ハイヤー・タクシー業界専門情報紙  株式会社 交通界
2013年10月28日

    交通界WebNews
最新号ニュース
発行物について
購読のご案内
採用情報
会社概要・沿革
広告のご案内
 










「週刊交通界21」毎月4回情報発信

タクシー法案提出へ、3党の党内手続き完了
何としても今国会で成立を!
民主党タク議連・三日月大造幹事長「盛り込めた、タクシー事業法の精神」

 自民、公明、民主の3党合意から早くも4カ月。タクシー適正化新法改正案、タクシー業務適正化特別措置法改正案、道路運送法改正案の関係3法案の国会提出はいったいいつになるのかと気を揉まされること久しかった業界だが、10月23日までに関係各党は党内手続きを一通り終え、全タク連・事業者大会が開催される頃には法案提出にこぎ着ける段取りが整った。これに先がけて本紙は、民主党政権時代には「タクシー事業法案」の策定に中心的役割を果たしてきた、同党・タクシー政策議員連盟の三日月大造幹事長(衆院議員)に話を聞いた。(聞き手:植村俊郎)

―まずは、民主党政権の3年3カ月を振り返ってのご感想をお聞かせください。また、自民党はいったん下野しながらも、前回総選挙を経て政権与党に返り咲きました。これからの野党民主党の復活については、どのようにお考えでしょうか。

三日月 民主党政権時代には、高齢化・少子化、財政悪化、グローバル化、地球温暖化など、これまでに経験したことのない、しかも避けられない変化に直面しました。そうした中で「日本国」の「経営改革」に遮二無二取り組んできた3年3カ月だったと思います。われわれなりに成果もあったと思いますが、残念ながら国民の皆さんに約束したことが実現できなかったり、政権運営の面で稚拙なことがあったり、悲しい出来事でしたが、東日本大震災があったりということもあって、有権者の皆さんから「引き続き政権を担え」というご選択はいただけなかった。そういう面では残念にも思いますし、これを教訓として次にしっかりと生かしたいと思います。
 再度の政権交代により私たちは下野をし、また、下野していた自民、公明両党が政権に返り咲いたということで、こう言っては失礼かもしれませんが、新しい民主主義の時代に入った―野党だった党が政権を獲得し、下野した与党が野党から再び政権に返り咲く―他の先進国では当たり前のことが起きていると言えます。
私たちは、与党経験を持つ野党として、今後建設的な提言をしていきたいと思いますし、「良いことは良い」と賛同できるものはしながら、成熟した民主主義を形成していけるように頑張っていきたいと思っています。

―タクシー適正化新法改正案等関係3法案については、6月の自・公・民3党合意から国会提出に至るまで思いのほか時間がかかっている印象です。3党交渉はそれ以前からずっと行われていましたし、何か特別な事情があったのか。また、業界内には関係3党からの公式なアナウンスもなく、「本当に臨時国会で成立するのか」と不安視する向きも少なくありません。臨時国会の会期も12月6日までと短いのですが、この点についてはいかがでしょうか。

三日月 立法には丁寧さも必要になります。その結果、時間がかかるということもあります。いろんな地域の関係者のご意見を聴きながら、より良い法律を作りたい。そのためには必要十分な時間もかけていきたいのです。
同時に、今、タクシー市場が置かれている状況、事業者や乗務員の皆さんが強いられている厳しい環境を改善するためには、悠長なことも言っていられない。そういうこともあって、この臨時国会では何としても成立を!と考えています。

法案成立のための第一歩を
 今月30日には全タク連事業者大会が開催されると聞いています。この30日までには、法案の国会提出を各党の党内手続きを経た上で、まずは法案成立のための第一歩として印しておきたい―ということで、今、準備を進めているところです。きょうも関係3党間の協議をやってきたところですし、今後は毎週3党協議を行うことになっています。

―民主党の党内手続きはどうなっていますか。

三日月 わが党は先の通常国会の時に、タクシー適正化新法改正案等の骨子案の段階で党内手続きは済んでいるんです。詳細、条文全文については、実務的な修正もありましたので、そのことについては再確認ということで、10月21日以降の週にも必要な手続きを行うということになっています。

―お盆休みの頃からタクシー問題については一般紙でも盛んに報道され、「タクシー減車義務化法案」などとも書かれました。東京都内では一部中小事業者が有志の会を結成し、公明党に対し「中小零細事業者への減車免除」や「保有台数規模が大きくなるほど減車率を大きくする累進減車」などを、自らの所属する事業者団体を通さず要望する動きも表面化しました。各党の党内手続きの遅れに影響を与えたものか否か定かではありませんが、こうした動きが起きてきたことについてはどのようにお考えになりますか。

