【 横浜 】関東運輸局の長谷川豊次長、山本英貴・自動車交通部長ら幹部は25日、定例会見を開き、神奈川県京浜交通圏の特定地域協議会における特定地域計画の策定に関連し、輸送力削減目標のあり方について「例年８月１日を目途に公表される地域需給状況判断で示される新しい適正車両数が一つの目安になる」との考え方を示したほか、東京都特別区・武三交通圏など東京４交通圏に設置された準特定地域協議会の分科会について、全国のモデルケースになるとの意識は持ちつつも、「どのようなやり方で取り組むかは各地域の協議会の判断だ」とした。
　会見冒頭、長谷川次長は「５月22日の京浜交通圏準特定地域協議会で特定地域の指定に同意した。その場で、協議会会長から、輸送力削減と合わせて事業活性化にも力を言入れていくとの話もあった。乗務員の労働条件改善にもしっかり取り組むということだったと聞いており、当局としても適正化・活性化について支援していきたい」と述べた。山本・自交部長は運輸審議会の答申日程について具体的な情報はないとして、その後の指定時期や特定地域協議会開催の見通しについては明言を避けた。一方、京浜交通圏の特定地域計画策定に当たり、従来の適正車両数、８月とりまとめ予定の2014年度実績に基づく新しい適正車両数のどちらが輸送力削減の目標値として適切かとの質問に対しては、「統一見解はないが、新しい数字がまとまっていれば、それを基準にして検討していくということになるだろう」との見方を示した。
　特定地域協議会開催後、特定地域計画立案までのタイムリミットについて山本氏は、「すぐにまとまるかもしれないし、いろいろな意見が出て時間がかかるかもしれない。こうなるだろうという見通しは持っていない」とした上で、常識的にみて越年するようなことは考えられないとした。東京同様の分科会設置については協議会での議論に委ねる姿勢を示したほか、管内では神奈川が、規制緩和から「7.11通達」、旧タクシー適正化新法での取り組みを通じて最も減・休車が進んでいない地域ではないかとの見方についても「どこまでやるかを含めて協議会で議論すべきこと」と述べるにとどめつつ、「特定地域計画の認可基準では適正車両数の概ね上限値までは削減できる」とした。
　東京４交通圏準特定地域協議会の分科会について山本氏は今月11日に特別区・武三交通圏の適正化分科会を開催済みで、本日25日に多摩３交通圏の適正化・活性化分科会を開催する予定になっていること、特別区・武三交通圏の活性化分科会は日程調整中であることなどを明らかにした。分科会での議論については「通常、１回で終わりということはないのではないか」とし、複数回の開催が見込まれるとの考えを示した。特別区・武三での適正化分科会での議論については「オブザーバーなのであまり話はできないが」と断った上で、「かなり踏み込んだ議論や問題提起がされていると感じた。将来の制度改正が必要なものや、東京五輪以降の課題など５年以上先の話もあり、分科会で議論を深めることが適当かどうかというテーマもみられる。分科会会長が議論を整理されていくものと思っている。具体的に行政に求められていることはいまのところないが、あれば協力していきたい」と述べた。旧タクシー適正化新法時代には東京の協議会が全国のモデルケースと位置づけられていたことから、分科会での議論が全国のモデルケースになるのかとの質問に対し、山本氏は「このやり方は全国で応用できるフォーマットだと思っている。しかし、行政がモデルとして振付することはなく、各地域の協議会でどのようなやり方をするか決めていただくことになるのではないか」などと述べた。
　このほか、新制度になった観光ルート別運賃（広域設定）の申請や羽田空港定額運賃における3500円〜5000円での届出は、５月同様まだ１件もないとした上で、今後の五輪対応の一環としてこれらの制度の活用に期待感を示した。
〔６月27日号関東版掲載〕　 <Topへもどる>

【 神戸 】神戸市域交通圏の特定地域指定にかかる公聴会は８月７日開催に向けて調整が進んでいることが関係者への取材で分かった。公述人申請の締め切りは７月17日頃と見込まれる。
　兵庫県タクシー協会所属の大手事業者は25日、本紙記者の取材に「特定地域指定が後ろ倒しとなり、しんどい気持ちが長続きするというのが本音」とコメント。一方で、公聴会を利用者や有識者に業界情勢を理解してもらう場にしなければならないとし、「業界の実態さえ理解していただければ心配には値しないと思う。利用者からすれば運賃が安く適正な供給が担保されるのが一番なのは言うまでもないが、現在の運賃も決して高いものではない。このことも併せて訴えていくことが重要だろう」と述べるとともに、業界外の関係者に理解を得るためにも、輸送秩序の確立やマナーの向上など「利用者側が安心できるサービスの提供策の提案が重要となるだろう」との認識を示した。
　別の事業者は、公聴会の開催までに執行部がリーダーシップを発揮して兵タ協としての見解を統一する必要性を訴える。同氏は、公聴会や指定後の特定地域協議会で業界の統一見解を示すことができなければ、「自治体や外部有識者に見放される」可能性を危惧。「そうならないためにも、まず執行部に方向性を示してもらわなくてはならない。各社の思惑もあり、全員が納得する道などあり得ず、行政の手助けも期待できない今、執行部の責任は大きい」と述べた。
〔６月27日号関西版掲載〕<Topへもどる>