ハイヤー・タクシー業界専門情報紙  株式会社 交通界
2009年11月2日

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「週刊交通界21」毎月4回情報発信

「個人タクシー誕生50周年」記念特別対談
全個協・木村忠義会長☆全タク連・富田昌孝会長
ともにつかんだ再規制への道
    ―どうなる新時代の法・個共存

 個人タクシーが誕生50周年を迎えた2009年は、同時にタクシーの再生を賭けた適正化新法の成立・施行の年となった。二重の意味で大事なこの節目のとき、個人タクシーの歴史を振り返るとともに、適正化新法施行という新しい環境の下、「新たな時代の法・個共存」はどうあるべきかをテーマに、個人・法人のトップである、木村忠義・全個協会長と富田昌孝・全タク連会長に語り合ってもらった。

「いま再生のとき」は個タクの「叫び」 
―ついに50周年です。木村会長、率直なご感想を。
木村
 「とうとう50年迎えたな」という気持ちです。とはいえ、個タクにとってたいへん難しい年だとも思います。まず、組織人員の減少の問題です。昭和57〜60年ごろから減り続けている。さらに所得水準の低下の問題もそうです。これは富田会長が訴える適正車両数の問題と深く関連しています。
 とりわけ問題なのは「質の確保」です。個タクは本来、法人乗務員の手本になる存在でなければ、社会的な存在意義がなくなってしまうからです。35〜40年前のわれわれの先輩たちと比較すると「質の低下」は否めません。「新しい時代の法・個共存」といっても質の確保ができていなければ主張すべくもありません。
―50周年ですから本来はおめでたいことではあるのですが…。
木村
 そう、おめでたいことではあります。ですが、われわれが抱える問題はあまりに大きい。道路運送法で身分が明記されている法人事業者さんと違い、われわれは「通達で成り立っている特別制度」です。本来、優秀な法人乗務員がなっているはずなのに、質が確保できていなければ「何で存在しているの?」と言われかねません。このことを皆に繰り返し説いていかなければならないのです。
―では10月18日の「50周年記念フェスタ」のサブタイトル「個人タクシー いま再生のとき」というのは単なるスローガンではなく…。
木村 何としても甦らせるんだという思い。「叫び」のようなものだと言ってもよいと思います。

「個人に追いつけ」が法人50年の歴史  ― 富田会長
―では全タク連の富田会長、お願いします。
富田
 何はともあれ誕生50周年、本当におめでとうございます。個人事業者に初めて免許が与えられたのが昭和34年末、実際に稼働を始めたのは35年からでしょうが、その年は偶然にも私が大学を卒業した年で、個人さんと同じ時期に社会に出たのだなと感慨深く思います。
 自分自身の思い出と重ね合わせますと、当時のことがまざまざと思い出されるのですが、個人さんが努力を重ねてここまで来られたことはすごいことだと敬意を抱くとともに、重ねられたキャリアは素晴らしいものだと思います。
 「業界の長」という面からみると、法人タクシー経営者は7000人ですが個人は約4万6000人もいらっしゃる。木村会長はじめ歴代の全個協会長さんは御苦労を乗り越え、組織をよくまとめてこられたものだと思います。木村会長は目標が高く、ぜいたくで、どこまでいっても「もっと、もっと」と高いレベルを要求なさる方ですから、会員の皆さんも大変だろうと推察します。
 個タク誕生の頃のことを思い出しますと、一生懸命にやっている運転者を個人タクシーにすることにより、法人乗務員に夢を与え、やる気にさせる―「真面目にやれば自分もいつかなれる」と希望を持たせる制度だと思います。最初に個人の免許を取った方たちは非常に優秀な集団で、当時、質が良いとはいえなかった法人は格段の差をつけられたのです。それを見て私は父親(金重氏)に「法人はもう駄目ですね。個人さんは『社長』が運転するんだからどんなことをやっても法人事業者はかないっこない」と言ったことがあります。
ですから当初は個人さんには抵抗感を持っていました。
 ただ、だからこそ法人は質の面で個人に追いつこうという動きを始めるようになったのだと思うのです。言い換えるなら「法人のレベルアップのために個人が誕生した」ということです。「個人に追いつき、追い越せ」ということが法人のこの50年間の歴史というべきでしょう。
 この50年で少しずつ変わってきて「当初の精神がいくぶん損なわれたのではないか」と懸念されているのかもしれません。それがどの程度のことなのか私には分かりませんが、木村会長は「心配症」でいらっしゃるから、実際にはそう悪くなっていないのに「悪くなるだろう」と危惧を抱かれているのではありませんか。われわれとしては引き続き個人さんに「追いつき、追い越せ」が目標です。