頑張っている中小に不利益が無いよう
三日月 われわれが今回予定している法案は、大きな目的として第一に安全性の向上、そのために供給過剰状態の是正を行うこと、そしてサービス向上―これは乗務員の皆さんの資質向上―を掲げています。タクシードライバーの皆さんの労働条件を改善したい。当然、どんな法案になるのだろうとかどんな制度になるのだろうと不安を感じられたりすることもあるでしょう。とりわけ、中小事業者の皆さんに車両台数の制限や営業方法の制限という措置にご懸念があることはわれわれも承知しています。
 ただ、まじめに事業に頑張っていらっしゃる中小事業者の皆さんに極力不利益がないよう、法制度の面でも担保をしっかりとしていきたいと思っています。
そうした事業者団体の所属事業者が協会を通さずに要望に至ったような動きは、今申し上げたようなご懸念の発露だろうと思いますし、そのことは受けとめて参りたい。

―タクシー適正化新法改正案への懸念からそうしたアクションがある一方で、今次法改正によってもなお、特定地域指定解除後への不安は完全には解消されません。労働組合のみならず、経営者の一部にも「実は民主党タクシー政策議員連盟が業界労使とともに策定した『タクシー事業法案』の方が長い目で見れば良かった」という声もあります。中長期的にみて、改正タクシー適正化新法施行後の道路運送法の抜本改正やタクシー事業法制定の検討などについて、民主党議連あるいは三日月さん個人としてどのようにお考えになるでしょうか。

三日月 行き過ぎた規制緩和是正のための歩みは、4年前のタクシー適正化新法制定及び道路運送法の一部読み替え規定(道運法9条の3:運賃=適正原価+適正利潤)の設定等で「一歩」前進しました。そして今回のタクシー適正化新法の改正によって、さらに「三歩」前進というようなことではないでしょうか?
 百点満点とすべての方がもろ手を挙げて賛成ということではないのかもしれませんが、わたしは市場環境改善、ひいてはサービスの質改善のために大きな前進だと思います。各党もそうですし、関係者の合意形成も大事にしながら、進めて参りたいとわたしは思っています。

今回の改正がゴールでなく
 と同時に、これで終わりか?と言えば、そういうわけではなくて、これから先2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催も控えていますし、わたしとしては、高齢化し、グローバル化し、情報化する今の時代にあって個別輸送のタクシー交通が果たすべき役割というのは、ますます高まってくると信じています。これまでにも折あるごとに申し上げてきたことですが、そうした可能性をより高めていく環境を作るために、さらなる法制度の改善検討というのは進めていきたい。今回のことだけでゴールということではなくて、不断に検討を進めていきたいと思っています。

―今回のタクシー適正化新法改正案が臨時国会で成立するか否かへの関心が非常に高まっています。背景には、来年4月1日に消費税増税が実施されるということもあります。業界労使ともに各種会合、定期大会などでトップの発言の中でそのことにも言及されている一方、法施行後の手続き(公定幅運賃の地域協議会における意見聴取、運輸審議会への諮問、大都市部における消費者庁との協議)等を勘案しますと準備の時間はあまり十分ではないように思いますが。

三日月 来年4月には消費税率が5%から8%へ、その1年半後には8%から10%へ引き上げられます。そのことがタクシー事業に及ぼす影響は大きいことだと思います。そういう大きな変化がある前に、今回の法改正によって事業環境を整えておくこと、また、できるだけ早く施行して、周知・準備期間をとることは大事です。

年内成立で準備期間を
 ですから、わたしたちは「先の通常国会中に法案を成立させるべきだ」ということも申し上げましたが、各党の合意形成にも若干の時間がかかり、ことここに至っておりますので、何としても年内にはこの法案を成立させること、同時にご指摘のように周知・準備期間も必要で、関係事業者はたくさんいらっしゃいますし、利用者のための制度改善なので、そのことをしっかりと知っていただけるように努めて参りたい。
 今回はまた、乗務員登録を全国に拡大するという制度改正もありますので、そのためのシステム構築・改修も含めて、しっかりと準備ができるよう行政側にも促して参りたいと思っています。

―必要な制度改正については、不断に検討を続けていくとのお話をいただきました。三日月さんご自身は、今回のタクシー適正化新法改正案を以前民主党タク議連が業界労使とともに検討・作成した「タクシー事業法案」と比べて、欠けているものがあるとしたらそれはなんでしょうか。

