」などと述べた。
 国交省の鶴田・旅客課長は「タクシー事業を巡る当面の諸課題について」と題して講演。新しいタクシーのあり方検討会中間とりまとめの概要を中心に解説した。質疑応答の時間も設けられたが注目された初乗り距離短縮運賃やその実証実験に関する質問は出なかった。神谷理事長は白タク解禁問題、改正適正化新法に基づく特定地域協議会の開催状況や課題などについて情勢報告。川野氏は東京の準特定地域協議会の活動状況等を報告し、「準特定地域ではやることがないというわけではなく、東京の例も参考に適正化・活性化に取り組んでほしい」と促した。分科会の設置など準特定地域協議会の活動体制充実を求めた格好だ。
 タクシー事業適正化・活性化推進特別委では今月17日付で傘下都道府県協会に対し、特定・準特定地域が抱える課題整理のため、具体的な課題に対する意見・要望があれば10月16日までに文書で提出するよう協力を要請しているという。
〔9月26日号関東版掲載〕  <Topへもどる>

2015年9月26日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】何とか東京で実現できないか/初乗り短縮運賃「利用者の期待強い」/全タク連経営委で富田会長、佐藤委員長が積極姿勢
【 東京 】連合が「ライドシェア反対」/全自交・松永書記長が理解求める
【 横浜 】EVタク、UDタクを展示/神タ協、カーフリーデーに参加
【 東京 】都内でも「公共交通空白地」に/白タク解禁問題でも懸念材料
【 東京 】GPS・AVM配車システム導入/無線デジタル化で東個協
【 横浜 】関運局、譲渡譲受70件認可
【 東京 】「何もしなければ個タクは終わる」/IP無線導入説く都営協・中島理事長
【 東京 】本選出場の14人決定/チェッカー接客マナーコンテスト
 
2015年9月19日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 横浜 】「notteco」に違法性ない/「謝礼」「実費の範囲」は有償運送にあたらず/仲介業は「全体像見て個別に判断」
【 横浜 】譲受側の努力が第一/個タク事前試験で山本部長
【 東京 】G7交通相会議、自動運転の発展支持
【東京 】銀座乗禁地区見直しで意見交換/東タク協、関運局・タクセンと
【 東京 】「白タク合法化断固阻止」を決議/交通労連ハイタク部会・中央委
【 東京 】全タク連・総務委開く
【 東京 】あり方検討会・中間とりまとめ/自交総連・今村書記長「誤りの繰り返し」
【 東京 】タクシー事故の特徴示す/自己責任者講習会で警視庁
【 横浜 】神タ協「ようこそ『かながわ』へ!」/10月5日に接遇乗務員への説明会
【 東京 】第3次178人が提訴/国際自動車の未払い賃金訴訟
 
2015年9月19日号−2 関東版 ニュースヘッドライン
【 横浜 】総需要回復傾向は特区・武三のみ/日車営収は15地区中9地区が増収/関運局管内・8月原計輸送実績
【 東京 】IT化「理解得られるよう粛々と」/東タク協・秋山総務委員長
【 新潟 】代行業者等への指導強化/新潟協会が県当局に要望書
【 東京 】都個協、11月6日に利用者懇談会
【 東京 】11月30日に定期大会/全自交東京地連・中央委
 
2015年9月18日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】ライドシェア「逆戻りはない」/利用者に便利「流れは向こう側に」/東タク協理事会、川鍋会長が危機意識の共有促す
【 東京 】新卒採用へチラシ作成/ハローワークなどに配布へ
【 東京 】特区・武三、多摩揃って増収/東タク協・7月の全社輸送実績
【 秋田 】大手と中小「40両」で線引き/秋田交通圏特定地域協
【 秋田 】中小9社が「30両」未満/最低車両数問題、秋田でも
【 東京 】第40回事故防止責任者講習会/東タク協&交通共済協組
 
2015年9月18日号−2 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】特区・武三と多摩、総需要で明暗/気象条件が後押しの7月から一転/東タク協・8月原計輸送実績
【 横浜 】鬼怒川の氾濫でタク22両水没/茨城・常総市、3分の1が稼働不能
【 横浜 】白タクはグレーでなく「ブラック」/神タ協役員会で伊藤会長
【 横浜 】路上寝込み者の轢過防止に力点/関運局、事業用自動車安全施策
【 東京 】運転者登録説明会に120人/東タク協三多摩支部
【 東京 】新部会長に小川敬二氏/交通労連ハイタク部会
【 東京 】緊急対応に「安全対策会議」/東個交通共済、東個協と共同で
【 東京 】国交省人事(15日付)
 