ブランドの「残り香」があるうちに…    ― 木村会長
木村 本当に有り難いお言葉で…。富田会長は個人の「現実」ではなく「理想」を語って下さったのだと思います。実際、そうあらねば法人事業者の皆さんに「個人タクシーは必要だ」とは言って頂けません。
 今、富田会長が個タクの歴史を回顧して下さったように、われわれの先輩がここまで苦労しながら問題意識をもって取り組んできてくれました。マスターズ制度にしても「これで何とか再生せねば」という思いがあったからこそ導入し、定着が図られてきたわけです。けれどその改革はまだまだ道半ばです。謙虚な気持ちで取り組まなければならないと思います。
 昭和34年12月26日、開業第1号の市川三蔵さんが「いの一番」のナンバープレートをつけて、東京駅から個タクの生みの親である楢橋渡・運輸大臣を乗せてセレモニーを行って以降、15〜16年は強力な世論の後押しを受け、行政も「どんどん増やせ」とばかりに参入要件を緩和してくれました。
 当初は事業者も労働組合も個タク制度に反対の人が多かったけれど、やってみたらうまく機能したわけです。法人さんが「個人に追いつき追い越せ」のかけ声の下、個人タクシーを手本に自らに磨きをかけたのも事実です。そしてこの15〜16年で法人さんがどんどん良くなっていった。
 仮に、今もそうした役割を果たし続けているのならば、われわれは危惧することはありません。が、本当に今、果たせているだろうか。例えば、労務管理ひとつ取っても、私が法人乗務員だった頃は「?」でしたが、今の法人の労務管理は昔とは全然違います。
 他方、個人の方が無線やチケット事業など共同事業を行う協同組合の強大化であぐらをかいてしまったということもあるかもしれません。ロング客ばかり狙う個人事業者などはその典型といっていいでしょう。
 昭和末期から平成初めにはすでに「個タクはちょっと違ってきたね」と言われ始めており、歴代の会長はそれを何とかしようと頑張ったけれど、全体の意識改革は完遂されずに来てしまいました。そうこうするうちに徐々に参入抑制の方向に向かい、東京の事業者数も昭和57〜58年の2万人をピークに漸減、今では1万7000人になっています。
 個人タクシーにはやはり今も、どの法人乗務員も敵わない素晴らしく質の高い事業者がいます。けれども世間的に目立つのはそうした人ではなく、全体のごくわずかでしかない「居酒屋タクシー」のような事業者であったりします。それが全体のイメージを貶めるとともに、全体の質そのものも下げてしまう。さらに、法人事業者の質の向上に伴ってお客様のタクシーを見る目が肥えたということもあります。だからこそ個タクブランドの「残り香」が残っているうちに磨きをかけ、もう一度再生しようと言っているのです。