三日月 欠けているというよりも、その時点、時点でどこまで改善できるのか―ということでしょう。
そういう意味で、例えば地域協議会で需給の問題などについて決めるということや、そのこととの関係で独占禁止法との整合性、運賃についても幅があるとはいえ公定で決め、下限割れについては変更命令を発動できるということなどが今回の法案には盛り込まれています。
 わたしは、われわれ民主党が検討してきたタクシー事業法案の多くの精神は、この法案に盛り込めたと思っています。欠けている点よりも、改善、前進した点に着目をし、そのことが現場、末端に至るまでしっかり浸透、適用されることを期待したい。

「真っ当な」市場環境の中で
 同時に、タクシーはこれまで車両、サービス、メーター、無線など世界に冠たるサービス改善をしてきました。現在はさらにスマホアプリ配車や妊産婦タクシー、外国人利用者に対する接遇改善などにチャレンジしている事業者の皆さんがいらっしゃる。そういう方々に真っ当な市場の中で力をつけていただき、さらなる挑戦をしていだける環境を作るための法律が今回の法案ですから、その運用をできるだけ早期に実現できるよう頑張っていきたいと思いますね。

―現行のタクシー適正化新法が4年前に成立した際には衆参両院でそれぞれ10数項目の附帯決議がなされました。国土交通省ではそれを根拠に、例えば「4.13通達」を発出し、減休車へ非協力的な事業者を指導したり、下限割れ運賃採用事業者に毎月の経営指標提出を義務付けるなどしてきた経緯があるわけですが、今回の法改正において、法律本体に盛り込み切れずに附帯決議で補うべきことなどを何か想定しておられれば、具体的にお聞かせください。

独禁法問題「念には念を」
三日月 審議はまだこれからなので、具体的に想定しているというものはないのですが、例えば、地域協議会の中でいろいろな議論をし、特定地域計画を作っていく中、あるいはそれを実施する中で、中小事業者への配慮や新潟の運賃値上げが独占禁止法違反に問われた事例でも明らかになりましたが、公定幅運賃を設定するに際しての話し合いが公正取引委員会からの介入を受けないようにする対策などについては大きな論点になると思います。わたしどもとしては法律の条文上でしっかり措置したつもりですが、運用をしっかり担保するためにも、念には念を入れたいということはあります。
 念のために申し上げると、今回の法案では特定地域及び準特定地域では協議会において意見を聴取し、公定幅運賃の範囲を決めるという建て付けになっています。その際、事業者の意見を聴くことになりますが、そのことが独占禁止法に抵触するものではない―ということです。公定幅運賃の中でどの運賃を具体的に選択し、届け出るかということは個々の事業者の判断でなければならないことはこれまでと変わりありません。ただ、新潟の例で言えば、タクシー適正化新法施行後下限割れ運賃事業者を厳しく、監視・指導する流れの中で地域協議会が開催され、そうした流れの中で行った運賃値上げが公取委の摘発を受けるという法運用への理解の曖昧さがあった。そこはグレーゾーンというか、周知不足の面もあったのではないかと思いますので、そこは事業者の皆さんにも今回の法改正の審議等を通じてしっかりとご理解をいただけるようにしたいと思います。

―現行のタクシー適正化新法が4年前に成立した際には、衆参両院ともに全会一致でした。一方、現在の両院の会派別構成をみると当時存在しなかった政党が国政に進出しており、それらの政党は規制緩和万能論寄りのスタンスと一般的にはみられています。

三日月 可能性を追求することは諦めていません。やはり、前回同様全会一致を目指したいと思っています。

―現行のタクシー適正化新法もそうですが、法制定の目的として乗務員の賃金労働条件の改善が掲げられています。労働条件改善を通じて輸送の安全を確保するということになっていますし、今回の法改正でも通称名として「タクシーサービス向上安心利用推進法案」と銘打たれています。需給調整や運賃規制を通じて健全な市場を取り戻し、もって輸送サービスの質の向上につなげようということだと思います。新法施行後の労働条件改善やサービス向上などの点検についてはどのようにお考えでしょうか。

三日月 今回の法改正では、適正化実施機関というものを法定しています。当然、今次法改正で作られた制度がきちんと運用されているのかどうか、順守実行されているのかどうか確認できる体制をより整えていきたい。同時に、その結果、今回の法改正の目的にあるサービス向上、安心利用、安全運行などの効果が得られたかどうか、検証はしっかり行っていきたいと思っています。
 また、適正化実施機関による点検のみならず、国交省が行政官庁として行う監査もありますし、なにより大事なことは利用者の皆さんが、タクシーを選別・選択されることによって行われる点検ということもあるでしょう。これらが相俟って市場環境が改善されていくことが望ましいと思っています。