2015年9月16日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】地方業界は耐えられない/実証実験後の全国展開に懸念/全タク連・田中副会長、初乗り短縮運賃巡って見解
【 東京 】楽天等の白タク解禁要望を批判/飯島・内閣官房参与のコラム
【 横浜 】白タク解禁「水際で阻止」/全自交労連・松永書記長
【 東京 】ワゴン・UD専用レーンの運用開始/羽田空港、東京駅八重洲口両乗り場
【 東京 】都個協が第2回UD研修
【 東京 】故 新倉能文氏の合同葬/業界関係者が多数参列
【 東京 】ハイタク86人含む227人/東運支局・自動車運転者表彰式
【 東京 】ハイタク労組代表者会議を歓迎/東タク協・武副会長
【 横浜 】10月28日に合同開催/県央など3交通圏の準特協
【 横浜 】関運局次長に石澤氏
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■ 河北の需給バランス「かなり悪い」
    大阪4交通圏準特協、安部会長が適正化の促進要請

【 大阪 】大阪府下4交通圏(北摂、河北、河南、河南B)の準特定地域合同協議会(会長=安部誠治・関西大学社会安全学部教授)が25日、大阪市中央区のホテルプリムローズ大阪で開かれ、事務局(大タ協)が各交通圏における「準特定地域計画」の草案を示した。旧法下の「特定地域計画」に修正を加えたもので、10月末まで意見を求め、「約半年後」に開催予定の次回協議会で承認を得たいとしている。当日は、オブザーバーとして高槻、茨木、箕面の3市担当者が参加した。安部会長は、昨年8月に開いた大阪府下の自治体との意見交換会について、年内に第2回を開催したい意向を示した。また、安部会長は4交通圏の事業再構築計画について「特に河北交通圏の需給バランスがかなり悪く、稼働率や1車当たりの運行状況にも表れている。当該地域の事業者には、ぜひ事業再構築計画にご協力いただき、適正化についても具体化を進めてほしい。もちろん他の交通圏で適正化が必要ないということではない」とした。
 全自交大阪地連の加藤直人委員長は、従前の特定地域計画に対して「計画についての総括が必要ではないか」と指摘。事業者が特定地域計画にどのように取り組んだのかを提出し、検証を行う必要があるとし、「この作業がなければ今までの協議会の中身が全くなかったものになってしまう懸念がある」と述べた。安部会長も同意し、「次回にはご指摘に沿えるような形で考えていきたい」と回答した。
 会合では大タ協の井田信雄・常務理事がこれまでの地域計画に基づく活性化事業の取り組み状況について説明。補足として滝口敬介・大阪運輸支局長が、衛星都市を中心とした各首長との懇談会を含む訪問活動の中から、「地方交通を支えるためのタクシー」「観光のためのタクシー」「子育て・出産のときに役に立つ公共交通としてのタクシー」の3点が活性化のポイントとなると述べた。滝口氏は、聞き取りを通じた自治体からの要望として、@交通空白過疎地域でのデマンド型運行A観光対策―の2点をあげた。前者に関しては、特に各自治体でバスの運行が困難な路線が出てきており、高齢者を中心に公共交通を必要とする利用者の受け皿としてタクシーを検討している自治体も少なくなく「具体的な相談も1、2出てきている」とした。後者については、「女性3〜4人のグループや、高齢者などの小グループでの移動」が増えており、バスで転々と移動するよりもタクシーでの移動を要望する声もあがっていることから「これらについてが活性化策になるのではないか」とした。また滋賀県全域で市町村等と業界団体で運行する「ゆりかごタクシー」について、利用者から「出産だけでなく、利用した事業者を子育ての時にも利用したい」との声もあがってきており、「急な時にはタクシーが大きな武器になるというのが運輸局でも話題になっている」とした。
 14年3月から乗合タクシーを運行している堺市の担当者は、安部会長から運行状況について質され、「運行開始当初は非常に少ない利用だったが、徐々に増加傾向にあり、利用者からも非常に助かるとの声も届いている」と回答。運行を担っている大阪第一交通(井上道人社長)は「予約依頼をどうするかということを自治体と協議したが、基本的に時間を区切った予約受付を行うことでスムーズに運行できている」と説明した。
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2015年9月26日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】河北の需給バランス「かなり悪い」/大阪4交通圏準特協、安部会長が適正化の促進要請
【 京都 】インバウンド対応タクシー/京都市が実証実験を計画
【 大阪 】大タ協、交通安全キャンペーン
【 大阪 】適正化では「個タクの利益も考慮」/全大個協会・和田会長
【 大津 】「グリーンリボンドライバー」/滋タ協へのステッカー贈呈式
【 京都 】深夜徘徊の少年等保護/京都府警で要請書授与式
【 和歌山 】新たに2社が申請/和歌山・中紀地区の運改
【 大阪 】特定地域協で賃金向上の議論を/阪急タク労組・阪本委員長
【 大阪 】4期目の脇内執行部を承認/近鉄タク労組・定期大会
【 京都 】創立70周年で利用者にプレゼント/弥栄自動車「ななまるキャンペーン」
【 神戸 】かもめタク→2両東亜タク、申請
 