大不況は原点回帰のチャンス
―法人事業者にとって「脅威の存在」として登場した個人タクシーとの質をめぐるせめぎ合いの歴史について、富田会長は思うところはおありですか。
富田
 やはり「無線のお得意様を個人にみな持っていかれてしまうのではないか」と法人が心配し、行政に陳情にも動いたのは、個人タクシーがそれほど素晴らしかったことの証左でしょうね。
お得意様から指名され、1万円の仕事がポンポン入ってくると、だんだん「流しで初乗りの仕事なんかいいや」となっていきます。人間とはそういうものです。事業者さんが悪くなったのではない。いつの間にか、お得意様のスタイルに引っ張られてしまい、木村会長がおっしゃる「危惧する部分」が出てきたのかなと思います。
 けれど大不況が到来し、無線のお客様も激減してしまいました。大変なことですが、逆に見れば営業姿勢を見直すには良いチャンスかもしれません。「大切なのは流しの初乗りのお客さん」―そう思い直すならタクシーのファンは間違いなく増えるでしょう。原点に返るということです。とはいえ、個人さんの方が先に原点回帰すると困るので、しばらくじっと見ていて頂いて、まず法人が先に…(笑)。
 もちろんこんなことを言うのも、何しろ「個人さんに負けないように」と苦労を重ねてようやくここまで追いついてきたということです。これからも離されないようついていきたいと思います。

法・個には確固とした「共通認識」が
―個人と法人は本音の部分ではライバルであることを意識せざるを得ない関係でありながら、規制緩和や不況にもまれ、運賃改定、交政審WGと時代が目まぐるしく動いていく中で、共存関係―「法・個共存」が重要なキーワードとして在り続けました。お二人はこの関係をどう評価していますか。
木村
 法・個においては台数と運賃の問題が共通の課題として存在していた、ということだと思います。台数がこれ以上増えたとして、あるいは運賃競争に突入したとして立ち行くかというと、個人は立ち行きませんし、おそらく法人さんも同じではないでしょうか。
 きちんと利益確保できた上で競争するのであれば「自由競争」なのだから構いませんが、今は決して値下げ競争できる余裕はありません。ここに法・個の確固とした共通認識があるように思います。外部から一見しただけでは分からないかもしれませんが、私自身は法人さんと互いに理解し合える関係が保たれていると思っています。
 適正台数への調整の必要性、運賃値下げ競争の回避という方向さえ確認しておくことができれば、基本的には今後も法・個の足並みが乱れることはないと思います。

「自分だけよければ」が通じない産業
富田 バブル崩壊後の需要減や規制緩和による大混乱、運賃改定、交政審ワーキンググループ等々、需要が縮小したり危機的な状況に次々に見舞われたりしたからこそ、法・個の共存共栄関係が強固になっていった面はたしかにあると思います。
 私は、タクシーの仕事は普通の商売と違い、自分だけよければいいという考え方が通じない産業だと考えています。
 自動車メーカーを例にとれば、例えばトヨタの販売台数が増えれば他メーカーは販売減の憂き目を見るでしょうが、だからといって従業員の給与が歯止めなく低下したり業界全体が疲弊していったりすることはありません。
 しかしタクシーの場合、例えば都内の半分の事業者が運賃値下げをしたらお客様はそちらに流れ、残りの会社で働く乗務員の賃金は目減りせざるを得ません。そうなれば、これをきっかけに運賃ダンピング競争が起き、東京全体の賃金水準が低下、地域全体が自滅に向かってしまうのです。つまり、協調して共存していかないと成り立たない商売なんです。
 こうしたダンピング競争によって業界の疲弊が進んだら、選ばずに流しのタクシーを利用するお客様にサービスと安全を提供することが果たしてできるのか。「こっちのタクシーはいいが、あっちに乗ると危ないぞ」では困る。「どのタクシーに乗っても安全、安心」が「土台」になければなりません。
 法・個はともに「質」で競争していくべきなのであって、「運賃」「台数」で競争するのは間違いなのです。諸外国はそのことが分かっているのに日本は理解しておらず、規制緩和をしてしまった。「競争させよう、競争させよう」という路線は間違いだった。質の面で切磋琢磨する方向に戻さなければなりません。
 運賃ダンピングは最終的に安全問題とサービス低下を惹起します。すなわち、ダンピングによって乗務員の賃金が低下していけば安全とサービスがないがしろになっていく。実は、交政審WGの中心的な課題はこの2点だったのです。
 数字をあげてみますと、バブル崩壊後、需要が落ち続けているにも係わらず、東京のタクシーは3万4000両と30年前と比べて1万3000両も増えています。需要が落ち込んだのに台数を増やしている。これが大きな間違いでした。現在の売上は30年前と同額になるところまで落ちました。実車率でみると30年前が53%、現在38%と3割方下がっている。運賃改定のおかげで何とか30年前と同じ営収が維持できているにすぎません。
 この間、個人さんは自然減の形で減ってきましたが、法人はその逆を行ってしまった。これで東京のみならず全国各地のタクシーがおかしくなってしまった。同じタクシーなのだから、個人が減少を余儀なくされた時、法人も同じように減らしていくべきでした。
 共存共栄は何より大事。それは法人業界内部においても同じことです。減車を巡って今後、法人事業者同士が利害対立することが十分予測されますが、「法人業界の中で共存できなくて、どうして法・個が協調できよう」と言いたいですね。この共存関係を保ちつつ車を減らす―正確には需要に供給を合わせる作業に、これから取り掛からなければなりません。