―最後に、タクシー適正化新法改正案の審議、成立に向けて全タク連事業者大会に出席している多くの事業者の皆さんにメッセージを賜りたい。

関係者の声、心、思いを
三日月 法律の制定及び改正は唯一の立法機関である国会で行うものですが、国会を動かすためには、関係事業者や利用者の皆さま方の声、心、思いというものが大事になります。しっかりと法案の審議、法の制定に向けて緩めずにお力を添えていただきたい。同時に、法律が制定されて終わりということではありませんから、その運用・執行を通じて、「法改正して良かった」と思っていただけるような法律を作っていけるよう、一緒に努力をしていきましょう。
 また、日本のタクシー交通が世界から見て、賞賛され羨まれる、そういうものになるよう、わたしは今でもすでにそうだと思っていますが、一層そうなるよう、タクシー交通を磨くための不断の努力をお願い致したい。
 また、わたしの個人的な問題意識として交通機関相互の連携、総合交通体系の確立ということがあり―わたしのライフワークでもあるのですが、そういうことからすると、主要駅でのタクシー交通との接続は、必ずしも利用者にとって良い状態になっているのかは疑問です。分かり難いタクシー乗り場であったり、雨に濡れてしまうようなものであったりする場合もあります。こういうことについては、より分かりやすく使いやすい環境を作っていかなければならないと思っています。各交通モードの事業者間の連携はもちろん、事業者と行政との連携もより一層強めていかなければと思います。
 タクシー事業者の皆さんにおかれても、ご理解、ご支援をお願い致したいと思います。

―有り難うございました。(10月18日、衆院第二議員会館で収録)
<バックナンバー一覧へもどる>

No.511 10月28日 全国事業者大会直前 特別編集号 主な内容
■トピックス
 :タクシー法案、何としてでも今国会で成立を! 〜三日月大造・民主党タクシー政策議員連盟幹事長
 :全タク連が全国のタクシー情報を一元化 〜川野繁 広報・サービス委員長 
 :タクシーに何ができるか――地域公共交通の議論に備えを 〜田中良一郎・全タク連副会長
 :15社を孤立させない支援を 〜新潟・カルテル被疑事件、年明け結審へ
 :地域NWの一翼を担う 〜近江の国の「ゆりかごタクシー」出陣!
 :現時点では50点、残りの50点は業界の努力で 〜安島幸博・東京観光タクシー協議会座長
 :「かながわ観光タクシープロジェクト」発進 〜伊藤宏・神タ協会長&藤井嘉一郎・経営委員長
 :躍進するスマホ配車――デジタル無線は? 〜大阪で狼煙「Hailo」と「Smart to TAXI」
■アラカルト
 
:<内外交差点> 小規模事業者のアイデンティティー  倉橋史朗氏I
速さ+確かさ
交通界ファックスプレス(『交通界21』特別サービス号/ 週3回配信)

 

Faxpress 関東版
 「準特定」の参入・増車要件も厳格化
    新特定地域へ約70〜80地域が移行へ
      タクシー法案・条文 下限割れ運賃に変更命令

