【 東京 】東京ハイヤー・タクシー協会（川鍋一朗会長）は18日、千代田区の自動車会館で第６回理事会を開き、15年度事業計画・予算案、さらに災害対策委員会を総務委員会に統合するとの専門委員会再編、および17日付の「旅客自動車運送適正化事業実施機関」指定を受けての「適正化事業室」設置などの事務局組織規程の見直しを承認した。
　また、任期満了に伴う役員改選に向けて協力支部からの理事・常任理事の選出基準を示し、４月中旬までに名簿提出を求めた。理事・常任理事定数は会員事業者の増加で現行82人から85人に増える。
　川鍋会長は当面の諸問題として開口一番、「中国・北京のタクシーを見てきた」と切り出した。川鍋氏は「かねて『闘う東タク協』として、タクシーを理解してもらうために諸外国のタクシー情報を集め、世論に訴えているが、業界の空気感と業界外のそれとはズレている」と指摘、「（タクシーを理解してもらうために）どのように理論的に話をしても絶対に引かない人がいるが、『世界のタクシーの実情はこうだ』と、具体的な話をすると耳を傾けてくれる。学識経験者や政治家に伝えていく取り組みを進めていきたい」とし、「タクシーの話題を積極的に集め、それを発信し、世論に主張し続けることでタクシーを訴えていきたい」と強調した。
　北京のタクシーについて川鍋氏は、「燃料サーチャージ制度が11年からスタート、すでに（燃料の価格動向に応じて）４回上がり、２回下がっている。サーチャージ料金の収受は運賃メーターでなく、プリンターで別の領収書を発行して対応している。運用について非常に参考になった」とし、「車両台数の削減についても、その目安を70％の実車率にしている。70％というと、タクシーは全く拾えない状況だが、この数値で検討する仕組みだ。政治的な意向が働いているのかもしれない」とした。アプリ予約についても「配車に際してチップを利用者側で選べるようになっており、当然ながらチップを多く出すように操作すると、すぐに（タクシーが）やってきた」などと感想を述べた。
　川鍋氏はまた、「東京のタクシーは頑張っている。乗務員の頑張りに比べて賃金が安い実態をいくら訴えても理解してくれない。まず、頑張っていることを知ってもらうことから始めることが大事だ。ウーバー問題についても（タクシーの）信頼性が上がっていけば世間はタクシーの主張を聞いてくれるようになる。ウーバー問題は福岡などでは中止に追い込んだが、これで終わりではない。国内外のベンチャー企業にとってタクシーは『おいしい』と思われているし、協会は何もやっていないようにも思われている。やるべきことに必死に取り組むことだ。新しいタクシーの姿を世の中に問うことは永遠に続くと思うが、私自身先頭に立って情報を発信し続けるので、皆さんも機会あるごとに情報発信をお願いしたい」と求めた。

〜「適正化事業室」を設置
　「適正化事業室」は、17日付の関東運輸局による適正化事業実施機関の指定を踏まえたもの。指定は全国で初めて。
　先の道路運送法改正で輸送の安全阻害を防止、法令順守に関する指導などを行政に代わって『代行』できるようにしたもので、地域のタクシー団体などが指定されることになっている。地方運輸局が道運法に基づき実施してきた事業者に対する報告聴取、立入検査・質問聴取、さらに行政処分・改善指導などについて運輸当局の指定・連携に基づき、事業者への指導、無許可営業防止のための啓発運動、業界秩序確立に向けた啓発・広報活動などについて協力する。このほか、旅客の苦情処理なども行う。
　東タク協は昨年10月に準備室を発足、昨年末から今年にかけて各支部を対象に説明会を開催してきた。27日には支部未加盟の無所属事業者に対して最後の説明会を開く。
〔３月21日号関東版掲載〕　 <Topへもどる>

【 大阪 】大阪タクシー協会（三野文男会長）は20日の理事会で大阪市域交通圏の特定地域指定問題について意見交換、同交通圏の全会員に準特定地域協議会の構成員として参加要請するとともに、来週以降順次開催するグループ別の説明会で指定同意の賛否を問う調査票を配付して意向確認を行うことで合意した。
　説明会は、４協組ごと、大手グループといずれにも属さないグループの６つに分けて開催する予定で、終了時に書面で賛否を確認する。三野会長は「特定地域指定後の地域計画策定には関連付けない」と説明。供給輸送力の削減については、地域計画策定段階に改めて理事会などで協議して、大タ協としての方向性を打ち出していきたいとした。
　特定地域と準特定地域の違いについて三野会長は、「特定地域では新規参入、増車が禁止されるが、準特定地域では新規参入が許可制、増車が認可制になる。そして特定地域では強制力のある供給削減措置がある。この強制力のある供給削減措置を行使した不公平の是正を含め、改めて理事会などで協議の上、進めていく。執行部としては改正適正化新法制定の経過と趣旨、全タク連を通じて、自治体、消費者団体とともに地域公共交通機関としてのタクシーの将来像を描ける場が設定されたものと理解して、特定地域に指定されるべきとの立場であるので、ご理解をお願いしたい」と述べた。
　特定地域指定をめぐる意見交換では、「メリット、デメリットをどれだけ分かっているのか。適正車両数まで減らしたからといって何がどうなるか、タクシー屋なら分かるはず」（薬師寺薫・最高顧問）、「減車して小企業はやっていけるのか。減車も増車も自主的にやるべき。経営に不利益となる減車などを決めるのに第三者も入る協議会に委ねること自体に疑問がある」（大岡信夫理事）などの意見が出た。

〜違法乗り入れは実・空車とも点数科料
　議事では、北新地の乗禁違反に対しては実・空車に関係なく違反点数を科し、車いす利用客など特別な事情がある場合については日報等に記録の上、後日処置を検討する―ことを承認した。
〔３月21日号関西版掲載〕<Topへもどる>