法・個共闘の真価問われる地域協
―それにどう取り組むかを議論する地域協議会がついに始まりました。本当に減車できるのか不安と期待が交錯したスタートとなったわけですが…。
富田
 法・個とも同じだと思いますが、これだけ営収が落ちて疲弊してしまうと、団結して奈落の底から這い上がるしか手がないと思うのです。このような崖は法人だけでは上がっていけない。個人さんに助けてもらって這い上がらなければならない。
 地域協議会では業界外の委員に対して苦境を訴えるだけでなく、法・個一緒になってどれくらい努力しているか、どういう実績をあげているかをきちんと説明すべきだと思っています。この業界、あまりにも外部からの評価がなさ過ぎて…。「タクシーの常識は社会の非常識」なんて言われてしまっているほどです。委員たちをどう説得するかという点でも、優秀な個人さんのご協力が不可欠です。
木村 富田会長がおっしゃる通り、個人でも事業を続ける気力を失った事業者が現れるほど疲弊が進行しています。地域協議会の議論の行方には期待したいところですが、まだ情報が少なく法人の皆さんのようには見通しを持つに至っていません。
 例えば、個タクとして確実な活性化案を求められたとしても、はたしてわれわれに何ができるか。法人の皆さんと違って、われわれはそれこそ「個人」の集まりなので、総意を取りまとめるのに非常な困難を伴うことが少なくありません。ですから置いてきぼりにならないよう、法人さんの後をついていかなければならないと思っています。
富田 歴史上初めてのことであり、しかも東京は日本で先頭切って開催するわけですから不安もありますが、どうかご心配なさらないで下さい。個人さんとは情報を共有しながら対処したいと強く思います。そうでなければ協議会での共闘関係を維持できませんから。