【 東京 】自民、公明、民主3党の党内手続きが概ね完了し、臨時国会への上程がほぼ確実になったことで、タクシー適正化新法改正案、タクシー業務適正化特措法改正案、道路運送法改正案の関係3法案の条分全文がこのほど明らかになった。従来の特定地域に加えて準特定地域指定制度が新たに導入されるほか、特定地域では新規参入・増車が完全に禁止となるほか、準特定地域でも参入・増車要件に「供給過剰とならないこと」とする審査基準を設けた。供給輸送力削減については、従来の減休車によるほか、「営業方法の制限」によることもできるものとし、行政が事業者に対して輸送力削減を命じる際には「営業方法の制限」に限定した。また、運賃制度では特定、準特定の両地域で公定幅運賃制度を導入し、下限割れ事業者に対して運賃変更命令を発動することができるようにした。適正化新法改正案の一部条項違反に対しては懲役や罰金を科すなどの罰則強化も盛り込まれた。
 今回の法改正で特定地域の指定は運輸審議会への諮問を経ることに改められ、指定のハードルは上げられた。このため、現行法における特定地域(全国で155地域)はほぼそのまま準特定地域に移行させたとしても、その中から特定地域に指定されるのは約半分程度の70〜80地域とみられている。特定地域では、新規参入・増車は完全に禁止され、申請も受け付けられない。同地域では地域協議会で現行法の地域計画に代わる「特定地域計画」を作成し、供給輸送力の削減目標とその方法などを盛り込む。特定地域計画は国交省の認可を受ける。認可申請には特定地域内の法人・個人タクシー合計の総台数の3分の2以上の賛成が必要になる。これを受けて個々の事業者は現行法の特定事業計画に代わって「事業者計画」を策定し、認可を受ける。
 輸送力削減方法は従来の減休車に加えて、営業方法の制限が追加されている。削減に応じない事業者に対しては、運輸審議会への諮問を経て、行政が営業方法の制限命令を発動する。特定地域内では、輸送力削減を巡って複数の事業者が共同行動をとることも独占禁止法適用除外となった。準特定地域は、供給過剰の進行予防と特定地域解除後の激変緩和が狙い。同地域では、現行法における特定地域とほぼ同じ仕組みを維持し、準特定地域計画の認定要件は地域のタクシー総台数の2分の1以上。輸送力削減に強制力はなく、あくまで任意の取り組みにとどめる。ただし、新規参入・増車の審査基準は現行法の「新たな需要が認められること」から「供給過剰とならないこと」へと改められ、厳格な歯止めがかけられている。訴訟対策を強化したものとみられる。
 運賃制度では特定地域、準特定地域ともに国土交通省が上下限を指定する「公定幅運賃制度」を適用する。条文本則中に「運賃=適正原価+適正利潤」とする条項を明記した。運賃設定に際しては当該地域の協議会の意見を聴くこととするほか、運輸審議会への諮問が必要になる。
 罰則強化も盛り込まれ、輸送力削減のための営業方法制限命令や運賃変更命令に従わなかった場合には車両停止や事業停止処分を科すほか、これら行政処分に違反した場合には「1年以下の懲役」もしくは「150万円の罰金」「双方の併科」などの条項を新設した。
 タク特法改正案では運転者登録制度の全国拡大を盛り込み、指定地域では経歴や試験合格を登録要件としている。運転者に対する指導事業を行う適正化事業実施機関を指定する。運転者への適正化事業とは別に事業者への適正化機関も設けることを道運法改正案に盛り込んだ。各都道府県タクシー協会などの指定が見込まれており、協会非加盟事業者への法令順守等に関する指導が可能になる。
〔10月26日関東版掲載〕  <バックナンバー一覧へもどる>

2013年10月26日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】「準特定」の参入・増車要件も厳格化/新特定地域へ約70〜80地域が移行へ/タクシー法案・条文 下限割れ運賃に変更命令
【 東京 】タク法案、公明国交部会も了承/29日に党内手続き完了へ
【 東京 】公定幅運賃、4月1日に間に合う?/2月早々の新法施行が最低線
【 東京 】供給過剰の事実ある/法改正めぐって太田国交相
【 東京 】高齢・障がい者の旅行サポート/kmがNPOと提携
【 東京 】都個協コンテストへ9人選抜/東個協が接客マナーコンテスト
【 東京 】羽田交通社長に菊池聡氏
【 横浜 】東京減収、京浜増収など二分化/関運局館内・9月原計輸送実績
【 東京 】加藤副理事長の辞任認めず「解任」/無免許運行で日個連都営協
【 東京 】菊池代行が委員長就任/東洋交通労組・定期大会
 
2013年10月25日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】公明の党内手続き、来週にずれ込み?/「中小有志の会」ヒアリングも影響か/タクシー法案、国交部会「了承に至らず」
【 東京 】11月前半に衆院通過できるか?/タク法案、会期内成立の「目安」
【 東京 】全タク連、11月5日に合同会議
【 東京 】民主は党内手続き完了/議連総会で「早期成立」確認
【 新潟 】今国会成立へ「大きく前進」/交通労連・五十嵐部会長
【 東京 】タク規制は「総合的、適切に判断」/菅・官房長官がタク法案で見解
【 東京 】タクシー関係の受賞は43人/自動車関係功労者大臣表彰
【 東京 】「正当化理由」を否定、棄却求める/新潟事件審判、審査官最終書面
【 東京 】個タクに一定枠確保を/全個協が公明党に要望
【 東京 】年末年始期間は運用休止/銀座1号乗り場のショットガン
【 さいたま 】恒例の安全・サービスコンテスト/三和交通G、約300人が参加
 