2015年9月19日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】大阪市域交通圏、12月想定の協議会に地域計画原案/大タ協「適正化」「活性化」両特別委発足
【 大阪 】時流に合わせた対抗策を/関協総会で古知理事長
【 大阪 】中・小型一本化を理事会に報告/大タ協 牛島・経営委員長
【 大阪 】棒タイ、配車アプリとも結論出ず/関協社長会、委員会で再協議へ
【 京都 】八条口の入構車両でアンケート/ショットガンに向け業務センター
【 京都 】タクシーの利便性とサービス向上/京都市・業界団体の新会議が初会合
【 神戸 】兵サセン、喫煙車両の入構禁止/違反3社の代表呼んで言い渡し
【 神戸 】11月に安全確保講習会/兵タ協 神戸、姫路の2地区で
【 大阪 】4年ぶりの労使懇で意見交換/私鉄関西ハイタク労連
 
2015年9月19日号−2 関西版ニュースヘッドライン
【 神戸 】現状は「利用者でなく事業者のため」/需給調整規制巡り神戸大・正司教授、地域公共交通のことは地域で
【 神戸 】「白タク阻止」の緊急決議/兵タ協理事・役員会
【 京都 】業務センターが登録諮問委
【 大阪 】親交会が定例会開く
【 神戸 】兵庫交通共済・総務委員会
【 大阪 】大阪ハイタク労協が幹事会/定期総会は11月22日に
【 大阪 】大阪トンボ交通、役員変更届
【 大阪 】第一交通産業G、合併認可
【 大阪 】PEACE→4両講和、認可
【 大阪 】近運局、法人3社を車停
 
2015年9月18日号 関西版ニュースヘッドライン
【 大阪 】設置要綱見直し「問題意識を共有」/構成員、議決権など、近運局定例会見で金指・自交部長
【大阪 】管内準特地域は指定継続へ
【 大阪 】転職フェア等にブース出展/大タ協・女性部会が提案へ
【 大阪 】魅力ある産業へともにアピール/天谷・近運局長と大阪業界団体長
【 大阪 】「目標達成へ官民の連携を」/近畿事業用自動車安全対策会議
【 京都 】交通政策への問題提起今後とも/京都市個人・総会で嶋田理事長
【 大阪 】「憲法違反」は司法判断に/壽タクシー・浦木山社長
【 和歌山 】和歌山・中紀地区で運改申請
 
2015年9月16日号 関西版ニュースヘッドライン
【 大阪 】特定地域協への取り組みが最重点/関中G・薬師寺代表、記者懇で大タ協の問題を指摘
【 京都 】「深夜早朝2割増」廃止/ユニオンが申請取り下げ
【 京都 】京聯自動車、破産手続きへ
【 大津 】免許証で臓器提供の意思表示/滋タ協がステッカー貼付で協力
【 京都 】観光研修で3寺院拝観/京タ協・青年部会が勉強会
【 東京 】新部会長に小川氏が就任へ/交通労連ハイタク部会
【 大阪 】大協、新型無線の結論持ち越し
【 神戸 】兵協役員会、臨時雄会議案を承認
【 大津 】滋タ協が登録説明会/全事業者対象にきょう開催
【 大阪 】リアウインドウに交通標語/南大阪第一、内外に安全啓発
【 神戸 】事前試験利用は12〜13人/兵個協、11月試験の状況確認
【 奈良 】観光用の2人乗りEV/エリア拡大でタク需要浸食?
【 京都 】テラス型バス停に移動式運賃箱/四条通の渋滞緩和で京都市
【 神戸 】兵タ協、29日に事故防止パレード
【 大阪 】大阪マラソンで特設乗り場/10月25日、今年はシャトルバスも 
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