個人さん、ダイヤモンドにはならないで
―ただ個人業界にとって今回の新法施行は、「新規参入の抑制」という難題を突き付けられたことでもあったわけですよね。
木村
われわれ個人は廃業により全国ベースで毎年2000人ずつ減っています。蛇口を閉めたら20年で無くなってしまう制度なのです。だからこそ譲渡廃業の整備を国に訴えているわけです。
 もちろん新規参入の許可も求めています。すると行政は「3年のことですから」とおっしゃるけれど、その間に何千人も減ってしまう重大な問題です。本当に大変な時代だと思います。「個タクは放っておいても宿命的に減る」「新規参入を認めていてもなお減り続ける」ということは何度でも言っていかなければならない。
 ただ一方で、「こうなった以上、ピンチをチャンスに変えて、じっと減るのを見ているだけではなく絞られた中で切磋琢磨してそれぞれが光っていこう」と呼びかけてはいます。
―これから減車しなければならないときに、個タクの新規参入問題というと富田会長はコメントしづらいでしょうが…。
富田
全然そんなことありません。いまは100年に一度の大恐慌で、その中で何とか需給のアンバランスを直そうとしています。経験したことのないどん底に落ち込んだと言ってよい。しかしどん底に10年もいると思いますか。そんなことはない、必ず上がるときが来ます、おそらくは木村会長の在任中に…。
 それまでに減車を進めているのだから必ず車が足りなくなります。その時、「車を増やすのは法人だけ」などと絶対に言うわけがありません。「個人さんも耐えてきたのだから増やしてほしい」と一緒に訴えます。私の念頭にはいつも良くなったときのことがあります。そのときは個人さんと一緒に「上」に上がっていきたい。
 ただこうした状況下において、個人さんは質向上に熱心に取り組み過ぎて「金」から「ダイヤモンド」にはならないで、われわれが何とか追っかけていけるよう「金」くらいで止まって頂くようお願いしておきたい(笑)。

光っていなければ存在意義はない
―富田会長が素晴らしいエールを下さいましたので、木村会長この辺りで締めくくりを。
木村
やはり、法人さんや行政その他の皆さんに50年育ててもらってきたことにお礼を言わなければならないと思います。私たちは仮に人数が減っても、法人乗務員さんの手本になれる「光っている個人」であらねばなりません。富田会長はユーモアを込めてそんなふうに言って下さるけれど、われわれは光っていなければ本当に存在価値がなくなってしまうのですから。
 これからも新しいタクシー業界を作るために、富田会長の背中を見ながら一生懸命ついていきますのでよろしくお願いします。
富田 背中を追っているのはこちらです(笑)。どうぞよろしくお願いします。
―本日はどうも有り難うございました。(9月29日、中野区の「個人タクシー会館(東個協本部)」で収録。聞き手:三井貴也)

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No326. 11月2日号 ニュースヘッドライン
■巻頭人物 : 桝野 龍二氏/国土交通省・自動車交通局長
■トピックス

         :「個人タクシー誕生50周年」記念特別対談/木村忠義氏・富田昌孝氏
            
/ともにつかんだ再規制への道―どうなる新時代の法・個共存

         : 「個人タクシー いま 再生のとき」/50周年フェスタin両国国技館
         :原点回帰で夢ある個人に再生/山本茂・全個協近畿支部長に聞く
         :全国の注視に応える密度の濃い議論に
             /大阪地域協直前!原喜信・近運局長に聞く
         :注目の大阪地域協スタート/減車規模は府下全体で最大4300両
         :安全・安心のタクシー目指す/全自交労連・坂元幸一新委員長に聞く
         :新法成立与野党折衝夜話/霞が関出身議員と坂本克己・大タ協会長
■シャッターチャンス :“Xデー”迫って高まる緊張感
                :国民への約束より重視すべきは
                :1車1人制vs交代制
                :供給過剰の弊害もここに明らか
■この人この言葉   :辻元 清美氏、飯田 哲夫氏、三野 文男氏、道野 隆氏
■その他<新関西ハイタク裏面史> 志摩 哲二
Faxpress 関東版