2013年10月23日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】タクシー法、今国会成立へ/来年4月1日実施へ、月内に法案提出/自民党国交部会が了承、3党手続きにめど
【 東京 】民主党、きょうタク議連総会
【 東京 】改正3法の年内成立に意欲/民主党議連・三日月幹事長
【 東京 】来年1月9日結審へ/新潟事件・公取委審判
【 東京 】優良職員26人を支部長表彰/東タク協三多摩支部
 
2013年10月19日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】「タクシーに何ができるか」/交政審部会等の議論に「事例集」で備え/本紙インタビューで全タク連・田中副会長
【 東京 】国交部会・タク議連が合同会議/自民党、22日に法案審議
【 東京 】11月28日開催で調整/東京の地域協議会
【 東京 】倒産の1社が請求取り下げ/新潟事件の公取委審判
【 東京 】公務員マニュアルデータを配布へ/東タク協・災害対策委員会
【 東京 】辞任・加藤氏の後任に宮田氏/都個協、副会長人事
【 横浜 】神タ協、優良乗務員7氏を表彰へ
【 東京 】公共交通の信頼得る産別闘争を/自交総連・定期大会
【 東京 】タクシー法案の早期成立を/KPUが民主党に要望書
【 東京 】組合員に「脳ドック」推奨/脳梗塞などの早期発見に効果
【 東京 】今後の課題は「残留煙害防止」/「ハイタク禁煙をめざす会」が総会
 
2013年10月18日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】トヨタ「LPGハイブリッドUD」/全タク連通じ、前倒し販売要請検討へ/五輪開催睨んで、東タク協・正副会長会議
【 東京 】会社分割でタク子会社3社/大和自交、4月1日成立へ
【 東京 】衆院国交委員長に梶山氏(自民)/臨時国会開会、参院は藤本氏(民主)
【 東京 】運行管理者・無線従事者講習会
【 東京 】東京の最賃、19日から869円/神奈川は20日から868円に
【 名古屋 】自動運転自動車、トヨタも開発/2010年代半ばに商品化目指す
【 金沢 】全国7ブロック制移行を承認/全自交労連・定期大会
【 東京 】交運労協「交通基本法」に全力/副議長に伊藤・全自交委員長ら
【 東京 】MCA抜きで10万局の大台に/9月末現在のデジタルタク無線
【 横浜 】タクシーを「誇り持てる仕事に」/神交運・定期大会で石渡委員長
【 横浜 】関運局・9月のハイタク行政処分
<バックナンバー一覧へもどる>
速さ+確かさ
交通界ファックスプレス(『交通界21』特別サービス号/ 週3回配信)

 

Faxpress 関西版

■ 17年ぶり運賃改定へ関門クリア
     京タ協、消費者等懇談会で理解得る

【 京都 】京都府タクシー協会(牧村史朗会長)は24日、京都市伏見区の自動車会館に消費者団体の関係者などを招いて懇談会を開き、運賃改定について説明、サービス向上などを求める厳しい指摘などを受けながらも基本的に賛同を得た。平成8年12月以来、実質17年ぶりとなる運賃改定に向け、要件の一つをこなしたことになる。
 冒頭あいさつで牧村会長は、観光需要を背景に人口当たりの車両数が多い京都の特殊性に触れながら、燃料高騰や旧6大都市における自賠責保険料などの割高設定による過重負担を強調、「今回の運改はわれわれに与えられた最後のチャンス。利用者の安心・安全を担保するためにも、適切な運賃が必要だ」と訴えて、理解を求めた。
 質疑応答では京都商工会議所連合会の南隆明・常議員が、「公共料金は安ければ良いとは思わない。安定したサービスの提供は社会的にも必要だろうし、健全な収支の下でないと維持は難しい。そうした理解に立って申し上げたいが、1両当たりの収支を言うより、10%でも20%でも供給過剰とされるタクシーを適正規模に戻せば利益が上がるのではないか」と指摘した。
 これに対して安居早苗副会長は、会員事業者の自主的な減休車により、京都市域は地域計画による適正車両数の上限のクリアしていると説明。観光需要など、さらに踏み込んだ減車が困難な地域の事情も示した。兼元秀和副会長も、「収支の件は、特に通常運賃の6%を占める燃料比率が8.5%近くに高騰したことが大きい。あとは社保料など、労働集約産業だけに負担が厳しくなっている」と述べた。
 南氏はさらに、京都駅北口降車場の上屋設置とバリアフリー化の報告に対し、7〜8年越しの課題だとして、対応の遅れに疑義を示した。これには牧村会長が、平成元年以降、四分五裂だった法人業界の事情を説明。平成20年夏の統一後、駅前の秩序改善などに乗り出し、「ようやく形になってきたところ」とした。
 懇談会には京都府、京都市や障害者団体、消費者団体、さらに学識経験者として関西大学の安部誠治・社会安全学部教授、労働団体代表として、全自交京都地連の塚本新二委員長、京都ハイタク共闘会議の石原敏雄議長らが出席して、意見を述べた。