「10%+1両」+「休車」で対応
  「最高乗務距離」規制効果も注視
     減車対応で東旅協・三浦副会長

【東京】東京乗用旅客自動車協会の三浦宏喜副会長(経営委担当)は10月30日、本紙記者の取材に応じ、地域協議会設置後の東京都特別区・武三地区での供給過剰解消に向けた業界の今後の対応について、「減車のみならず、休車を有効に活用することもひとつの方法」と提言したほか、26日の東旅協・専門委員長連絡会議での各委員長発言について「一般会員事業者から出てくると想定される多様な声がほぼ網羅されていたのではないか」との見方を示した。
 今後の供給過剰解消に向けた減車目標について三浦副会長は、具体的な台数等の明言は避けつつも「監査方針・処分基準の厳格化等も考慮すると、規模の大小を問わず、まずは10%プラス1両まで減車するのが妥当なのではないか」とした上で、「それでもなお、行政当局が示した適正車両数とは乖離があり、その差については休車を有効活用すれば良いのではないか。例えば3カ月〜半年といった区切りで、段階的に休車を実施し、台当たり営収の変動を見極めながら取り組むこともひとつの方法だ」との考えを示した。
 休車の実効性を担保する実務的な方法論としては、「事業者団体で、車両前部のナンバープレートを預からせて頂くことも考えられる」とし、休車のメリットとしては「減車ではないので、従来の預かり減車と同様、ナンバープレートを返却すれば再度、営業車として稼動させることは可能になる」「休車中には当該車両に係る車両保険等の任意保険料、東京タクシーセンターの負担金の免除などを想定できる」などをあげた。
〜まず「1車1人」をどうにか…
 供給過剰の解消に向けて法人業界が血を流して減車に取り組む一方、個人タクシー業界がこの問題でどのような貢献が可能かとの声があることに対して、三浦副会長は「まずは、法人業界で1車1人制をどうにかすることが先決ではないか。関東運輸局でも事業者からデータを取っており、最高乗務距離規制に日勤者の規制が導入されれば一定の効果が見込めるはずだ」と述べた。
 東旅協・専門委員長連絡会議での各委員長発言については、「一般会員から出てくるであろうと想定される意見もほぼ同様のものとなるだろう」と述べ、想定の範囲内との認識を示した。
〔10月31日関東版掲載〕 
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2009年10月31日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】「10%+1両」+「休車」で対応/「最高乗務距離」規制効果も注視/減車対応で東旅協・三浦副会長
【 横浜 】関運局は11月下旬以降に/最高乗務距離規制、日勤者追加へ
【 広島 】広島は日勤260キロ/最高乗務距離規制・公示
【横浜 】羽田交通が営業権譲渡/43両、東京自動車に
【 札幌・高知 】札幌、高知でも適正車両数提示
【 東京 】自動車関係功労大臣表彰/タクは安田・栄自動車社長ら
【 東京 】9月の東京無線、平均4万390円
【 東京 】「km」ブランドに磨きを/退任の国際労組・笹川委員長
【 東京 】希望事業者の募集開始/NASVAの「安マネ評価」
【 東京 】国交省・政策課題勉強会で講演/アイティータクシー・倉橋社長
【 東京 】帝都労組3役が支部回り開始
※東京の増減車情報
2009年10月30日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】特別区・武三地区、想定実働車両数は2万1000両強に/3段階の「適正車両数」試算で/「参考値」でも行政の意思見えた?
【 横浜 】東京地域協、第3回会合日程固まる
【 東京 】タクGPS補助で是正勧告/会計検査院が経産省に
【 東京 】地方協会の担当者集め説明会/電子申請促進で全自無連
【 東京】 関無協、電子化で申請負担金減額
【 東京 】大幅減車実現に努力/自交総連・定期大会
【 沖縄・長野 】沖縄、長野で地域協スタート
【 東京 】幅広い国民支持求め運動強化/関東交運労協が定期総会
【 東京 】ハイタク部会長に坂元氏/交運労協・幹事会
【 東京 】「優良乗り場」を歓迎の声/都個協・利用者懇談会
【 東京 】船井総研「タクシーアワード」/11月16日、東京ベイで開催
 