〜距離短縮のあり方等で意見
 京都府の奥村功・消費生活安全センター長が、同センターに苦情として寄せられる乗務員のマナー問題を取り上げ、「運賃改定に見合ったサービス」の説明を求めたのに対しては、兼元副会長が回答。「京都タクシー駐停車マナー向上マネジメント会議」の取り組みを説明したほか、私見と断った上で、将来的なランク制度検討の必要性に触れた。
 運賃改定について京都ハイタク共闘会議の石原敏雄議長は、「5キロ乗車時で京都の1280円に対し、名古屋・神戸は1600円、東京は1700円という数字も出ている。日車営収も2万5000円程度で、標準勤務(13勤)で換算すると月額32万5000円、賃率50%で計算すると16万2500円、ここからさらに税金等を引かれるわけだから、どの程度の収入かはお分かりいただけると思う」と訴えた。
 関西大学の安部誠治教授は、「この10数年、40品目ある公共料金はどれも10%から15%上がっているので、タクシーもやむを得ないと思う一方で、上げるには工夫が要るのではないかとも思っている。距離短縮をされているが、できれば半端な金額は止めて、なおかつ初乗り1.3キロにして中型・小型も500円にするとしたらどうか。観光客もワンコインで1キロ程度移動できるということであれば乗車したくなると思うので、上げ方の工夫をする。短距離で遠慮していた利用者も乗ってくれれば、新しい需要の開拓にもなるのではないか」と述べた。
 全自交京都地連の塚本新二委員長は、根本問題としての歩合制に触れたほか「タクシー需要が喚起されるような方法、発想を考えて行かねばならないと思っている。また運改では1次申請は京都も8割超となったが、公示が出た時の2次申請、この際に運賃を申請しない事業者が出てくるかもしれないのでここは留意していきたいと思う。安部先生が言われたが、工夫も必要。だがひとつだけ念頭に置かなければいけないのは距離短縮とか操作をすると、値上げにも関わらず値下げという錯覚を起こし、長期間を経た後には収益が下がるということも懸念されるので、よく考慮した上でやらないといけないだろう」とした。

〜トータルで増収図り、魅力ある業界に
 こうした意見を受けた上で、京タ協の小野幸親副会長は「地域密着型の公共交通機関であるとされるタクシー。そのタクシーが何をして行かなくてはならないかというと、安全な品質とスキルの向上。(今回の運改に際して)今、京都はそうしたチャンスの中にあると思っている」とした。また、北川賢持・経営委員長は「11年前の規制緩和で、本来の目的は悪質事業者の退出にあったはずだが、結果として減った利用者を増えすぎたタクシーが奪い合う状況となった。今般、運賃申請し、ここに至るまでいろいろと議論もしたが、企業間競争や規制緩和自体を否定するつもりはないものの、やはりタクシーについては実施時期と方法に問題があったと言わざるを得ない。関越道のツアーバスでは乗客が犠牲になり、今、高速ツアーバスという乗り物はなくなった。タクシーの場合は一番犠牲になっているのは労働者だと思っている。利用者の方々は今回の運改を内部の問題と思われるかもしれないが、申請では距離短縮が多く出ており、利用者にとってプラスに働くという一面もあるだろう。場合によっては減収になるかもしれないが、トータルで増収を図り、タクシーを魅力ある業界にし、もっと良い若い人材を確保していきたい」と述べた。
〔10月26日関西版掲載〕<バックナンバー一覧へもどる>

2013年10月26日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 京都 】17年ぶり運賃改定へ関門クリア/京タ協、消費者等懇談会で理解得る
【 東京 】タク法案、公明国交部会も了承/29日に党内手続き完了へ
【 大阪 】維新・平沼代表代行に陳情/「タク新法反対」でワンコイン協会
【 神戸 】被害の芽は早いうちに摘むべき/「乗り逃げ」多発に地元の声
【 大阪 】「ニンタク」への積極参加呼びかけ/個人タク「更新研修」に136人
【 神戸 】新法に期待も、消費増税に不安/尼崎の事業者「影響が長期化」
【 大阪 】タクセン「トイレマップ」の概要
【 大津 】笈、交通、C運賃で申請
【 大阪 】近運局、法人1社を車停処分
【 大阪 】単組要求は現実に即して/阪急労組・阪本委員長
【 京都 】新生5両→愛都交通申請
【 和歌山 】熊野第一交通が住所変更届
 