2009年10月28日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】基準車両数から段階的に実施を/減車対応、具体策巡って意見交換/東旅協・専門委員長連絡会議
【 東京 】「総合安全プラン2009」/国交省がフォローアップ会議
【 東京 】デジタル無線、増加の7割が地方/全自無連・9月末の導入状況
【 東京 】インフル対策で送迎仕様車/東旅協、対策液も推奨
【 東京 】ヘキサ交通が「インフル対策車」/抗菌剤スプレーを配備
【 金沢 】金沢で地域協スタート
【 東京 】道運法の抜本見直しを/全自交労連・定期大会
【 東京 】全自交東京、新委員長に藤野氏
【 東京 】「賃金体系の見直し必要」/京自労・釘本委員長
【 東京 】全福協が初の事業者研修会
 
2009年10月24日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】地域協対応で幹部級の意思統一も?/「個社の利益」巡る局長発言重視/東旅協が臨時正副会長会議
【 横浜 】特別区・武三地区は4544両増/規制緩和以降の参入・増減車等
【 東京 】地域協、仙台は11月2日開催へ
【 東京 】「法・個協調で質の確保を」/個タク誕生50周年でトップ会談
【 東京 】安マネ評価の「第三者機関」/NASVAが認定申請
【 東京 】乗り場見直し計画で街頭指導協議/関無協東京支部・営業委
【 東京 】全自交新委員長に坂元氏/定期大会に辻元副大臣出席
【 横浜 】関運局/9月の新規許可等
【 東京 】長期の社会貢献で地区組織を表彰/個タク誕生50周年フェスタ
※東京の増減車情報
Faxpress 関西版

薬師寺氏「地域協の決定」受け入れ努力を
       最高乗務距離規制のとの連動注視

【大阪】大阪タクシー協会の薬師寺薫・最高顧問(関西中央グループ代表)は10月30日、大阪府特定地域合同協議会の議論開始を受け、各事業者は協議会の決定事項を受け入れるよう努力すべきだとの考えを示した。同日、本紙記者に語った。
 29日の第1回協議会で近畿運輸局は、本紙既報の通り、大阪府下5交通圏総計で1万3911両〜1万5650両の適正車両数を提示。それに沿った減車規模は4264両〜2498両となる。薬師寺氏はかねて、「ドライバーを乗せたまま、スクラップにできるのか」と問題提起しており、この日も「3000両前後の減車を、今の状態で業界が受け入れられるのか、大変難しいことと思われる」との感想を述べた。一方で、「受け入れのできる環境を、行政の知恵と業界の努力でつくり上げることが重要だ」と指摘。見直し作業が進んでいる最高乗務距離規制と絡ませた対応が有効との考えをにじませた。
 一方、中型上限660円〜下限640円の3段階に圧縮された新自動認可運賃について、「以前と比べれば数段良いゾーンが設定された」と評価。運賃問題に関しては、今後、新ゾーンに向かって業界の調整努力がどう進むかが課題になるとした。
 近運局が作業を進めている最高乗務距離規制の見直しは、京阪神地区で隔勤者350キロの現行規制に日勤者の設定を追加する方向にあり、その具体的数値や、現行公示に明記されていない高速道路の算定除外規定、さらにはその際の阪神高速の取り扱いに関心が寄せられている。日勤者に対する距離規制は、国交省の運賃制度研究会で1車1人制を採用する低運賃事業者を念頭に検討が求められた経緯があり、運賃問題と密接に連動している。
 日勤者の距離規制については、改善基準告示に定められた拘束時間(隔勤21時間、日勤13時間)の比率で配分すべきとの意見がある。この考えに基づいて算定すれば217キロになり、低運賃事業者の多くが打撃を受けるとみられている。9月末現在、大阪府下における下限割れの法人車両数は、今月1日の新ゾーンで下限割れとなるものも含めて4108両。1車1人制は、これとは別に上限運賃を採用する事業者にも拡がっており、薬師寺氏の指摘する「3000両前後の減車を受け入れられる環境づくり」と符合するだけでなく、運賃に関しても上限に限りなく近づいていく可能性がある。
 薬師寺氏は、「全国から注目されている大阪業界だけに、挽回のためにも協議会で決定したことを受け入れる努力をすべきだし、協会役員が先頭になって受け入れの見本を示すことで会員もそれに従うだろう」と指摘。自社グループについては、「行政が示す名刀の輝きを見て、対応したい」と述べた。  〔10月31日関西版掲載〕
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2009年10月31日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】薬師寺氏「地域協の決定」受け入れ努力を/最高乗務距離規制との連動注視
【 大阪 】トモエ幹部「上限、100%ない」/河北交通圏、新規の値上げ歓迎?
【 東京 】大臣表彰に田畑・滋タ協会長ら/自動車関係功労者
【 大阪 】減車・運賃は事業者が主体に/大阪地域協で原・近運局長
【 大阪 】「全会一致を目指す」/大阪地域協・長井会長
【 大阪 】入構ルール一部見直し/枚方市駅南口、2日から
【 神戸 】別府鉄道、別府タクに譲渡へ
【 神戸 】みなとタクシー破産申立へ/年金基金分割納付の1社
【 大阪 】福祉施設に車椅子寄贈/50周年事業の一環で全大個
【 神戸 】11月1日午前零時に撤去/新神戸の禁煙車のりば
【 大阪 】秋の叙勲、11月3日発表
【 大阪 】油井正佳氏を保安功労者表彰/府LPGスタンド協会副会長
【 大阪 】全大個協会が協組ビルに移転
【 大阪 】近運局、5事業者を処分
※大阪、兵庫の増減車情報
 