2013年10月25日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】結果次第では背任罪に/共済DR問題、本紙インタビューで薬師寺氏
【 大阪 】大タ協が「CMソング」/イメージアップへ「ビリケンタク」も
【 大阪 】近自無協には協賛会員で残留/全大個協組、スマホ配車導入で会見
【 大阪 】「全大個事業連合会」の発足届け出
【 大阪 】第2車庫に新社屋建設へ/敷島交通、1階は多目的ホールに
【 東京 】公明の党内手続き、来週にずれ込み?/タク法案、国交部会「了承に至らず」
【 東京 】民主は党内手続き完了/議連総会で「早期成立」確認
【 神戸 】「監査・処分」で統一見解質す/兵タ協東播支部が説明会
【 大阪 】松田・新執行体制を承認/大阪ハイタク連合会・定期大会
【 大阪 】リード大阪営業所が移転
 
2013年10月23日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】観光による活性化とタクシーへの期待/本紙企画、加納・大阪観光局長迎え、特別鼎談
【 東京 】タクシー法、今国会で成立へ/自民党国交部会が了承、月内に法案提出
【 神戸 】空港定期運賃の定測結果を確認/神戸・阪神間支部の運賃研究委
【 大阪 】近畿のタクシー関係は4氏/自動者関係功労者大臣表彰
【 大阪 】2本柱の取り組みを所轄署が評価/花菱タクシーが秋季安全講習会
【 大阪 】山陽交通労組の秋闘スタート
【 京都 】会長解任の無効求めて提訴/近産信相手取り青木氏
【 神戸 】「10年やろうと思う人」増やす/神戸個人協組、11月に6回の講習会
【 大阪 】関交研などが自動運転セミナー
【 大阪 】近運局、バス21社を無事故表彰
【 大阪 】「会社側と真っ向から交渉」/ヤマト交通労組・定期大会
 
2013年10月19日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】「正面設置」へ取り組み強化/市長に陳情も、大阪駅乗り場問題で大タ協
【 大阪 】大タ協がタク法の早期成立要望/自民党大阪府連が政策懇談会
【 東京 】22日に国交部会・タク議連合同会議/自民党、適正化新法改正案審議
【 大阪 】11月中旬に開発事業者説明会/大無協・次世代設備委員会
【 大阪 】年内に移動協300両体制へ/全大個協組のスマホ配車
【 大阪 全個協近畿支部初の国交相表彰/新山支部長が受賞へ
【 大阪 】USJから深夜帰宅の配車要請/関協、11月上旬の2日間
【 大阪 】ワンコイン国賠訴訟断念/水田・監指部長がコメント
【 京都 】自交京都、副委員長に森長氏
【 大阪 】最高乗務距離「新たな公示は不要」/ワンコイン協が実態調査データ公表
【 京都 】連絡会会長に協京・諸木氏
【 大阪 】全大個協会が交通安全講習会
【 神戸 】奄美タク尼崎、役員変更届
【 和歌山 】巨F川タク、役員変更届
【 大阪 】泣jイサカの運賃認可
【 大阪 】達磨交通9両→ひまわりタク、申請
【 大阪 】オール大阪が譲渡譲受申請取り下げ
【 大阪 】近運局、法人2社を車停 
 
2013年10月18日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 金沢 】全国7ブロック制に移行へ/全自交労連、金沢で第69回定期大会
【 金沢 】「関西地連」初代委員長に塚本氏/ブロック制のトップ切り結成大会
【 神戸 】タク法案、臨時国会に期待/兵タ協・常任理事会で吉川会長
【 大阪 】「トイレマップ」はサンプルを/大タ協・交通安全委
【 神戸 】タクシーモニターは21日から開始/兵タ協神戸・阪神間支部センター委
【 大阪 】大運支局、9月の苦情申告39件
【 大阪 】処分通知は約150社に/府警「強化月間」の6月分
【 京都 】今年も駐停車アンケート/京都MM会議、利用者啓発も
【 神戸 】私鉄労連直加盟を確認/阪神タク労組・定期大会
【 大阪 】消費税転嫁、個タクの動向注視/山陽交通労組・前田委員長
【 大阪 】小川氏が部会長に/交通労連関西ハイタク部会
<バックナンバー一覧へもどる>
 
 

Copyright(C) 2009 kohtsukai Co.,Ltd All Right Reserved  株式会社 交通界  無断転載禁止