2009年10月30日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】大阪市域、減車規模は最大3700両/近運局が大阪地域協に「適正車両数」提示
【 大阪 】府警、労働局関係者も委員に
【 大阪 】オービーシーが上限運賃に/「新下限割れ」法人の値上げ第一号
【 大阪 】大阪高裁が控訴棄却/全自交大阪国賠訴訟・判決
【 大阪 】「不当判決」でも法廷外では勝利/原告側・報告集会
【 大阪 】近運局/優良乗務員表彰式
 
2009年10月28日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】原・近運局長「供給過剰対策しっかり」/大阪地域協、年度内に方向性?/本紙単独会見
【 大阪 】運改なら恒久認可が1年限定に?/下限割れ運賃の取り扱いに注目
【 大阪 】協議会対応で「執行部一任」/大タ協理事会で確認
【 大阪 】ワンコイン協会は町野氏が出席へ/委員構成の偏りなどに異議
【 神戸 】新ゾーンに沿って値上げ検討/下限割れ多発の姫路地区
【 大津 】交通労連関西、新委員長に早崎氏
【 大津 】地域協議会に意欲/永江・ハイタク部会長
【 大阪 】アームワークを事業停止処分/24項目違反、123日車
 
2009年10月24日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】 無所属Gと単独事業者の参加は?/近運局に聞く、開催迫る大阪の地域協
【 京都 】京都地域協は11月初旬に準備会
【 大阪 】電気タクシー実験に日本タクシー参加
【 大阪 】奈良近鉄タク・長谷川社長が謝辞/近運局・優良事業者表彰式
【 神戸 】「持ち帰り」に強い問題意識/東播地区巡って陸運部幹部
【 神戸 】「ナビダイヤル」配車でPT/兵タ協・ケア輸送特別委
【 大阪 】福祉専門の営業所で新展開/ふれ愛交通、15両配置
【 神戸 】デマンドタクの意識調査/日の丸ハイヤーと提携の大和団地
【 大阪 】富士交通/労使協調で法令順守 
【 大阪 】山陽交通労組が秋闘へ・
【 大阪 】新委員長に神田・書記次長/国際興業大阪労組
【 大阪 】個タク47件の譲渡譲受認可
【 大阪 】PBは開設者の死後も一任運用?/トモエG元代表の控訴審 
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※大阪、和歌山、奈良の増減車情報
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